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(ss)406

作品情報

作者4-565氏初出070121
題名とある〜委員長

とある 高校の一年五組   可憐な委員長が、男子と話をしている。 良くある微笑ましい光景に見えるが、委員長が宇宙人ってのはそう無いはずだ。

放課後に話したい事があるから教室に残って欲しいと朝倉に言われた俺はひとり、またひとりと人が少なくなっていく教室で、最後のひとりを見届ける。
冬の空気が教室に迷いこんでくる事もなく、俺は朝倉の前の席へ後ろを向いて座る。

「どうしたんだ。話ってなんだ。」
そう聞いた俺に向って朝倉は、ポツリポツリと今日の昼休みにあった事を俺に話し始める。
大体の事は俺も知っている。ただ、クラスで話題にする物がなかっただけだ。
学年一の美少女が告白されるなんて日常茶飯事も、夏頃までは結構盛り上がったが、頑なに断り続ける委員長に、クラスの奴らも結果を知っている試合を見ている様な感想しか抱かなくなったって事だ。

「でね。あなたは… どう思う?」
委員長にしては抽象的な言い様だ。俺はなんと言って応えて良いかわからずに目の前でうつむいている少女を見やる。
「お前次第じゃないのか。」
息の詰まりそうな時間の流れに堪えかねて、当り障りのないような事を言う。

「お前が良いと思えば付き合ってみればいいし、嫌なら断ればいい。それだけだ。」
俺の胸中になんともいわれない、何かすっきりしない物が蠢いている。
「ほんとうに、そう 思ってる?」
そういって朝倉は、膝の上に置かれた自分の手を、じっと見つめている。
言い様のない物が頂点に達した俺は、朝倉にそいつを助言に換えて声に出す。
「ただな、俺はお前には、もっとお似合いの奴がいると思うぜ。」

俺の声を聞いた朝倉は、ぱっと顔を上げると
「そうだよね。わたしもそう思うんだ。 あなたも、そう思う?」
そう言って身を乗り出す可憐な委員長は、あなたは誰がお似合いだと思う?
柔らかな微笑で見つめながら、そんな事を訊いてきた。
俺に答えられる訳がないだろう。

「さあな。待っていれば、いつか現れるんじゃないのか。」
そう言って教室を出ようとした俺に

「 うん。 待ってるから。 」

朝倉の願いとも希望とも取れる言葉が
俺の耳元に 届けられた。

Last modified:2007/04/06 00:30:41
Keyword(s):[とあるシリーズ]
References:[旧作一覧その5]