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(ss)002

作品情報

作者1-173氏初出060504
題名朝倉 涼子

12/18
 バックアップ役の追加要員として補充される。

3/25
 申請し続けていたコードが採択された。本来であれば、001が割り当てられるはずであった観測対象と同じ空間にて観測する役割を担うこととなった。小気味いい。
 001は少し離れた地点にて待機モードに移行。そのまま役目を終えることを願う。

4/9
「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
 観測対象の第一声に呼応することも考えたが、まだ情報結合を解除されるわけにはいかない。
 情報結合を解除されてまで見合うものが得られるとも限らず、行動を起こすことは見合わせる。

4/27
 委員長と呼ばれる都合のいい地位に就くことができた。
 地位を利して観測対象に自然を装い発話をするも、無反応か拒絶の声しか返ってこない。
 この間、観測対象は色々試みていたようだが、これといった変化は見受けられなかった。


5/6
 観測対象が前の席に座っている異性と会話を成立させていた。   5/7
 観測対象が髪を切った。入手済の情報によれば、女が髪を切るときは失恋かなにか重大なことが起きたときである。昨日の会話にことを発する可能性もありうる。興味深い。

5/11
 観測対象に変化が見られた。前の席に座っている異性と口を利くようになったのだ。
 これまで幾度となくアプローチをかけてきた私を無視し続け八方塞かと思い始めた際の出来事だった。
 この僥倖をフイにする手はない。早速その異性に接触を試みた。なにをすれば意思疎通ができるのか。
「解らん」
 やはり有機生命体との情報交換は難しい。これ以上は自己感情制御能力に欠損が生じる恐れがあるため観測対象との関係を維持、発展するよう、念を押した上で距離を置く。観測を続ける。

5/13
 異性と観測対象の関係は良好に見える。席順も情報操作を行い隣接させた。
 新たな変化が観測できる日が待ち遠しい。
 いや、待つ必要はなかったようだ。
 授業と呼ばれる下等な情報伝達作業中、観測対象が騒動を起こした。
 異性が以前に発話した内容から類推し新情報を発掘したのだ、と聞き取れた。
 授業後、観測対象が異性を連れて別の地点へ移動したことと照らし合わせて観測対象に異性を近づけたことは正解だったとの結論を、私は導き出した。


5/14
 定時報告を閲覧して得た情報によると、昨日、観測対象が待機モードにあったインターフェースNo001、通称長門有希と接触し、部屋を占拠した。
 まったくのイレギュラーに少々困惑している。しかしこれも観測対象の持つ力である可能性が高い。001に出番が回ってきたことは面白くないが、観測を続ける。

5/15
 定時報告によると、いわゆる未来人である朝比奈みくるを、観測対象が 立ち上げたSOS団と呼ばれる活動に引き入れた。外見だけで選別した結果 的確に未来人を引き寄せたことには、興味深いものがある。
 しかし、定時報告を参照しているうちは、常に後手を踏んでいることになる。
この情報も昨日の出来事である。焦りが募る。

5/20
 定時報告。観察対象が原始的な情報ネットワーク手段を入手。
 それを使ってどうするのか、興味がないわけではない。しかし原始的であり観察対象の可能性を引き出すものとしては力不足と判断した。
 また、これは目視したことだが、建物の出入り口付近で扇情的な格好を身にまとい、未来人とともに用紙を配っていた。
 あとで間接的に入手し内容を確認したところ、世の中の不思議を探している、と記載されていた。
皮肉と呼ばれる言葉が浮かんだ。


5/21
 昨日の定時報告は珍しく当たり障りのないものだった。
 一方、観測対象は昨日の用紙配布が妨害されたことに腹を立てていた。
 私は今やSOS団の一員となった異性に対して委員長としての責務を果たした。
 ……委員長というこの立場も、観測対象が001の下へ移行したあとでは 足かせにしかなっていない。本来の任務からすると、私がすべきことは 観測対象にもっと行動するよう、異性を焚きつけることであるはずだ。


5/28
 001が妙におとなしい。定時報告も無難なものしか書いていない。
 朝、観測対象が転校生の訪来を騒いでいた。
 私が対象について今日観測したのはここまでだが、別の要件がある。
 異性と001が私達の住居前の公園で会っていたのだ。
 001はそのまま異性を自らの住居へ誘い、数十分後に異性だけ出てきた。
 明日の報告を待ちたい。

5/29
 定時報告には、いわゆる超能力者である転校生が加入したことが記載されていた。
 しかし異性のことについては何もなかった。
 直接聞き出すことも考えたが、情報結合解除の憂き目に会う可能性もある。
 001に強攻策を用いることは自滅と同じだ。別の路線を探る。


5/30
 校外活動を行うとの報告を受け、私も見つからない範囲で様子を伺う。
 結果、観測対象に関して発見したことは、例の異性に恋愛感情ないしそれに近いものを抱いていることである。感情に乏しい001には発見できなかったことである可能性が高い。
 さらに気掛かりなこととして、異性に関心を寄せるあまり、観測対象が持つ力にかげりのようなものが見受けられたことを挙げる。事実、不思議を探すという名目の校外活動で何も発見できなかった。考慮の余地がある。

5/31
 校外活動に関する報告に私が得た情報以上のことは何も書かれていなかった。


6/1
 観測対象は生気に欠けた様子だった。001の下へ向かわず帰っていったため後をつける。
 いったん帰宅し向かった先は、先日の校外活動の折、通った道であった。
 ここに来て、その姿を見て私は観測対象が迷走していることを確信した。
 これ以上、同じことを続けさせていては、やがて力は消えてしまう公算が高い。
 この原因を作ったのは、あの異性だ。001も観測の任務を半分放棄しているところがある。
 それが主流派の総意であるなら、こちらも勝手に行動させてもらおう。

6/2
 最初は誘惑という手段も考えた。それも今の観測対象にとっては効果的である可能性が高いからだ。しかし、それより確実な手段がある以上、そちらを採る。
 これで確実に大きな変化が訪れる。それは情報統合思念体も望むものだろう。
 自然と顔に微笑みが浮かぶ。いままでのプログラムされた感情とは違うものだ。
 戸が開いた。

Last modified:2006/12/30 01:45:51
Keyword(s):
References:[旧作一覧その1]