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(ss)092

作品情報

作者4-340氏初出060809
題名無題

息も白む様な冬のある日、俺はとある理由でハルヒとあいあい傘をするハメになり、そのハルヒを駅まで送ったあと、
自分の家に向かっていた。そして、俺の家のすぐ近くの公園に、そいつはいた。

「おい、なんでおまえがここにいる?・・・・もとい、なにをやってる?」
「あら?そんな言いかたないでしょ?私は学生という肩書きを奪われて今やプータロウなのよ。」
・・・朝倉だった。
半年前、俺にナイフを突きつけ本気で殺そうとした元学級委員がいまや、おでんの屋台を引っ張り出して
人の家の近所でちゃっかり商売なんかしている。
「なんか食べていかない?級友のよしみでサービスしとくわよ。」
嫌だ、マジにゴメンだ。殺されかけた相手をそう信用するはずもないだろう?
お前はいつあの得体の知れない空間を構築し、また俺に刃を向けるともわからん奴だ。
「ふふ、もうそんなコトする必要ないのよ。私は長門さんに敵性の烙印を押されて、今や情報思念体からも追われる身なのよ。」
「へぇ、そんなお前が悠長におでん屋台なんか出していてもいいのか?」
そういって、俺は屋台の椅子に腰をかける。信用したわけじゃないが、今の俺はこいつと話してみたいとも思っていた。
それに、正直腹も減ってるし・・・・
「私だって、糧を得るためには働かなくちゃいけないのよ。」
朝倉はペットボトルから水をコップに注ぎ、品書きと一緒に俺の前に差し出す。値段は結構リーズナブルだ。

「ふうん。あの涼宮さんがねぇ・・・。」
「あんときは俺もさすがにぶったまげたぜ。なんせ、歌い出したと思ったら一瞬で観客の心をつかんじまったもんなぁ。」
やばい。少しだけと勧められた酒のせいか、普段より饒舌になっている。
朝倉はすじ肉とかジャガイモとかをどんどん器に盛って俺に食わす。
俺も、口が滑らかなせいかそれらをどんどん胃に収めていく。正直上手かった。
「うらやましいなぁ。私も文化祭やりたかったなぁ」
朝倉がいれば、クラスももっとマシな出し物を出す方向性で動いていただろうな。
とか、マジで思っている。いま俺は、朝倉に完全に気を許していた。

「いつもここで商売やってるのか?」
「ううん・・・」首を横に振る朝倉。
「同じ場所に居続けたら、情報思念体に見つかっちゃう。」
「そうか。美味かったぜ。」
「そう・・・ありがと。」
満面の笑みで礼を言う朝倉。こいつは長門の同類じゃなきゃ、今頃は普通の生徒として夏休みも文化祭も
過ごしていれたはずなんだよなぁ。そう思うと、なんだか可哀想にもなってきた。
もし、朝倉がそのまま普通に居続けたら、クラス内でも何か違うことが起こっていたのだろうか?

「よかったらまた、おでんをご馳走したいわ。」
「機会があったらな。」
「あるわよ・・・。多分、そう遠くない未来に。」
「?」
そういった朝倉はなんだか悲しそうな笑顔を俺に見せてくれた。
俺もそれ以上何も言わずに家に向かって歩き出す。
曲がり角で振り向いたときには、その屋台はすでに消えていた。

Last modified:2007/01/06 00:32:15
Keyword(s):
References:[旧作一覧その1]