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647:36-455/ 無題(未完)

作品情報

作者36-455氏初出090417
題名無題

朝倉「おはよう」

キョン「うっす」

朝倉「冷えるわね」

キョン「そうだな…」

キョン「…………」

朝倉「どうしたの?席に着くのが嫌なの?それとも、後ろに私が居るのは嫌?」

キョン「いや、別にそういう訳じゃない……ふぅ」

朝倉「だいぶん落ち着いてきたみたいだけど、まだ私が怖い?」

キョン「あー…、あの時はいきなり怒鳴り散らしたりして悪かったな。」

朝倉「ううん。気にしてないわ」

キョン「そうか。恩に着るよ。あの時は悪い夢を見ちまって気が動転していたんだ」

朝倉「悪い夢?」

キョン「ああ。今のこの世界とは、ほんの少ししか違わない世界に過ごしていた夢なんだ」

朝倉「へぇ…なるほど。私を幽霊みたいに言ってたのは、その夢の世界では私が居なかったからなのね?
けど、だからってあんなに必死に私を否定しなくてもいいと思うけど」

キョン「まぁ、その世界でのお前は死んでたからな」

朝倉「うわ、ひどーい!勝手に殺さないでよ。ちょっとショックだなぁ」

キョン「ははっ、何も死ぬことはなかったよな。…痛っ!抓るなよ」

朝倉「しらないっ」


キョン(やっと放課後か…。強制参加の部活が無いと思うと時間が長く感じられるな)

朝倉「ねぇ」

キョン「ん?」

朝倉「今日も長門さんのところに行くの?」

キョン「まぁな」

朝倉「……何度も言うけど、長門さんは脆い子だから変な事して脅かしたらダメよ?」

キョン「わかってるさ。」

朝倉「ホントに?」

キョン「ああ」

朝倉「うーん……そうね。私も行くわ」

キョン「なんだよ。信用ねぇな」

朝倉「私を死んだことにした人なんて信用できるはずないでしょっ」

キョン「もしかして、根に持ってるのか?」

朝倉「冗談よ。早く行きましょう。長門さんがまってるんでしょ?」

キョン「ぅお、おいっ。引っ張るなって」


キョン「よう、長門。邪魔するぜ」

長門「どうぞ。……………っ!」

朝倉「私もお邪魔するわね」

長門「………?」

キョン「ついて来るって聞かなくてな」

朝倉「長門さんの身の安全のためよ」

キョン「お前なぁ…。長門、本借りるぞ?」

長門「……」コクリ

朝倉「ふうん。じゃあ私も」

「……………」

朝倉「長門さん、ココってずっと本を読んでるだけなの?書いたりはしないのかしら?」

長門「たまに…書く」

キョン「おぉ、やっぱり書いてるんだな。出来上がったら読ませて欲しいもんだが」

長門「それは…」

朝倉「じーっ」

キョン「(朝倉の視線が痛いっ)いや、無理にとは言わないぞ」

長門「文芸部に…入ってくれたら…いつか」

朝倉「…!」

キョン「他に入りたいとこもないし。ココに入部するよ。良いか?」

長門「………っ。良い。歓迎する」

キョン「サンキュ。決まりだな」

朝倉「ふふ。良かったわね、長門さんっ」

長門「……」コクン

キョン「んじゃ、そろそろ時間だし帰るな?」

長門「また」

キョン「おう」


キョン(…部活に勤しんで大した気苦労もせず
普通に生きる人生もこれはこれでありかもしれないよな)

「まって!」

キョン「?」

朝倉「ふぅっ…あなた歩くの速いわっ」

キョン「朝倉か。どうした?」

朝倉「うん。明日ってクリスマスイブでしょ?」
キョン「そういえば…そうだったな。すっかり忘れてたぜ」

朝倉「それでね、あなたと私と長門さんの三人でクリスマスパーティーでもどうかなって」

キョン「ほう。お前が俺を誘ってくれるとはな」

朝倉「あなたが居ると長門さん嬉しそうだしね。それにあの子、放っといたら一人で黙々と過ごしてそうだから」

キョン「おいおい、さすがにそれはお節介じゃないか?」

朝倉「いいえ。長門さんには強引なくらいがちょうど良いの。自分から『寂しい』なんて絶対言わないと思うし」

キョン「ふむ。確かに、あいつは頑固っぽいところがあったような気がする」

朝倉「でしょう?」

キョン「なるほどな。ハルヒが居たらそんな心配も無用だったんだろうが…」

朝倉「ハルヒ?」

キョン「なんでもない。
…で?そのクリスマスパーティーはどこでするんだ?」

朝倉「私の部屋でよ」


キョン「うっ…。お前の部屋か」(何か裏があるというわけでもなさそうだが…)

朝倉「なに?その嫌そうな顔」

キョン「嫌ってわけじゃない……ただ、一抹の不安が」

朝倉「ああ、それは安心して。私も長門さんと同じで一人暮らしだから」

キョン「そ、そうか」(俺は違う心配をしてるんだけどな)

朝倉「来てくれる?」

キョン「…ああ。せっかくのお誘いだし、行くよ」

朝倉「よかったぁ。それなら明日の準備を手伝って欲しいんだけど…」

キョン「ん?今からか?」

朝倉「今から」

キョン「俺は別に構わんが……何を手伝えばいい?」

朝倉「デパートに行って飾り付けとか料理の材料とかたくさん買う物があるから、まずは荷物持ちかしら」

キョン「肉体労働か。それなら慣れたもんさ。」

朝倉「ふふ、頼もしいわね」

キョン「あ、ちょい待ち。着替えてからじゃだめか?」

朝倉「だめよ。悠長にしてたらお店が閉まっちゃうじゃない」

キョン「でもなぁ…。途中でクラスの奴に見つかったら面倒だろ?」

朝倉「そお?私は気にしないわ」

キョン「……気にしてる俺が馬鹿みたいじゃないか」
(こりゃ万一のために釈明の言葉を用意しとかないとな)


キョン「クリスマスツリーのミニチュアやら電飾やら
クラッカー、キャンドル、サンタの衣装とその他諸々…
ちょっと買いすぎじゃなかったか?これはさすがに重いぞ」

朝倉「せっかくだからちょっとくらい派手な方がいいと思わない?」

キョン「それはそうだが……予算は都合つくのかよ」

朝倉「平気よ。私に任せなさい」

キョン(金の出所が気になるが敢えて訊くまい)

朝倉「明日は何か食べたいものある?」

キョン(クリスマスパーティー…。本来なら闇鍋を食う予定だったんだよな)
「鍋……かな。前に食わせてもらったおでんはなかなか旨かったし」

朝倉「ふーん?そう、じゃあお鍋にするわね。他は何か要る?」

キョン「他ね……。ケーキとかは?」

朝倉「あっ、それだわ!すっかり忘れてた」

キョン「一応クリスマスの定番のはずなんだけどな」

朝倉「そうよね…。不覚だったわ。それじゃ、地下で食材買ってくるからココで待ってて」

キョン「おう」

キョン「…………ふぅ」
(あの朝倉とこうして買い物をするなんて少し前の俺なら断じて遠慮するところだったろうけど。
今じゃなんつうか……案外、気が紛れるとでも言おうかね。
誰かに振り回されるのは好きじゃなかったはずなんだが…はは)


キョン(朝倉の部屋の前に来たのはこれで二度目か)

朝倉「はい、お疲れさま」

キョン「ぐぐっ…腕が痺れてる…」

朝倉「ありがと。助かったわ」

キョン「おう。それじゃ俺は…」

朝倉「さ、あがってよ」

キョン「………は?」

朝倉「ん、どうしたの?」

キョン「いや……」

朝倉「嫌なの?」

キョン「いやいや、そうじゃないんだが」

朝倉「長門さんの部屋にはずかずか上がり込むのになぁ」

キョン「あれは用があったから入らせてもらったんだ」

朝倉「あら、用なら私の部屋にもあるわ」

キョン「俺が…?お前んとこにか?」

朝倉「ええ。部屋の飾り付けも手伝ってもらわないと」

キョン「………………はぁ。わかった。それならちゃっちゃと終わらせちまおう」

朝倉「うん。いらっしゃい」


キョン「ほぉー。これが朝倉の部屋か…」
(長門の部屋と似たような構造なんだろうが、家具のおかげで随分と印象が違うな。
何より生活感があるし所々に設置されたインテリアが妙に『優等生の部屋』って雰囲気を醸し出している。)

朝倉「パーティーの準備は一息ついてから始めよっか。お茶を淹れてくるから炬燵に入って待っててちょうだい」

キョン「ん」
(……………………………手持ち無沙汰だ。無意味に部屋を見渡してしまう。
この部屋に立ち込めた何ともいい匂いが俺を落ち着かせてくれない。
これ、たぶん朝倉の匂いだ)

キョン「テレビでけぇな…」

キョン「…………」

朝倉「おまたせ。火傷しないでね」

キョン「ズズッ…。ん、ちょうどいい」

朝倉「そう」

キョン「…………」

朝倉「聞いてもいい?」
キョン「何をだ?」

朝倉「朝の話なんだけど」

キョン「あぁ。あれか」

朝倉「もしかして夢の世界に帰りたいって思ってる?」

キョン「………………どうだろな。最初はそうだったかもしれんが」

朝倉「今は?」

キョン「それほど…だと思う」

朝倉「そっかぁ。……なら、いいんだけどね」

キョン「………?」


キョン「これで飾りは全部だな?」

朝倉「そうね。お疲れさまっ」

キョン「ちと、ゴテゴテになっちまってるけど」

朝倉「これくらいじゃないと『パーティーしてる』って気にならないじゃない」

キョン「んー…」

朝倉「そーゆーものなの。で、食べてくでしょ?」

キョン「何をだ?ケーキか?」

朝倉「ケーキは明日みんなで食べないと意味ないでしょ」

キョン「そりゃそうか」

朝倉「もう8時だからお腹すいてると思って」

キョン「そんな時間だったか。いつの間に…」

朝倉「今日、付き合ってくれたお礼だから遠慮なんてしないでよ?」

キョン「お…おう」

その後、エプロン姿のままの朝倉と食べたオムライスは高級レストランで出されるような出来映えで
見た目も味も極上だった。これで本当に宇宙人でないのなら嫁の貰い手にはまず困らんだろう。
朝倉をAAランク+と評価した谷口のセンスも、案外そう悪くはないのかもな。
…ランク付けをするコト自体には感心できんが。

何はともあれ、極上オムライスを食べ終えた俺はそそくさと朝倉の部屋を後にした。


翌日。
冬休み開始の合図でもある終業式が終わり、開くのを躊躇われる通知簿を鞄にしまい込んだ俺は

「私が長門さんを呼んでおくから、1時半に私の部屋に来てね」

という朝倉の言葉のままに一旦帰宅した。着替えて昼飯を食っていたところ
以前に従兄弟達と開いたクリスマスパーティーではプレゼント交換をしていたのを思い出した。
うーん…。やはりコレがないとクリスマスの名を冠する意味がないよな…。
パーティー会場である朝倉のマンションへの行きしなに何か買って行くことにしよう。


少し早めに家を出て、商店街でプレゼントを2つ購入し
なんとか約束の時間5分前に朝倉の部屋のチャイムを鳴らした。

朝倉「いらっしゃい。長門さん来てるわよ」

キョン「……私服か」

朝倉「どういう意味?着替えない方がよかった?」

キョン「何か新鮮だ」

朝倉「そう?まぁ、入って」

キョン「おう。邪魔するぜ」


キョン「……なんだか靴が多いが…。これは?」

朝倉「あ。言い忘れてたんけど、長門さんの知り合いも3人ほど来てるわ」

キョン「ん?……おい。それってまさか…」

朝倉「涼宮って人はSOS団がどうとか言ってたけど」

キョン「あいつらか!なんでココに来てるんだ?」

朝倉「えっと、長門さんと2人で帰る途中で呼び止められてあなたの居場所を訊かれたんだけど
あなたを私の家に呼んでクリスマスパーティーすることを言ったら
『私達も何かしようと思ってたところなのよね。丁度いいから私達も参加させてもらえる?』って」

キョン「うわぁ……あいつらしいと言えばそうだが…。
俺ならドン引きモンだぞ。よくそんなの部屋に入れたな」

朝倉「追加で食材を買ってくれるし、ケーキは3人だけじゃ食べきれないかもしれないでしょ?」

キョン「不用心すぎるだろ…それ」

朝倉「賑やかな方がいいじゃない」

キョン「…長門のためか?」

朝倉「まぁね。長門さんは涼宮さん達を怖がってないみたいだったし」

ハルヒ「キョーン!早く来なさいっ。みんなで人生ゲームするんだから!」

キョン「ムチャクチャだな…」


朝倉「そろそろいい時間ね。お鍋の用意してくるわ」

ハルヒや古泉が持ってきていた7種類くらいのゲームを
一通りやり尽くした時には窓の外がすっかり暗くなっていた。

ハルヒ「協力するわ」

みくる「あ、わたしも手伝いますっ」

長門「…」スッ

キョン(鍋をするのにそんなぞろぞろ人手はいらんと思うのだが)

古泉「すみませんが…1つ質問してもよろしいですか?」

キョン「なんだ」

古泉「あなたはあの部室でしばらくパソコンを睨んでいましたが」

キョン「ああ」

古泉「アレはあなたがおっしゃるもう一つの世界に戻る手段だったのですか?」

キョン「………だと思うぜ。向こうの長門が書き残したんだから嘘や間違いは無いだろう」

古泉「そうですか…。しかし、あなたは依然としてこの世界に居続けている。これはどういうことでしょう?」

キョン「んー……」

古泉「何かの手順をミスした…とか?」

キョン「……いいや。ミスなんかじゃないさ。…ありゃ確かに、俺が選んでこっちに残ったんだ」

古泉「なるほど。その理由は?」

キョン「わからん」

キョン(非日常的な事件がポンポン起きる毎日よりも
ごく普通の日常を満喫したかったのかもしれんな)


キョン「ん…」

キョン「ぁ……あれ?暗い…」

キョン(なんだ?ここはどこだ?自宅なら寝床はベッドだが…これは布団だな。
ということは……)

キョン(そうだっ。俺は朝倉の部屋でクリスマスパーティーをやってたはずだ。
ゲームして、鍋食べて、ケーキ食って……。………?駄目だ。そっから先が思い出せん)

朝倉「ぅ……っん」

キョン(…この声。右隣で寝てんのは朝倉か?左隣に居るのは長門に見える。
今は何時だ?)

キョン「おーい。朝倉ー」

朝倉「すぅ……」

キョン(寝てるのか?とりあえず起きてもらおう)

キョン「朝倉ぁー。あさく……ら」ユサユサ

朝倉「んぅ…」

キョン(……………)

キョン(じー………………唇が柔らかそうだな)

キョン(……………………………………って何を考えてるっ。いかんぞ、俺!
隣には長門も寝てるんだから……いやいや、そうじゃなくて)

ムギュウ!

キョン(ぎっくうぅぅうぅぅぅ!!)

朝倉「(ふふっ……どうしたの?私の顔に何かついてる?)」

キョン(狸寝入りかよ!)
「(あっ、い、今……何時かな…っと)」

朝倉「(今は午前1時よ。お水飲む?喉が渇いてるでしょ)」

キョン「(頼む。…そろそろ離してもらわないと…苦しいぞ)」


キョン「ゴクッ…ゴクッ……ぷはっ。うっ…頭が重い。」

朝倉「あれだけお酒飲んだら当然だと思うけど」

キョン「酒!?俺が酒を飲んだのか?どこから出てきたんだ」

朝倉「涼宮さんがいくつか持ってきてたの。
ほとんどあなたと涼宮さんの2人だけで飲み尽くしちゃったけどね」

キョン「マジかよ…」

朝倉「安い挑発に乗って勝負なんか始めるから」

キョン「大失態だな。…あいつらは?」

朝倉「10時くらいに古泉君が連れて帰ってくれたわ。」

キョン(古泉はどこに行っても苦労する質なのだろうかね?)
「長門は?あいつも酔って寝ちまったのか?」

朝倉「いいえ。フラフラになって倒れたあなたが心配だったみたいで、ずっと看病してた」

キョン「そうか。いらん心配をさせちまったみたいだな」

朝倉「私も心配したわ」

キョン「悪かったよ」

朝倉「寝ながら吐かれたりしたら堪ったものじゃないもの」

キョン「……………」

朝倉「冗談じゃないわよ?」

キョン「ひでぇ」


キョン「……ん。そうだ。確かジャンパーに…」

朝倉「どうしたの?そんな状態じゃ帰れないと思うけど」

キョン「無理して帰る気はないさ。ほら…コレ、やるよ」

朝倉「なに?」

キョン「クリスマスプレゼントだ。二日酔いサンタクロースからのな」

朝倉「ホント?ありがとう」

キョン「長門には枕元に置いといてやるか…」

朝倉「わぁ。これ、髪飾り?」

キョン「ああ。あまり気のきいた物を思いつかなかったんだ」

朝倉「ううん、十分よ。嬉しい」

キョン「そう言ってもらえて何よりだ」

朝倉「そうだ、お返しにお夜食つくってあげる。何がいい?」

キョン「麺類とか…かな」

朝倉「うどんならできるけど」

キョン「おう。それで頼む」

朝倉「はーいっ」

キョン(ふおぉ……今の返事は非常に良いッ。まるで俺の妻になったかと錯覚するくらいにな)

Last modified:2009/08/12 04:19:01
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References:[新作収録ページ(一覧その7)] [作品集]