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656:39-174/ SOKA団(世界に大いに喧嘩を売る、キョンと朝倉涼子の団)

作品情報

作者39-174氏初出090812
題名SOKA団(世界に大いに喧嘩を売る、キョンと朝倉涼子の団)

『VS. 〜知覚と快楽の螺旋〜』をヘビーローテーションで聞いてたら、変な電波を受信した。

以下、消失世界の朝倉さんがまんま本人だったらって電波。



SOKA団(世界に大いに喧嘩を売る、キョンと朝倉涼子の団)

「学校じゃ、悪かったわね。あんなに取り乱したあなたと、はいそうですか、って話が通じたら、流石におかしいでしょ?」
 深淵が人型に凝り固まったように夕闇から出でたそいつは、濡れたような輝きを持った長い髪を優雅に掻きあげ、人好きしそうな笑みを浮かべた。
「お前、何で……」
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。会うのが4時間と26分55秒ぶりってだけよ?」
 思わず身構える俺に、そいつは両の手を開き、こちらに差し出してくる。
「ほらほら、何も持ってないでしょ? もっと安心して、歩み寄って欲しいな。ある程度、状況を共有してる者同士」
 そう言って笑みを絶やさないまま、小首を傾げる。こいつに対して腰を落とすのは、それこそ4時間26分55秒ぶり、二回目だ。
 同じ日の内に、同じ人物を前に二度も斜に構える事になろうとは思わなかった。それも、こんな平和この上なさそうな世界で。
「質問に答えろ。一体どうなってるんだ、これは」
「なかなかいいわね。状況を鑑みて諦めてるって目もしてないし。いいわ、全部教えてあげる――って言いたいところなんだけど」
 そう言って朝倉は、さし出した両手を大仰に振って肩をすくめると、不機嫌そうに腰に手を当てた。 
「統合情報思念体とのリンクが完全に切断されてるのよね。いえ、現状を見ると思念体自体が無くなってるないし、機能停止に陥っていると思った方がいいのかも」
「何――?」
「もったいぶらずに、一番可能性が高いと思われる結論を言いましょうか。おそらく、世界の改変が行われたわ、それも恐ろしく大規模な」
「改変……。ハルヒか!?」


「いえ、恐らくだけど、涼宮さんによる改変じゃないわね」
 ポツリポツリと灯り始めた街灯が形作る光環から俺の方に歩を進める朝倉。その表情は、再び夕闇に包まれ読み取れなくなる。
「あなたは、仮に彼女が改変を行ったとして、――こんな世界に落ち着くと思う?」
 今まさに太陽を飲みこまんとする遠くの山々を示すように、朝倉は腕で大きく円を描く。
 カツカツと踵が地面を叩く音が秒針のように規則正しく響き、彼女は何の躊躇いもなく俺に近付く。
「本気で涼宮さんが望むなら、魑魅魍魎が跋扈するような……とまではいかないけど、もうちょっと捻くれた世界になっていると思わない?」
 どこぞの機関と思念体様は見解が異なるらしい。
 が、何となくその言葉に説得力を感じてしまう俺を、誰が責められるだろうか?
「なのに、この世界は太陽が廻る方向から、全てが一緒。――それに、あなたがここにいるのに、彼女がいないのは説明が付きづらいわ」
 馬鹿言うな、惑星の自転の方向がそう簡単に変わってたまるか。
 それに、ここにハルヒがいないってのは、アイツが改変を行っていない事への判断材料にはなり得ないんじゃないのか?
 朝倉が一瞬だけ温度の低い視線を俺に投げたのは、傾いた陽の光加減のせいか。とにかく、と彼女は続ける。
「だから、涼宮さん以外の誰かが何かしらの力を使って、と考えるのが妥当なんだけど、全く、とんでもない事をしてくれたもんだわ。
 おまけにその誰かさん、あたしのデータの残滓を使って、変な役割を演じさせようとしてたみたいだけど、それが運の尽きね。逆に再構築したデータ乗っ取って、クラッキングしてやったわ」
 どことなく物騒な事を言いつつ、朝倉はデパートのショウウィンドウに並べてもいい程に形のいい胸を誇らしげに張り、なんてったって優秀だからね。と鼻を鳴らした。
 雰囲気に違わぬ健康的な啖呵を切り、朝倉の言葉は途切れない。
「涼宮さんがいないのは困るのよ、観察対象がいないし。なにより、あたしが面白くないじゃない、以前にも増して、ね」
 そして、意味深な流し目と俺のトラウマを刺激してくれる一言と共に、朝倉は街灯から降り注ぐ錐状の光の下に再びその身体を晒し、その表情もまた露わになる。
「だから――」


「あなた、あたしに協力してくれない?」
「――――はぁ!?」
 たっぷり二秒。寡黙な宇宙人の言い方を拝借するなら、俺の思考はこの時空平面上から消滅していたことだろう。
 いつも間にか俺のすぐ近くに歩み寄ってきていた朝倉は、薄暗い景色の中でも浮かび上がるような白い手を組み、いつかとまったく同じ角度で首をかしげる。その顔にはなんというか――
「あなたはこの世界を戻したい。あたしはこんな事をした誰かをとっちめたい。だから、手を組みましょう。悪い話じゃないと思うけど?」
 そう言って朝倉は、神にすら喧嘩を売る事を厭わないような、さっき自分で言った言葉と真逆の、いかにも愉快そうな笑顔を浮かべた。その笑顔はいつだったか、一人の超能力少年に創造主と称された少女が浮かべたそれと、まったく同じ輝きを放っている。
「まあ、悪いけど、あなたに拒否権は無いんだよね。よろしく、キョン君?」
 そして朝倉は夕闇を駆け出す。
 光源の有無などまるで意に介さず、まるで自身が踏み出す先に道が出来ると言わんばかりの足取りで、しっかりと俺の手を引いて。
「ちょ、コラ待て! いきなり手ぇ引くな、痛ぇんだよ!」
 ――ああ、認めよう。この時、俺は間違いなく安心していた。
 状況を分かち合える味方が出来た事は勿論、朝倉涼子という暴走に陥り易いこの宇宙人の笑顔に、例えようのない頼り甲斐を感じちまっていたからな。



無論、続かない。
キョンとコンビで駆け回る朝倉さんってのもありだと思う。
まあ、アニメじゃ消失やらないらしいし、この位は。

Last modified:2009/08/15 20:01:45
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References:[新作収録ページ(一覧その7)] [作品集]