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Pr.Def.6

略記法

確率を式で表記する際、厳格な書き方は、慣れた人にはまどろっこしすぎます。 そこで、てっとりばやい略記が広く使われています。 この節では、よく見られる略記法を紹介します。 ただし、慣れた人は略記でも読みとれるからいいのですが、 勉強中の人には混乱のもとでしょう。 少しでもとまどいを感じたら、本来の記法に書き直すようにしてください。 たとえ教師が略記を使っていてもです。

確率変数の記法

確率変数は大文字が原則です。ただの数には小文字を使って、 X(ω) = a のように書けば、どれが確率変数でどれがただの数かを、 区別して見せることができます。 でも、この原則は必ず守られるとは限りません。 複雑な話をしていると文字が足りなくなってくるから、まあ仕方ないでしょう。

それよりも、X(ω) と書いたり単に X と略したり、 の方が混乱するかもしれません。 X = a と書くと、「不確定にゆらぐ量 X がたまたまある数 a になった」 という人間視点な雰囲気が感じられます。 これを、必要に応じて、X(ω) = a という神様視点に 移せるようになってください。 神様視点では、「点ωにおける関数 X の値が数 a 」です。

さらにずぼらに、同じ文字 X を、確率変数とただの数とであいまいに 使ってしまう例もあります。 「Ω上の関数」である確率変数と、 「それがとり得る値」としてのただの数とは、 本来は別物なのですが、使いわけをさぼってどちらも X と書いてしまうのです。 どちらの意味なのかは、読む側が、文脈などからそのつど判断しなくてはいけません。 少なくとも、確率の勉強をしている間は、こんな書き方は避けた方が無難でしょう。

【FAQ】 アルファベット26文字で、まだ足りないんですか?

→ すぐ足りなくなります。 26文字をどれでも自由に使えるわけではないからです。

慣習によって、各文字にはすでにイメージやニュアンスが 染みついています。 見せられた数式をぱっと読みとる際、これはかなり助けになります。 一方、この慣習のために、文字が自由には使えなくなっています。

例えば、「関数 f(x) = 3 x + 1」と「関数 x(f) = 3 f + 1」とは、 名前をつけかえただけで本質的な意味は変わりません。 でも後者には違和感を受けるのではないでしょうか。 プログラムで言えば、変数名が「G5139」みたいになっていたり、 C 言語で「main(int argv, char* argc[])」などと書かれていたらどうですか? プログラム自体の意味は同じでも、人間には読めたものではないでしょう。

規則としてきっちり決まっているわけではありませんが、 慣習に従っておく方が読みやすくなります。 この慣習と「確率変数は大文字」とどちらを優先するかは、ケースバイケース。

もう少しだけ丁寧な説明が、 「これなら分かる応用数学教室」には載っています(1.1.3の「ディスカッション」)。 (-) (-) また、 テトラちゃんと相加相乗平均 にもこの話がちらっと出てきました。 【FAQ 終】

確率の記法

三つ組(Ω, F, P)の P で測られる「面積」が確率だ、 という説明を本書ではしてきました。 この説明からすると、本来は、

P(Ωの部分集合)

という書き方しか許されません。 でも、実際には、

P(条件)

という書き方も気軽に使われます。例えば、

P(2 ≦ X < 7)

と書いたら、 「『2 ≦ X(ω) < 7 となるようなωの集合』を A としたときの P(A)」 ということです。同様に、

P(X = 3)

なら、 「『X(ω) = 3 となるようなωの集合』を A としたときの P(A)」 となります。 ただ、 この書き方には、「P(X=3) = 0.2 」のように = が並んでぶかっこう、 という欠点があります。それを嫌ってか、P(X = 3) のことを

P_X(3)

と書くのも見かけます(「P_X」は「P の右下に X を書く」)。 さらに、誤解の余地がなければ、

P(3)

とだけ書いてしまったりもします。

問題は、X,Y のように二つの確率変数があったとき、 それらの分布をどう区別して表すかです。 P(X=3) や P_X(3) なら確実なのですが、大量に出てくると、 目がちかちかするし書くのもまどろっこしくなってしまいます。

穏便なのは、「X の確率分布を P、Y の確率分布を Q とする」 のように違う文字を使う流儀。 P(3) と書いたら P(X = 3) のこと、Q(3) と書いたら P(Y = 3) のことです。 添字などなしでぱぱっと書けるのが利点、 使う文字の種類が増えてしまうのが欠点です。

実際には、もっと過激な略記も現場では使われます。 罠があるのでアマチュアにはおすすめしませんが、 こんな書き方の本を読めないのは困りますから、紹介しておきます。 それは、「 P(x) と書いたら P(X=x) のこと、 P(y) と書いたら P(Y=y) のこと」 という流儀です。 P(3) と書いたときにどちらなのかわからないのが罠です。


コメントはプログラミングのための確率統計


Last modified:2005/12/15 01:13:10
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References:[Pr.Def]