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(ss)417

作品情報

作者4-565氏初出070128
題名とある〜委員長

とある 高校の校門前   可憐な委員長が、男子と話をしている。
良くある微笑ましい光景に見えるが、委員長が宇宙人ってのはそう無いはずだ。

「どうした? 誰か待ってるのか?」
下校時間もとっくに過ぎ、冬の空はすでに暗くなっている。
校門の前に佇む可愛い委員長に声を掛けると、朝倉は振り返りこちらを見る。
「えっ? あ、友達とね、一緒に帰ろうって約束してたんだけど… 」
「そうか。しかしいつまで待ってるつもりだ?下校時間も過ぎてるし」
俺の言葉を聞いた朝倉は校舎の方を見るが、すでに教室の明かりはすべて消えていた。
「そうね、すれ違いになったのかも」

ふぅ。と息をついた朝倉が、また明日ね。と言いながら坂を降りていく。
俺も坂を降りて帰るわけで、結局二人で並んで帰るかたちになる。
朝倉にしては大人しく、たいして話もせずに淡々と歩いている。
分かれ道、じゃあね。と言った朝倉に、最近は物騒だから送ってやると伝えると
可憐な委員長は少し驚いた顔を俺に向け
「 優しいところ、あるんだね。 」
そんな事を言ってきた。

「まぁ。 暗いしな。」
俺は魔法使いでもなければナイフ使いでもない。いざという時助けにならないかもしれんが、夜道をお前ひとりで歩くよりマシだろ?
「そうかな? そうかもね。」
そんな良くわからない返事を返すと、朝倉はまた淡々と歩き出す。

高級マンションの前の横断歩道で信号待ちをしていると、ここでいいから。
朝倉はそう言って道の向かい側にある信号を見つめていた。
そうか。とひと言だけ返すと俺も赤信号をながめる。
車の流れが止まり信号が変わろうとした時

「今日はありがとう。本当はね、一人で帰るのちょっと、怖かったんだ。」
朝倉は信号を見つめたままそう言うと、そっと手を繋いでくる。
俺は信号を見つめたままで、何も言えずにただ、突っ立っていた。
信号が青に変わり、じゃあな。と声を掛けて帰ろうとして
俺は不意に手を引かれ、よろけそうになる。
同時に俺の頬に温かく、柔らかな、朝倉の唇が軽く触れている事に気付く。

俺が驚いて朝倉を見ると、可憐な委員長は伏目がちに俺を見つめ
「感謝の… 気持ち。」  

それだけ言うと朝倉は、振り返りもせず、駆け出していった。

Last modified:2007/01/29 22:43:19
Keyword(s):[とあるシリーズ]
References:[旧作一覧その5]