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妄想電車

第二百八十六話:”妄想電車”

人ごみが嫌いな俺にとって、平日のガラガラの電車は心地が良い。
でも、今日はちょっと違う。電車が緊急停止してずっと動かないからだ。
俺が乗っている車両には年寄りが3,4人とキモイピザが一匹と暗そうな男が一人いた。
特に騒がしい様子も無く、みんな大人しくしているようだ。
それにしても長すぎる。俺はこういった待たされることが何より嫌いでちょっとキレそうになっていた。
そんな時、予想外なことがおきた。
ピザがなぜか、俺に話しかけてきた!?

「暇そうだね。何か話でもしようか?」

何を言っているんだこいつは?

「いや、別に話なんかしたくないし……」

「そんなことないはずなんだよね?君は俺と同じ底辺の人間に見えるけどね?」

こいつはキモイな。だが、なぜ俺が底辺の人間だってことがわかったんだ?

「君が認めたくなくても、みんな君をそういう目で見てるんだよね。
何について語り合おうか?じゃあ、まず何フェチかについて語ろうかな」

理解不能だ。こいつは無視にかぎるな。

「やっぱり、電車の中にいることだし、電車の可能性について語ろうかな。
電車っていうと、どうしても痴漢について語らないといけないかな……
俺的に自分が手を下すっていうのはちょっとレベルが低いと思うんだよね。
俺みたいに妄想力があれば、痴漢なんてする必要はないよ。
君にはちょっと分らないかもしれないけど、妄想力って限りが無いから、やりたい放題できちゃうんだよね」

「……今の発言は流石に黙っていられませんね」

突然、ピザの誰も聞いてないであろう話に割り込みをいれる声が聞こえた。
そいつは暗そうな男だった。

「僕の前で妄想について語るとは、僕に対する挑戦と受け止めましたよ」

何だこいつは?また、変人が寄ってきやがった。
俺は辺りを見回す。微妙に冷たい視線を感じる。
おいおい、俺をこいつらと一緒にすんなよ。
まあ、ジジイ・ババアばかりだから大したことは無いけどな……
その後も俺は当然会話に加わらず無視していたが、こいつらの会話はずっと聞こえていた。


「君の妄想についての意見はわかったから、そろそろ君の妄想力を見せてもらおうかな?」

「いいでしょう。僕の力をお見せしましょう」

なにやら、暗そうな男が集中し始める。
突然、俺の目の前に白い光が見え始め、俺の意識は真っ白になった。
しばらくすると、ぼやけているが人の姿が見え始めた。
あれは、暗そうな男か?もう一人は小さな女の子のように見える。

「お兄ちゃん、喉が渇いた」

「残念ですが、飲み物は持っていませんよ。ですが、どうしても飲みたいのならいい考えがあります。
少し飲みにくいかもしれませんが、ヨーグルトを飲むように飲めば問題ありません。
では、少し手伝ってください。ほら、これを……」

「プヒ!」

突然、また白い光が見え始め、もとの電車の中が見えるようになった。
ピザが小刻みに震えている。

「プヒヒ!あまり笑わせないでくれるかな」

「なんなんですか?今からが僕の力の見せ所だったのに……」

「よ、幼女でその程度の妄想力しかだせないなんてね。ぼやけてたし細かい描写ができてないよね。
もうちょっと期待してたんだけど、まあ割と頑張ったほうなのかな?
今から俺が本当の妄想を見せてあげるから、まあよく見てもうちょっと頑張るといいよ」

また辺りが白くなる。
今度はハッキリと見えている。かわいい女の子が三人とピザが見える。
ん?暗そうな男もいるな。暗そうな男は呆然として突っ立ってなにかブツブツ言っている。
「多人数……こんなにも鮮明……シチュエーション以外リアル……」

「誰から可愛がってあげようかな?」
ピザが女の子に迫る。
なんなんだろうなこれは?これが妄想の力なのか?
まあどうでもいいか。とりあえず、むしゃくしゃしたんで、俺は躊躇わず拳をピザに放った。

喪にも

可女少
な物語

作品情報

作者

出典

  • 第四夜[485-488]

あとがき

  • (投稿なし)
Last modified:2007/07/13 02:49:45
Keyword(s):
References:[第ニ百八十一話〜第ニ百九十話]