FrontPage  Index  Search  Changes  RSS  wikifarm  Login

真冬の葬列

第二百七十二話:”真冬の葬列”

私には愛する人がいる。
彼には「友達」がいないらしく、その分私をとても愛してくれる。彼は朝、私に口づけ「行ってくるよ」と言う。夜は、私の頬を撫で「ただいま」と言う。彼がいない間はすごく淋しいけれど、それ以外は2人の幸せな時間。

雪が降ったある朝の日。
私は寒くて彼の布団から出られなかった。彼は笑みを含んだ声で「行ってくるよ」と布団の上から私の体を優しく指でトントン、と叩いた。私は返事代わりに顔を上げ、また眠りに落ちていった。
その日はお昼に目が覚めた。
ご飯を食べたり窓の外を覗いてみたり、彼の温もりの残る布団にもぐりこんだり・・・・いつもの気ままな日常だった。
夜になった。
彼の帰りが、いつもより遅いような気がした。私は淋しさをまぎらわすように、小さな部屋の中を歩き回ってみたり、彼が脱ぎっ放しているパジャマを器用にかぶってみたり、部屋の中の小物を倒す悪戯をしてみたりした。
それでも、しんしんと雪が降り積もるのと比例して、私の淋しさと不安も重みを増していった。
その日彼は帰って来なかった。
次の日も。

明くる日、鍵を開ける音がした。私は慌てて玄関に向かう。「淋しかった?ごめんね。ただいま」そう言って、彼が頬を撫でてくれる筈だった。でもドアを開けたのは彼ではなかった。見た事がある顔。私は思い出そうと賢明に記憶呼び起こした。
彼より少し小さくて華奢な手が私の頭を事務的に撫で、私に何か言った。私のご飯をお皿に入れ、また出て行った。慌ててるようだ。あぁそうだ、彼のお姉さんだ。また一人残された部屋で、彼女がさっき言った言葉を思い出す。
「スリップ」「昏睡状態」
私には意味は分からない。でも、胸がざわついた。
私は玄関のドアについている、「私専用の小さな扉」から走って出て行った。彼に会いたい。どこにいるのか分からないけれど、夢中で探した。一目でも会いたくて走った。足に刺さるような雪の冷たさも気にならなかった。

体に鈍い衝撃と鋭い痛み。そして宙に浮いた感覚。

貴方は目を覚ましたみたい。しばらく会えなくなるけど、貴方の為に出来る事があって良かった。元気になって帰ってきた時、私が家にいなくても淋しがらないで。
晴れてきたよ。雪も溶けるかなぁ。

――終――

作品情報

作者

出典

  • 第四夜[352-353]

あとがき

ありがちかも知れないし、段落があまりなく読み辛いと思いますが、よろしくお願いします。

勢いで投稿してしまったけど、よく考えたら主演は喪男なんですよね。喪男サブキャラにしてしまったよ・・・

可愛いがってるペットは、飼い主の代わりに厄を持ってっていってくれるってゆわれるじゃないですか?
そういう感じの内容なんだけど、ペットを飼ってる身として、直接的な表現はどうしても心が痛んで使えなくて、曖昧な仕上がりになってしまった。すまない。

頭で描くようには、なかなか文章って書けないもんだなぁって思った。
レスくれた人ありがとう。指摘してくれた人もありがとう。

Last modified:2007/06/11 00:42:30
Keyword(s):
References:[第ニ百七十一話〜第ニ百八十話]