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喪かあさん

第二百六十三話:”喪かあさん”

ある日の深夜
隣の母の部屋からうめき声が聞こえた
おいおい、あんたが死んだら母子家庭はどうやって養うんだ?
俺は働かないぜ?なんて思いながら母の部屋に入る

「おなかが痛い」

母は苦痛に顔を歪めてそう言った
メンドくせー、とは思いながら受話器を取り、119を押す
けれど…

「あれ?この電話壊れてるべ
 9押したら6になってる」

そう言うとさっきまでの腹痛が嘘のようにいそいそと母親は俺に携帯電話を渡した

「これなら大丈夫なんじゃない?」

母親の顔は元気ハツラツだ
かと言って、持病か何かの発作的な病の可能性を考えて、俺は携帯電話で119した
救急車はすぐに来るそうだ

「救急車が来るならお化粧しないと…」

「ありがとね、喪っくん」

「起こしてゴメンね、お腹すいたでしょ?」

「焼きそばでいい?」

救急車が来る間も、母はいつもの元気な姿で走り回っていた
何だよ、仮病かよ…?そう思いながら俺は、やって来た救急車に母を押し込めた
ふう……

そして数時間後、病院から電話がかかってきた

「残念ですが…」

話を要約するとこうだ
あの後、救急車で苦しんだ母は、病院に着く頃には死んでしまったらしい
俺は唖然とした

ああ、そうか
母さんはいつもそうだったな
俺に心配をかけまい、といつも頑張ってた
女手一つで賄えるような年齢じゃないニートの馬鹿息子を抱えて…
昨日だって、無理をして「母親」という仕事をしていてくれたんだろう

俺は涙が止まらなかった

ありがとう、母さん
ごめんな、母さん
俺、母さんが居ないと寂しいよ…
だけど、ためしに頑張ってみるよ
見ててくれ

END

作品情報

作者

出典

  • 第四夜[?]

あとがき

  • お題じゃないけど…
Last modified:2007/04/22 08:26:48
Keyword(s):
References:[第ニ百六十一話〜第ニ百七十話]