FrontPage  Index  Search  Changes  RSS  wikifarm  Login

選択肢

第三十八話:”選択肢”

喪は今日も部屋に帰ってくるとエロゲーに没頭していた。
そしてエロゲーの主人公達を病的にうらやましがり続けていた。
それにはきちんと理由があり、喪自身の環境も非常に恵まれているからなのだ。
幼馴染はいるし委員長はいるし剣道娘はいるし義理の妹までいる。
だけど喪は行動力が無いため彼女達に話しかける事すらままならない。
そんなある日、喪はエロゲをやってる途中PCが爆発したかと思うような閃光を目に受けてしまう。
すぐさま病院に連れて行かれる喪。原因は不明だがすぐ見えるようになると診断を受けて帰宅をする。
次の日、病院で付けられた包帯を取ってみると彼の目の前に選択肢が現れた。

「起き上がる」
「起き上がらない」

目線を動かすとカーソルが動く。喪は起き上がるを選んだ。
部屋を出ると義妹がいた。

「挨拶をする」
「抱きしめる」

当然上を選ぶと、なにやら綺麗な効果音が鳴った。
すると、義妹が久しぶりに喪に笑顔を見せてくれたではないか!
そうか。もしかしたらこれは自分を幸せにしてくれる選択肢なのかもしれない。
喪は一人で盛り上がり、元気に学校へ向かった。

そうすると選択肢がたくさん出てくる。
意中の娘との間ではまるでゲームかと思うように会話が発生し、
その度に喪は彼女達の喪に対する好感度を上げていった。
だじきに選択肢を選ぶのが難しくなっていった。これもエロゲーと同じだ。
間違った選択肢を選んでしまって、彼女を逃す喪。
だが、喪はまだまだ女なんて星の数ほどいると思い直して次の人の尻を追う。

それでもクラスの女性はほとんど失敗してしまう。
しょうがないので喪は相手を義妹にする事にした。義妹も十二分にかわいいじゃないか。
選択肢をどんどん選んでいき、義妹の好感度を上げる喪。
逃すわけにはいかないとどんどん行動はエスカレートし、家庭内ストーカーと化していた。
しかし義妹の喪に対する好感度は右肩上がりで上昇していく。

ある日、いつものように下校途中に義妹をストーキングしていると男子生徒が目についた。
木陰から義妹を見つめており、時折話しかけようとしているがどうにも出来ていないようだ。
自分の義妹を奪おうとしている奴がいる。喪は全力でそいつを排除しにかかった。
姿を見る度脅迫めいた行為におよび、義妹にもそいつに近づかないように仕向ける。
もうほとんど自分に靡きつつあった義妹は素直に従い、そいつには近づかなかった。
傾向が読め始めた選択肢を間違える事ももうなかった。

そいつに関する情報集めををしていると、喪は少しずつ回りがどんな噂をしているのかが聞こえてきた。
そいつは周りから好評価しか受けておらず、反面自分はエロゲーに嵌っていた以前より評価が落ちていた。
自分のストーカー地味た行動にようやく気付く喪。気遣う義妹を振り切って部屋に入る。
夕食のために部屋から出て戻る所で義妹が話しかけてきた。

「お兄ちゃん。今度の日曜日に○○君に遊園地に行こうって言われたんだけど…… どうしよう」

「行った方がいいだろう」
「行かない方がいいだろう」

選択肢が現れた。正解は分かっている。たぶん下なのだろう。
だけど喪はすぐに答える事が出来なかった。

義妹はいつからこんなに自分に依存するようになってしまったんだろうか?
自分はこの力を手に入れてからの数ヶ月一体何をしていたんだろうか?
義妹の事が好きなあいつが一体自分に何をしたっていうんだろうか?

様々な気持ちが自分の中で混ぜこぜになりはじめ、目頭が熱くなってなぜか涙が出てきた。
心配そうに自分を見上げる義妹の目を見つめながら、喪ははっきりと答えた。

「行った方がいいと思うよ」

次の日に目が覚めると、もう選択肢は出てこなかった。
一ヶ月も立つと、義妹はあいつと付き合いを始め嬉々としてあれをしたこれをしたと報告してくる。
あの力を手に入れて得た物は仲のいい妹が出来た事と自分を振り返る事が出来るようになった事だろうか。
そして、この世には無数の「選択肢」がある事も今の喪は気付いていた。

力を手に入れてからの生活を振り返ってみて、喪はとりあえず普通の高校生活を取り戻すことにした。
今までの自分だったら今のように寝坊したら確実にずる休みをしていただろう。
だが、今の喪は学校に遅れないようにと走る足をより速めるのだ。
直角に交わった交差点の向こう、自分と同じように初日の学校へ遅れないよう急ぐ転校生にも気付かずに。
彼らが偶然ぶつかるまで後、十数秒。

終わり。

作品情報

作者

出典

  • 第一夜[250-252]

あとがき

このスレ楽しいな。俺も書いてみた。
下手糞でスマソ。

Last modified:2006/11/05 01:51:36
Keyword(s):
References:[第三十一話〜第四十話]