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第一回ほたて最強の男トーナメント

第一回、ほたて最強の男トーナメント!

決戦は11月18日、108回目スレッドにて。
男 た ち の 熱 い 夜 が 始 ま る!
基本ルール

  • トリップをつけたレフェリーあきが試合開始を宣言
  • そこから下のレス下二桁で勝負
    • 若干ルール変更
      下二桁合計で勝負
    • ゾロ目の場合は必殺技発動で攻撃値の二倍を用いる
  • 2レスごとにインターバルを挟む
    • レス数:状況
    • 0:開始宣言
    • 1:Aの二桁
    • 2:Bの二桁
    • 3:インターバル
    • 4:A
    • 5:B
    • 6:インターバル
    • 7:A
    • 8:B
  • で、試合終了時点でもし引き分けなら、もう一試合インターバルをはさみ延長戦を行なう
  • 1・2レス、4・5レス、7・8レスの三本勝負で多く勝ったほうが勝ち進みます
  • 結果をレフェリーあきが報告

決勝戦のみ三本勝負を三回行い、先に二本先取した者を優勝者とします
決勝戦のみ一回目、二回目と攻守を入れ替え
三回目にもつれ込んだ場合はレフェリーのインターバルレス番号の奇数・偶数で先攻:後攻を決定します
奇数=1・2ブロック勝者、偶数=3・4ブロック勝者の予定

  • 初日の日程は終了
    第一ブロック、第二ブロックの一回戦まで終了
    第三ブロック以降は11/19の夜、110スレ目の予定
  • 二日目の日程も終了
    一回戦の全ての試合が終わりました
    第二回戦は11/20の夜、112スレ目の予定
  • 三日目の日程も終了
    二回戦8試合全て終わりました
    第三回戦、ベスト4を選ぶ準々決勝は、11/21夜、114スレ目の予定
  • 四日目の日程も終了
    準々決勝4試合全て終わりました
    最終日となる五日目、準決勝・決勝は11/22夜、116スレ目の予定
  • 最終日五日目の日程も終了
    準決勝2試合・決勝三本戦×三回含め、全31試合全て終わりました
    優勝者は竹刀さんに決定!
    5日間お疲れ様でした

試合結果

トーナメント票

トーナメント表.jpg (comment plugin is disabled).

SS投稿フォーム

トーナメント関連SSなどはとりあえずここにコピペしてください。
後に分類や編集を行います。

改行は投稿時に{{br}}にしといてくれると読みやすいですが、
後で編集するからまぁ何とかなるんではないでしょうか。
簡単に改行を{{br}}に変換する方法
1.テキストファイルをIEにドラッグ&ドロップ
2.アドレス欄に
javascript:with(document.body)innerHTML=innerHTML.replace(/\r\n/g,'{{br}}\r\n');focus()
と入力してエンターキーを押す
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ヴォウジェさんとハルバードたん - 名無しさん (2005-11-26 (土) 01:34:03)

1132698944232.jpg

大会後
ハルたん「お父様!」
ヴォウジェさん「ははは、やはり竹刀さんは強かったよ。
ハルには情けない姿を見せてしまったなぁ」
ハルたん「そんなことない!私の自慢の父ですわ・・・」 (comment plugin is disabled).

第二ブロック第二回戦妄想 - 名無しさん (2005-11-21 (月) 17:37:46)

長柄の槍斧を持つ、流浪の騎士ハルバードさんが武闘場に立った時、
聖ウェポンヌ学園の騒乱姫こと、ハルバードたんは物思いにとらわれた。
ハルたんをお傍で守る、フルプレートメイルたんは、そんな主人の表情に気付く。

フルたん「ポソポソ?(お嬢様?)」
ハルたん「あの騎士さま、どこかで……?」

娘にすっかりハルバード家の党首の座を持っていかれた、
ハルたんの父、ヴォウジェさんは、いつもうだつの上がらなさそうな表情に、
ほんの少しの真剣さを含ませて、ハルバードさんの甲冑姿を見送る。
ハルバードさんの背中は、ヴォウジェさんと、ハルたんを意識しているように、
どこか気負いがちだった。

ハルバードさんに対するは、鉄扇たん。
女形、として帆立学園で有名である。
男でありながら、女の持つ艶、繊細さを駆使する者、それが女形だ。
男のおごりを捨て、女の細心で人体の急所を狙う、暗殺術の遣い手である。

   ★

――第一ラウンド。
ハルバードさん、何故か動きが硬い。
騎士の甲冑は、それ自体が重量のあるものだが、戦勲を立てる騎士は、
その重みを我が身とするのが常識。
――つまり、甲冑をまとっても素肌であるように、自然に動けるものなのだが。
ハルバードさんの気負った心が、体に出たのであろう。
自分の心に常に向き合い、「より、女であれ」とする鉄扇たんの瞳には、
それは救いがたいほどの隙として映った。
鉄扇たん「殺しの基本……それは、一撃の下に葬り去る」
全身を覆う甲冑でも、決して防御できない場所は幾らも存在する。
鎧の隙間から覗く急所――この場合は、喉のごく僅かの隙間であった。
鉄扇たんは、ゆらり、ゆらり、と間合いを詰め、
槍斧の旋風を、舞う花びらのように掻い潜り、
急所を鉄扇で打ち貫く。
ただ、それだけだった。
暗殺とは、本来的に、シンプルなものである。打ち、殺すだけだ。
だが、単純も究極化すれば、それは『美』として人々の心をも、打つ。
桜の花の香りさえ漂うような、おそろしくも美しい、鉄扇たんの暗殺術の精髄が垣間見えた一瞬だった。
ハルバードさん、うげえっ! と悶絶しながら無様に転倒。
第一ラウンド、文句なしの鉄扇たんの一本。
鉄扇たんは、鉄扇を開き、口元を隠して、見下げ果てて呟く。
鉄扇たん「醜い。愚物めが」
と。

レイジ「鉄扇たん、いきなりの超必殺技発動だー!」
サビエル「不意をつれたデース、ハルバードさんピンチデース」
レイジ「このまま、ハルバードさん再起不能で試合中断かーっ!」
サビエル「大いにありえマース。最高の角度で最強の一撃だったデース」

しかし、である。
ハルバードさん「……いたたたたた」
ハルバードさん、立つ。
鉄扇たん「何ッ!?」
鉄扇たん、激しく動揺。
ハルバードさん「あー、一本取られたか。全く、私の血は三枚目が抜けないなー」
武闘場の青コーナーにのこのこと戻っていくハルバードさんの背中は、
文字通り隙だらけであった。
今なら、殺せる……鉄扇たんは固唾を呑むが、一本の認定は審判から既に降りている。
追撃は許されない。鉄扇たんもコーナーに帰る。

   ★

誰がどう見ても文句なしの殺し技を顕現させた鉄扇たんと、
それを喰らっても平気な顔をしているハルバードさんに、
客席はどよめきの渦。
医療班として武具さんたちの治療に回っている鍛治あきは、
青コーナーでハルバードさんの負傷の様子を検分していた。
平気なように見えても、強力な一撃は後々に効いてくる場合も多いから、だが……。
鍛治あき「……嘘だろ。喉だぜ、急所だろ……?」
ハルバードさん「あー、治療は必要ないよ。ほら、この通りピンピンだろ?」
鍛治あき「ええ……続行に支障なし、と審判に伝えますが……ホントに大丈夫ですね?」
ハルバードさん「ああ。それに、あの小さな女形さんには、大切な事を思い出させて貰った。騎士の心さ」
鍛治あき「……?」
――鍛治あきの疑問をよそに、第一インターバル終了。

――第二ラウンド。
殺し技を喰らってもケロリとしているハルバードさんを攻めあぐね、
鉄扇たんは槍斧の間合いの最外殻を選び、紙一重の見切りを重ねて防御の構えに出た。
ハルバードさん「なあ、キミ」
物腰柔らかい言葉とは裏腹に、第一ラウンドとは切れも冴えも重みも段違いの旋風、
鉄扇たんは守りに出た後悔を隠すように、口を硬く閉じたままである。
ハルバードさん「うーん。答えてはもらえないか。じゃあ、問わず語りだ。
 ……さっきの一撃は本当に凄かったよ。
 実は私はね、本当は迷っていたんだ。大会に出場するかどうかを。
 理由は……まぁ、いろいろあるんだけど。でも、出ると決めたからには、
 専心して事に当たらなくてはならない。心を縛るしがらみは要らない。
 キミの一撃は、本当に綺麗だった。私も、美しいキミに誠意を見せなくてはならない。
 それが、私なりの、キミへの騎士道さ」
鉄扇たん「世迷言を並べるかっ!」
鉄扇たん、ハルバードさんの快活さが逆に恐ろしく、たまらず前に出る。
しかし、ハルバードさん、刃ではなく柄に鉄扇たんを巻き込んで投げ飛ばす。
大きく両者、間合いが離れる。
鉄扇たんは、ふわりと降り立ちながら、見た。
ギン、と眼光が異様に鋭く光る、騎士の姿を。
ハルバードさん「アーマーテイクオフッ!!フォオオオオオオオオオオ」
次の瞬間、ハルバードさんの上半身の甲冑が爆ぜたように脱装され、
その次の瞬間には間合いが急激に詰まる。
鉄扇たん「早――!」
ハルバードさんの、己が心の迷いを断ち切るが如き、裂ぱくの上段打ち込み。
鉄扇たん、武闘場に伏す。
第二ラウンド、ハルバードさん一本。
武闘場に立つ騎士の肉体は、装甲の縫合をも引きちぎるほど、雄雄しく、逞しかった。
肉体それ自体が、甲冑を常の衣とする、騎士のいさおしであった。

   ★

――第二インターバル。
ハルバードさんが鮮やかに盛り返した展開、客席はハルバードさん側に湧く。
その片隅の、選手通路でヴォウジェさんはうだつの上がらないおでこをぺちりと撫で、
ハルバードさんのあらわになった肉体のますらおぶりを見て、呟く。
ヴォウジェさん「……相変わらずだな。苦行と修行の荒野をも、
 何てこと無い顔をして、のこのこ流浪するお前は……」
――客席では、ハルたんがそっと、両掌を硬く合わせて、知らずと祈っていた。
フルたんは、そっと、ハルたんに寄り添う。

鉄扇たんは、己の慢心を認めていた。
相手は、とてつもなく巨大だ。相手は、男性、そのものだ。
雄雄しく立ち、いとしきものを守るため剛力を奮い、
そして優しさを忘れない、逞しい性別。
それが男だ。
騎士と呼ぶに値する、男の中の希少種。
だが、鉄扇たんは、そんな益荒男(ますらお)の生き方とは手を切った。
鉄扇たん「……私は、手弱女(たおやめ)……」
男に守られる女は弱い、とする思考自体に、既に落とし穴がある事を鉄扇たんは知っている。
女は、か弱いからこそ、強いのだ。
男にない者を、女は沢山持っている。
その美しさは、男の強さと拮抗しうる。
魂の輝きは、同等なのだ。女は男の下ではあり得ない。
鉄扇たん「……私の、生き方を、極める」
我が性は、男。
我が心は、女。
我が生は、美。
そして私は、アンドロギュヌスと言う花に、なりたい――。
幼き今を捨て深遠に向かい歩むため、精神的両性具有が、赤コーナーを立ち上がる。

   ★

――第三ラウンド。
第二ラウンドの力押しに、更なるスピードを加えたハルバードさんの暴風の如き連撃、
鉄扇たんは迷わず前に出た。
長得物の、最も恐ろしい制空圏――刃が振り回される半径をものともせず、
舞い散る桜の花びらのように突き進む。
しかし、ハルバードさんも、なかなかに見切らせない。
突き、振り、打ち……ポールウェポンはあらゆる領域で活躍可能な得物なのだ。
正に、大風に嬲られるひとひらの花びら。鉄扇の間合いに臨む事が出来ない。
決定打の命中は時間の問題、観客席はハルバードさんの勝利を感じ始めた。
だが、鉄扇たんには、強く決めた想いがある。
鉄扇たん「――私の魂は、花!」
花吹雪、と言う言葉がある。
大風に嬲られるならば、その勢いに乗れば良いだけの事。
そこに美は、存在する。
ハルバードさんの豪腕の振り打ちの流れに乗って、内懐に、ついに鉄扇たんが潜った。
それは、男に抱かれながらも、抱かれた腕の中で男の命を奪える、女の業そのもの。
第一ラウンドに上半身を覆っていた甲冑は既にない。急所は打ち放題である。
鉄扇たん「お命頂戴っ!」

ハルバードさん「若いッ!!」

――また、爆ぜた。
せつな、吹き抜ける熱風のように、鉄扇たんの脇を抉ろうと何かが掠めていく。
鉄扇たんはそれを辛うじて受けた。後ろに大きく、跳ね飛ばされる。
片膝をついて鉄扇たんは着地する。
熱風を受けた鉄扇を持つ手、骨まで痺れが染みとおっていた。
――ハルバードさんは、鉄扇たんの視界から消えた。
否、
背後に、
熱い息吹を感じる。
長い、時が、流れる――。
負けた、と鉄扇たんは思ったが、
次の手が、来ない……。

鉄扇たん「ん、なぜ背後を取ったのに攻撃しないのだ?」
ハルバードさん「私は誇りある騎士だ!後ろから切り捨てるなどという卑怯な真似など私には出来ぬ!」
鉄扇たん「私にはわからないな!それで貴様は負けるのだぞ!」
ハルバードさん「ただ勝つことなど騎士には無意味なり!」

……そうか、と鉄扇たんは思う。
これが、男か。
かつて、自分が手を切ったもの。
そして今も、男としてやり直す気にはなれない。
だが、認めることは出来る。
男の生き様を。
男の生き方と手を切り、しかし女の性を手に入れられず、
だからこそ、ひとひらの花になろうとする自分が、この男を、認めることは出来る。
第一ラウンドの殺し技を受けて、背を向けてコーナーに戻るハルバードさんを、
鉄扇たんは、殺せると、確かに思った。
――それが、私の生き方だ。この偉大な男とは違う、道なのだ。
鉄扇たんは、迷うことなく振り返り、
水月に、渾身の一撃を、
放つ――。

ハルバードさん(ハルたんよ……我が戦いを見てそして何かを感じ取って欲しい。
 ……話せなかったことが残念だ。
 さらばだ我が……)
ハルバードさんは、
一糸まとわぬ、隆々たる全裸の体躯を晒しながら、
微笑んで、武闘場に抱かれた。

勝負あり!
勝者、鉄扇たん!

   ★

レイジたん「おーっと!この勝負、舞うが如く華麗な戦いをみせた鉄扇たんの勝利だ!」
サビエル「負けたハルバードさんも騎士道をつらぬき美しく負けましたネーこれは好勝負デース」
レイジたん「観客席からも拍手が鳴り止まないですね」
喝采に激震する武闘場。その解説席で、レイジは一抹の黒い感情を憶えていた。
レイジ『めッちゃ強い乱入者とか現れないかなぁ……。
 白い戦いばかりでは食い足りないな。オレを満たせる黒い男はどこにいる?
 ……クク。ククククク』

武闘場では、片膝をついて鉄扇たんがハルバードさんに語りかける。
鉄扇たん「貴男は、美しい」
ハルバードさん「そういうキミも、とても、強かったですよ」
先ほどの戦いのさなかの厳しさはもう姿を潜めて、
柔らかく微笑みかけるハルバードさんの言葉に、鉄扇たんは思う。
人の生き様だもの、と。

そして、客席ではハルたんがわなわなと震えて、立ち上がった。
ハルたん「間違いないわ……あ、あの騎士さまは!」
フルたん「ポソポソ!(お嬢様!)」
余りの剣幕に仰天するフルたんの横で、武闘場の喝采よりもデカいハルたんの叫びがぶち上がる。

ハルたん「どこからどう見ても、ヘンタイよ!」

シン、と武闘場は静まり返り、拍手はやみ、やがてうろんな囁き声がその場を支配する。
変態、露出狂、全裸、か弱い男の子を、などなど……怨嗟に満ちた声が潮のように大きく満ちて。

ハルバードさん「……えっ?」

この後、帆立学園警備部と、聖ウェポンヌ学園SSが出動すると言う、異例の珍事に発展。
ハルバードさんの罪状云々より、パニックを収拾させるための検挙といったほうが正しい。
猥褻物陳列罪の容疑で武闘場内留置所に投獄されたハルバードさんは、
その後にウマウマと脱獄を成功させるのだが、それはまた別の時に語られるべき話。

――第二ブロック、第二回戦、終わり。

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第二ブロック第三回戦妄想 - 名無しさん (2005-11-21 (月) 17:36:48)

第二ブロック、第三回戦

第二ブロック、第三回戦。控え室を出て、救護室の前を通りがかった剣たんは、
救護室の前に立つ鍛治あきに、手を振った。
剣たん「じゃあ、行ってくるよ。鍛治あき」
鍛治あきは、剣たんについて歩き出す。
剣たん「鍛治あき?」
鍛治あき「救護班だからな、俺も行かなきゃならねー。
 セコンドにはついてやれねーが……俺は、お前が勝つって信じてるぜ」
剣たん「うん、ありがとう……絶対、勝つね」
剣たんが微笑むと、鍛治あきは何故かどきりとして、ぶっきらぼうに顔を背けた。
鍛治あき「お前なら、ラクショーだろ」
剣たん「うん。見ててよ」
にこにこと微笑みを絶やさない剣たんの隣を歩きながら、
この天然が曲者なんだよな、とどぎまぎしながら考えていた。
そのまま歩く二人。武闘場に至る通路の前に、ひとりの人影が立つ。
サイさんだ。
サイさん「なぁ、剣たん」
呼び止めながら、どこか自信がなさそうなサイさんは、視線を、何とか剣たんに合わせると、
サイさん「上がって来いよ。絶対、絶対だぞ」
剣たん「サイさんも。二回戦で、ぼくたち、絶対、戦おう」
サイさん「……ああ。約束だ。きっとだからな」
剣たんと鍛治あきは、サイさんの横を通り過ぎる。
武闘場の熱狂の中に飲まれていく二人に背を向けて、
サイさんは、何故か、喉に詰まったような低い笑いを繰り返した。
サイさん?「……かなわぬ約束など。えっえっえっえっ……」
その声は、二人には届かない。

――第二ブロック、第三回戦。
剣たんが対するのは、すれっじはんまーくんこと、すれじくん。
聖ウェポンヌ学園高等部2年、喧嘩自慢で鳴らした武具くんである。
洗いざらしたバンダナの下から、暗く強い眼力が覗く。
――第一ラウンド。
勝負は、いきなり激しく立ち上がった。
すれじくんのハンマーの一撃が、有無を言わさず剣たんに振り下ろされる。
激しい攻め。剣たんは、凶暴な一撃一撃をかわすのに精一杯といった所。
しかし、粘りこそが剣たんの持ち味のひとつ。
剣たん「あたれっ!」
剣たん、剣を正確に繰り出しての篭手打ち。剣道ならば技ありの好手である。
だが、すれじくんは、それをよけようともせず、むしろ手首を差し出した。
がしり、と重たい音がして、剣先が手首で止まる。
硬く握り締めた拳が、刃の進入を防いでいるのだが、それにしても痛くないはずは無い。
驚愕する剣たんの顔面に、すれじ君は迷わず握り固めた拳をぶち込んだ。
審判、一本判定。
第一ラウンド、すれじくんが先取。
すれじくん「根性なしが」
派手に吹き飛んで倒れた剣たんに、吐き捨ててコーナーに戻った。

第一インターバル。
鍛治あきは、拳骨でカットした剣たんの頬の傷を埋めている。
基本的に試合続行可能な怪我は通常放置されるが、
流血がひどい場合は、このように応急処置の出番だ。
剣たん「…見くびっていたかもしれないね、相手の事を」
鍛治あき「そんだけ喋れるなら、まだやれるな?」
剣たん「勿論だよ、鍛治あき……ねえ、いつかの特訓の事、覚えてる?」
鍛治あき「ああ、グローブの野郎と俺がやった時な」
剣たん「うん。あの時、ふたりを見ていて、
 ぼくの中にも熱く、湧き上がるものがあったこと、忘れてないよ」
鍛治あき「お前……大丈夫か? なんか、その……眼が」
鍛治あきが、ふと嫌な予感にとらわれる。剣たんの眼は遠くを見ていた。
剣たん「大丈夫だよ、鍛治あき……あの、熱いきもち、思いだしたよ」
ごり、と妙な音がしたのを、鍛治あきは聴いた。
それが、剣たんの奥歯の歯軋りだと、第二ラウンドが始まってから気付いた。

――第二ラウンド。
それまでの剣たんの受身に回った正確で粘り強い戦い方から一変、
剣たんは攻めに出る。
力の限り、剣を振り回して、ハンマーの打撃と激しくぶつかり合う。
そのため、守りが若干手薄になってかわしきれずに攻撃を貰う事も増えたが、
その侵攻は止まない。
すれじくん「…ちっとは根性出たかよ」
けんたん「……ああ、そうさ。あんたの一撃で眼が覚めたよ。
 優しくしようと思ったのが間違いだった。そんな事、頼まれてないのに」
すれじくん「当たり前のことを、べらべらと」
けんたん「ケンカなんて、野蛮で、良くない事だと思うよ、でもね、
 こいつだけは倒さなきゃならないと、そう思うだろう、あんたも!」
剣たんの、体全体でぶち当たっていくような打ち込み、すれじくんは迷わず体で受けきり、
そしてお互いの剣戟は果てなく続いていく。
試合は、異様な念が渦巻く、奇妙な形になっていた。鍛治あきは、嫌な汗を拭う。
鍛治あき「……どうしたんだ、このラウンドから、あいつはまるで人間が変わっちまった……」
けんたん「うおおおおーっ! 君がッ、泣くまで、殴るのを、やめない!」
すれじくん「オラァ!」
しかし、このラウンド、互いに決定打、出ず。
判定は、すれじくんに若干有利かと思われつつ、勝負は第三ラウンドへ。

――第三ラウンド。
剣たん、更に暴走。
剣道の摺り足を捨て、相手の不意をつくが如く、飛び掛って一撃。
すれじくん、体では受けきれぬと瞬時に判断、ハンマーで防御。
両者、激しく鍔迫り合い。
剣たん、眼が異常。
けんたん「これはケンカだ。てめぇが売った。俺が買った。だからてめぇをボコる!徹底的にだ!」
すれじくん「――だから、当り前のこと抜かすなガキが!」
すれじくん、膂力にまかせて剣たんを弾き飛ばす。
大きくハンマーを振りかぶって、追撃を準備しようと言う時、
――喧嘩屋としての、すれじくんの勘が、危険と断じ、その手を止めさせた。
倒れて、起き上がる剣たんの粗雑な身のこなし……何かが危険だと感じる。
もう、第一ラウンドの、正確な構えは、影も形も無い。
だが、上品な外殻を内側から破り、何か巨大なものが姿を見せようとしている。
根性なしのつもりが、とんでもないものと戦っていたのかも知れない、と思う。
だが、過去に、その“とんでもないもの”と相対した事は、一度や二度じゃない。
すれじくんは、喧嘩屋だ。
すれじくん「……ボコるぜ」
すれじくん、迷いをすぐ、捨てる。
出る杭は、打つに限るのだ。

剣たんの中に、イメージがある。
そのイメージを実体化させるためには、内側から溢れてくる、
この熱い何かに身を任せ、剣を思う様振るうだけでいい。
その剣の軌跡は、何故か七色に発光してあらゆる敵を打ち砕く。
凶暴に熱くうねる何かにとらわれている筈の脳髄は、何故かとても冷たく冴え渡り、
まるで多数の敵を冷静にロックオンするように、世界の脅威を認識できる。
剣を、肩に、乱暴に構える。
剣たん「もっと……もっと、もっともっと、もっとだ!
 熱く、かがやけえええええーっ!!!!」
熱くうねる何かは、白い光になって、剣の身からほとばしった。
その光が七色に変わるのは目前だ。
だが、すれじくんが走りこみながらハンマーを振り下ろしてくる。

剣たんは、とっさに不完全な白い光をまとった剣を、打ち込み――。

剣たん『ごめんね……鍛治あきっ!』

   ★

レイジ(内面)『ふん……伝説か、はてまた、黒歴史か……まぁいい。
 よほど、これまでの試合よりも楽しかった。ククク、奴は使える……』

第三ラウンド、すれじくんの勝利。
剣たん、謎の発光現象の後に、お互いの打ち込みが交差。
剣たんの一撃、惜しくも届かず。
すれじくんの一撃、剣たんを倒す。

サイたん「えっえっえ……あの力。やはり今の彼には、扱えぬものでしたねぇ」
サイさん(内面)『……お前には、この勝負の結果が見えてたってのか!』
サイたん「教えてあげません。人の心配の前に、次は私たちの試合ですよ」
サイさん(内面)『……くそおっ! 剣たん、無事でいてくれ……』

担架で救護室に運ばれた剣たんは、文字通り満身創痍だった。
鍛治あき「もともと打たれ強い体なんかしてないのに、意地を張り合いやがって!」
剣たん「鍛治あき、ごめんね僕負けちゃったよ」
鍛治あき「喋るな!こんな傷すぐ直してやる!」
剣たん「うっ…」
一瞬、苦しそうに剣たんは呻く。
鍛治あき「剣!」
剣たん「すぅすぅ」
鍛治あき「なんだ、疲れて眠っちまったのか。よかった」
その寝顔は、先ほどの暴れる力に振り回された、鍛治あきの知らない剣たんではなく、
いつもの見ていると何故かどぎまぎする、剣たんだった。

得物のハンマーを肩に担ぎ、鼻血を乱暴に拭いながら、すれじくんは控え室に戻る。
妹と兄が、待っていた。
心配顔の妹、うぉーはんまーたんがすれじくんにだきつく。
うぉーたん「……うぉ?」
心配すんなとばかりに、くしゃくしゃと、少し乱暴に妹の髪をかき回す。
兄のとおるくんは、ため息をこぼす。
とおるくん「お前は、荒っぽいのが好きだな、どうにも……」
すれじはんまーくん「……次は、もっと強く打つ!」

“とんでもないもの”には、屈しない。
狙うは優勝。決勝戦に上がってくるのは、きっと、あいつ……。
ロン=ギヌス。“とんでもないもの”を持つ、ウェポンヌの教師だ。

第二ブロック、第三回戦――終わり

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第二ブロック第一回戦妄想 - 名無しさん (2005-11-21 (月) 17:35:40)

グラディウス。
かつて、ローマの剣闘士、グラディエイターが用いた剣である。
剣の種別だけならず、『剣』そのものをも意味するグラディウスと言う言葉……。
グラディウスは、太古に於いて、正に剣の代名詞として君臨したと言えるだろう。
そのグラディウスを手に取るのは、仮面の武具くん、グラディウスくん。
第二ブロック、第一回戦。
対戦者は、模造刀きゅん。
刃も無く、人を傷付ける事すら出来ない刀である。

第一ラウンド。
グラディウスくん「SPEED UP(加速)!」
先手を刺したのはグラディウスくんであった。
かつて、鍛え上げた己の肉体と精神を、かたくなに信じ抜いた剣闘士のように、
迷いの無い一直線の進攻。
もともと、短剣、中剣の旨みは極接近戦にある。振り回し易く、懐を奪い易い。
グラディウスくんは、己の有利な間合いでの、一方的な打ち込みを狙った。
しかし。
剛健で力強いグラディウスくんの剣筋に対し、
模造刀きゅんは、流麗な防御を展開。
衣の袖が花びらのように舞う。
しかし、華麗な防御ではあるが、決定的な一撃を加える事は出来ず、
攻勢に出たグラディウスくんのポジティブが評価され、
模造刀きゅんは判定で一ラウンドを失う。

第一インターバル。
客席の多くの見解は、防御に優れた動きを見せた模造刀きゅんを評価しつつも、
やはり攻め手に徹したグラディウスくんを、より高く評価する向きになった。
攻めは最大の防御、とも言うからである。
だが……その客席の多勢の見方をよそに、ふたりの武具たんが胸騒ぎを覚えていた。
私立帆立学園生徒会執行部、会長、刀たん、
――鞘様と皆から慕われる大人物と、その実妹の脇差たんのふたりである。

第二ラウンド
グラディウスくん「OPTION(残影)!」
第二ラウンド、グラディウスくんがいきなりの隠し技。
高速スピードを保ちつつ、己の魂の残影を子機として実体化させる荒業である。
高速多重の連攻、まして一撃一撃に重みの乗ったグラディウスくんの斬撃。
勝負は、決まったかに見えた――が。
焦りがあったのは、グラディウスくんの方だったのかも知れない。
模造刀きゅんの底知れぬ舞に、どこかで焦りを覚えていたのかもしれない。
焦りがあれば、必殺の技はたちまち精彩を失う。
ふわ、と、模造刀きゅんが、舞った。

刀たんと、脇差たんの予感は的中した。
鞘様「あの剣舞は……!?」
脇差たん「お姉ちゃんに、似てる!」

つわものでも正体を見切ることは難しい、グラディウスくんの残影攻撃、
しかし、模造刀きゅんの決して人を傷付けない刃が、
グラディウスくんの仮面を打ち割っていた。
審判、この一撃を一本取りと判定。
第二ラウンドは、模造刀きゅんが取り返す。

正に、正体を見破られた格好となったグラディウスくんの、
あらわになった美しい素顔は、しかし悔しさに歪んではいない。
もとより、自己流の剣筋に威信を乗せる、グラディウスくんの攻撃法。
第三ラウンドの算段は、第二ラウンドを取られた時に、決まっているのである。

――第三ラウンド。
グラディウスくん「S,S,S,S,S,SPEED UP(飛躍、活歩)!」
より速く、より強く。
例え、高密度の弾幕の中でも己の精神と肉体を信じて全てを避けきり、
必ず命中を加える闘法の、もっとも忠実な形――最終段階への加速。
客席は、眼を疑った。
グラディウスくんが、まるで、消えたのである。
次の瞬間には模造刀きゅんの肩口に、剣闘士の剣が当てられていた。
勝負あり、と審判が叫ぶ。
勝者、グラディウスくん。

しかし、この勝負は誤審であった。

副審判から物言いがつき、審議が行われた。
解析の結果、超高速で打ち込みに掛かるグラディウスくんの剣が届く前に、
模造刀きゅんの刀の切っ先が、相手の喉元に当てられていたのである。
超高速で運動するグラディウスくんにすら、寸止めを取る模造刀きゅんの技量。
いわゆる、『後の先』を見切った一撃であった。
これが実戦ならば――肩口に剣が振り下ろされる前に首が飛んでいた筈。

再審。
勝者、模造刀きゅん!

〜〜勝者インタヴュー〜〜
模造刀きゅん「多くは語りません、これが”本物”の”偽物”の力です…」

打ち割られた仮面を手に、グラディウスくんは武闘場を去る。
情けも求めず、己に課せられた運命のみを、その小さな背中は背負う。
剣闘士とは、戦い続ける奴隷である。
生まれてきた事すら不条理であっても、戦い続ける。
いわれのない罪を背負った、とがびとのように――VIC VIPERは、往く。

第二ブロック、第一回戦、終わり。

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第一ブロック第四回戦妄想 - 名無しさん (2005-11-21 (月) 17:33:43)

刀、対、竹刀。
一見すれば、火を見るより明らかにも思える勝負である。
だが、刀さんは竹刀さんを侮る事は無く、
竹刀さんは己が手に持つものを、無力と嘆く事も無かった。
そんな勝負は、意外なものが明暗を分けたようである――。

激しく打ち合う剣戟のさなか、刀さんの実弟、脇差さんは祈りを天にする。
脇差さん「……兄上、武運をお祈り致しておりますぞ」
――第一ラウンドが崩れたのは、その祈りの瞬間であった。
刀さん、まさかの死に体。
全身、これ、隙だらけ。
脇差さん「ばっ莫迦な! 兄上ーッ!!」
竹刀さんがそれを見逃す筈もなく、強烈な拳骨が刀さんの顎にめり込んだ。
第一ラウンド、竹刀さんが取る。

続けて第二ラウンド
竹刀さんの実の娘、竹刀たんは、竹刀さんの教えを口ずさむ。
竹刀たん「父さん。忘れてないよ。手に刃物を持つ前に、胸に熱い心を抱けと言った事。
 ……竹刀の力を!」
またしても、勝負はこの祈りの瞬間に崩れた。
竹刀さん、まさかの凡手。
竹刀たん「おっお父さん!?」
一撃が虚空に泳ぎ、刀さんの余裕の峰打ちが竹刀さんを倒す。
第二ラウンドは刀さんが制した。

第三ラウンド。
後に、刀さんが『妙な……怨念を感じた』と述懐する、悪夢の勝負の決着。
竹刀さんは、第三ラウンドを迷うことなく攻めに出る。
刀さんを襲った怨念は、そのまま刀さんに重く伸し掛かり続け、
刀さんは攻めきるも守りきるも出来ず、敗退。
勝者、竹刀さん。

控え室に戻る竹刀さんを、竹刀たんは迎える。
竹刀たん「お疲れ様、父さん。でも、第二ラウンドは少し危なかったね」
竹刀さん「馬ァ鹿野郎。急にお前の事を思い出してな、つーい、気張っちまったのよ」
そう語る、竹刀さんは、笑っていた。

竹やりさん「…竹刀。流石だな、力強い攻めだった……が、次の試合は、こちらが取る……!」
第一ブロックの勝者は出揃った。
竹やり、対、竹刀。
熱き友同士の戦いが、決まった!

――第一ブロック、第四試合、終わり。

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第一ブロック第三試合妄想 - 名無しさん (2005-11-21 (月) 17:32:37)

その試合は、異様な……妖気、とでも言うべきものに満ちたものになった。
竹やりさん対、謎の豪傑、斉藤道酸との勝負、である。

その勝負を、陣笠たんは客席で祈るように見つめていた。
陣笠たんは、夫の竹やりさんが、歴戦の勇士である事を知らない。
いや、竹やりさんに秘密がある事を知ってはいるようだが、
その謎までは、判っていないのかも知れない。

――そんな竹やり家で、大会前の夜、騒動があった。
陣笠たん「あら、あなた……?き、キャアァァァ!泥棒よー―ッ!誰か来てー――ッ!」
陣笠たんは、部屋の薄暗闇に立つ、頬っかむりをした謎の男を見て、叫んだ。
それは、勿論、竹やりさんであった。
竹やりさんは、大会に参加するための変装の効果を充分に確かめると、
家を出て、闇に消えた。
竹やりさんは、陣笠たんの夫としてではなく、戦士としての自分に、
大会の夜は徹しようと、決めたのだった。

陣笠たん「昨日の夜から、あのひとは帰ってこない……あの竹やりを持った頬っかむり……昨夜の泥棒さん?
 ――まさか、あなたなの?」
陣笠たんは、戸惑いながらも、謎の竹やり戦士の事が気になり始めていた。

竹やりさん「こやつ……強い」
既に第一ラウンドの鐘は鳴り、勝負は始まっているが両者はヒタとも動かない。
静かに構えている竹やりさんの前に、道酸は厳と立つ。
道酸の顔には、豪気な薄笑いが浮かんでいる。
道酸「ぐふふ……仕掛けて来ぬなら、こちらから行くとするかな!」

道酸の動きに、客席は、一瞬静まり返る。
道酸の衣の下から異形が這い出す。
それは、蝮、であった。

酸を吐き散らし、暴れ狂う二匹の蝮。
竹やりさんは、確実にその攻撃をいなしながらも、
焼け付く酸に苦戦する。
道酸「どうじゃあ、生身のお主に、この酸は辛かろう!」
竹やりさん「くうっ! 面妖な!」
道酸「いかに肉体を鍛え、心を研ぎ澄まそうと、肌を晒すお主にPH(※)の摂理は破れぬのじゃあ!
 腐食と滅亡に満ちし酸の海に沈むがよい、竹やり!」
竹やりさん「――我が生は、肉にあらず。我が生、すなわち『竹』なり!」

異形の試合展開に騒然となる客席であったが、
風の凪いだ竹林の如き、静かな竹やりさんの守勢は、高濃度の酸性雨の如き道酸の攻撃を受け流し、
たわめられた青竹のような反撃は、確実に道酸にダメージを与え続けていた。
第一ラウンド、第二ラウンド、第三ラウンドを、竹やりさんは制する。
勝者、竹やりさん。
だが、道酸は、猛者でも骨まで堪えると言われる竹やりさんのカウンターをその全身に浴びて尚、
余裕の表情で太く硬い顎をしごく。
道酸「……フン、今の身上ではこれが限界かッ。
 だが、竹やりか……ぐはは、憶えたぞ。
 溶かせぬなら、枯らしてしまえばよいワ!
 ぐはははは、今後が楽しみじゃあ!」
――それは、正に魔王の笑み、であった。
カカと笑い、道酸は武闘場を後にする。

実況席で、レイジが試合の結果を述べ伝える中、
解説席のサビエルは、その密かな眼光を鋭くして、マイクも拾えないぐらいの小声でつぶやく。
サビエル「……道酸も、遊びが過ぎマース。露出狂が脱ぎもしなかったデース……」
その顔は、もうひとりの、冷酷な魔王のようであったが……気付いたものは誰一人としていなかった。

陣笠たん「……やっぱり、あの竹槍を持った泥棒さんは、あの人なの……?」
竹やりさんは、客席の陣笠たんの眼を、一瞬だけ見返すと、踵を返す。
それは、陣笠たんに、懺悔の呟きを漏らす唇を読ませないためだった。
竹やりさん「……正体を明かせぬ事を、許せ」
陣笠たんは、いつも穏やかな夫の、優しい背中と、
異形にも屈しない男の、強い背中を、いつの間にか、比べていた。

竹やりさんの盟友、竹刀さんは、友の勝利に奮い立つ。
竹刀さん「竹やり。お前とまた、ガチでやり合おうぜ!」
――第一ブロック、第四試合の幕が上がろうとしていた。
竹刀さんと、刀さんの、悪夢の激闘である――。

――第一ブロック、第三試合、おわり。

※PH―― ペーハー。水素イオン濃度指数の略記号。酸性、アルカリ性の度数を計る。

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第一ブロック第一回戦妄想 - 名無しさん (2005-11-21 (月) 17:31:09)

――トーナメントに合わせて、警備部ではある計画が進行していた。
それは、爆弾テロで殉職した無敵の十手さんこと、『鬼の平蔵』の魂を、
六尺くんに憑依させるものである。
これにより、六尺くんの能力を飛躍的に向上させる事が出来ると、
警備部部長のさすまたんは考えた。
過去の英霊を六尺くんに注入する『六尺強化計画』の評価試験として、この大会はうってつけだった。
しかし、爆死の無念を感じつつも、成仏しているであろう魂を呼び出す事に、
鬼平の、遺された家族たちは、複雑な心境だった。
――しかし、ひとめでも、生前のあの人に会えるならば、と。
遺族の了解と、オカルトサークル『コトリバコ』の協力を得て、計画は実行。
鬼平の魂は予定通り、六尺くんに憑依、定着した。
鬼平は、この計画に応えたのである。

――鬼平六尺くん控え室
クリスナーガたん「憑依、定着しました」
六尺くん?「……待たせたな、ツク」
突棒たん「ああ、あなた……(はらはらと、涙)」
十手たん「嘘だろ、とーちゃんかよ!?」
鬼平六尺くん「おう、ジュー。でかくなったな……って、あんまり背丈は変わってねーな」
警棒たん「父さん、なのね」
クボたん「……この人が、パパ?」
鬼平六尺くん「まぁ、軽く勝ってくらぁ。その後は、家族五人でシャモ鍋と行こうぜ!」

――しかし、控え室で一瞬、鬼平のパーソナリティが姿を現したが、
すぐさま、元の六尺くんに戻ってしまう。

クボたん「……ろくしゃく13ごう」
十手たん「奴の中に、とーちゃんの魂が入ってるのか」
さすまたん「何故、目覚めない、鬼平……!」
何が足りないと言うのか。さすまたんは、焦りを覚えていた。

そして、憑依のベッドに用いられたのは、クボたんが純潔を捧げた三人の六尺くんのひとり、
六尺13号であった。

   ★

第一ブロック、第一試合、第一ラウンド。
鬼平が姿を見せぬまま試合は進み、競り合いながらもぬんちゃくんが一本。

だが、第二ラウンドで六尺くんの様子が一変。
鬼平、覚醒。
六尺くん(内面)『あなたは――』
鬼平六尺くん「六尺じゃねぇ…シャークと呼びな」

鬼平六尺くん、野暮ったい眼鏡を剥ぎ取り、鬼の眼光が現れる。

六尺くん(内面)『この肉体では貴方は力を発揮できません、ここは私が…』
鬼平六尺くん「そいつァどうかな……体格や年齢なんて関係ねえ、生きてるか死んでるかもひっくり返った。なら、オレは自由だぜ!」
ぬんちゃくん「……動きの切れが変わった! 別人だッ!」
鬼平六尺くん「ヌンチャク坊主! 功が甘ェぜ!」
ぬんちゃくん「な、何なんだ――この豪快な功夫は…凄いッッ!」
鬼平六尺くん「若ェのがそんなこっちゃなぁ、黙っておっ死んでらんねーだろーが!」
ぬんちゃくん「貴方はっ、一体……うわああっ!」
鬼平六尺くん「知らねーなら教えてやるぜ、オレの前に悪なし! 『鬼の平蔵』たァ、オレのことだァああー!!」

第二ラウンド、鬼平が覚醒した六尺くんが、一方的に大差をつけて勝利。
ぬんちゃくん、大ダメージ。
しかし、六尺くんの中の鬼平もまた……。

   ★

六尺くん(内面)『無茶です、貴方の魂はただでさえ、あの世から呼び出しているだけなのですから不安定です。
 激しく魂を揺さぶり戦うのは、この世にいる期間を縮めます。もう、お下がりください、次こそ、私が……』
鬼平(内面)『……有給、通ってたら、そうさせてもらったさ』
六尺くん(内面)『? どういうことです?』
鬼平(内面)『死んでからの再就職先が地獄の門番でな。今日、無断欠勤なんだよ。
 どの道すぐ帰らなきゃならねー。閻魔大王様に叱られちまう。
 なら、思いっきりやって未練を残さねぇ方が、サッパリするってモンだぜ。
 次も、オレで行く。行かせてくれや、頼む』
六尺くん(内面)『鬼平さん……』
鬼平(内面)『ジューやケイは、生きてる内にたっぷり構ってやれたけどな、クボはオレの顔も憶えてねぇだろう。
 ……今更父親顔するのも筋違いかも知れねえ。
 とんだしくじりで死んだオレは、情けねぇ親父だ。産みっ放し、産ませっ放しってのは親の外道だ。
 末娘も可愛がってやれねェたァ、なあ……。
 だがな、こんなオレでも、今こうして反魂した。まだこの世に〈縁〉があるんだ。嬉しい事だぜ。
 娘たちに伝えなくちゃならねー事を、伝えられるんだぜ!』
六尺くん(内面)『――お手伝いします、鬼平さん』
鬼平(内面)『頼むぜ、相棒。得物は、おめェの六尺棒だぜ』

十手たん「なぁ、かーちゃん…とーちゃんは、何故還ってきてくれたんだろ」
突棒たん「……良く見ていなさい、あの人のこころを。私たちが愛した、十手さんを……私たちを愛してくれたひとを」
警棒たん「……こころ?」
突棒たん「顔や、姿は違っても……あの人のこころは、伝わるでしょう?」
警棒たん「いつも、厳しくて……でも、自分にはもっと厳しかった、父さん」
十手たん「生死のことわりを超えて、オレたちの前に還ってきてくれた。
 ……何を教えてくれるんだ、とーちゃん」

クボたん「……あの人は、パパなの? じゅうさんごうなの?」
六尺12号「そのどちらでもあり、ひとつのものでもあります」
クボたん「……パパのこと、ぜんぜん憶えてないの。わたしは、だれをおうえんしたら、いいの?」
六尺14号「クボたんの中の、愛しいと想う気持ちに、ただ素直になって下さい」
六尺12号「頑張れ、『私』」
六尺14号「頑張れ、『鬼平』」
クボたん「がんばって……じゅうさんごう」

ぬんちゃくん「……死者の魂なのに、あの生気はどうだ……偉大な武術家だ、鬼平さん。ぼくも……応えなければならない」
そんなぬんちゃくんを、とんふぁたんは、密かに客席の隅で、見つめている。
とんふぁたん「…………お願い、無事でいて。ぬんちゃくん」
――誰もが、祈る。

   ★

――第三ラウンド。
鬼平降臨したままの六尺は、長い間合いを生かして一気に攻勢に出る。
ぬんちゃくん、果敢に懐を攻める。
一回戦からの異常な盛り上がりに、観客席総立ち。
――そして、その熱狂の中で、鬼平六尺の中の何かが、軋んで、割れた。

六尺くん(内面)『鬼平さん!』
鬼平六尺くん「……くそぅ!――逝っちまいそうだぜ!」
六尺くん(内面)『魂があの世に戻っていく。喪われた魂の部位を、私がフォローします!』
鬼平六尺くん「ありがてえ、まだだ、まだ戻らねぇぞ!」
ぬんちゃくん「――隙アリ! ホォオオアアチョオオオオオー!」
鬼平六尺くん「うごッががががががが!」
六尺くん(内面)『――不覚ッ滅多打ちを許すとはッ!』
クボたん「じゅうさんごう!」
十手たん「とーちゃん!」
警棒たん「父さん!」
突棒たん「あなたーっ!」
さすまたん「……くっ、プランに無理があったというのかっ!」
クボたん「……もういい、もういいよ。じゅうさんごう……戦わないで」

鬼平(内面)『なぁ、相棒……オレたちは、何故正義を行うと思う?』
六尺くん(内面)『……そこに悪があるから、です』
鬼平(内面)『上等だぜ、相棒……いい答えだ』
鬼平六尺くん「良く見とけ、娘たち。良く見とけ、オレの後輩たち。良く見とけ、悪党ども。
 見ててくれ、ツク……オレの、たったひとりの、嫁。
 ――ワルじゃねーのが残念だが、お前にやるよ、ヌンチャク坊主。憶えていてくれや。
 これが……魂の限界を超えたッッッッ絶対正義の力だァぁああアーッッ!!」
ぬんちゃくん「はや――!」
トンファたん「逃げ――!」

クボたん「――パパ!」

――しかし、鬼平の最後の魂の輝きで放った一撃は、
寸止め。
六尺くんの肉体のスペックを、魂の強力すぎる輝きが凌駕したのである。
六尺くんの骨格、筋肉系、いちじるしく、損壊。
六尺くん、活動停止。
勝負あり。
勝者、ぬんちゃくん。

   ★

鬼平(内面)『そういや、まだ頼んでなかったな、相棒……クボを、頼む』
六尺くん(内面)『……はい』
鬼平(内面)『淫行罪でとっ捕まえてやりてーとこだが……見守ってやってくれ、あいつの事を……』
六尺くん(内面)『お任せ下さい……おとうさん』

正に、正義の立像。武闘場に最後の技の形で立ち尽くす鬼平六尺くん。
最後に、客席の、他の誰でもない、突棒たんを優しいまなざしで、見た。

鬼平六尺くん「……へっ。もう少しこっちにいたかったんだがな……なぁ、ツク。
 また、こんど、一緒に、家族で……前みたいに、鍋を囲んで、よぉ………………(沈黙)」

――偉大なる十手さんは、その力を全て出しきり、職場の地獄に還った。
客席は震えた。
突棒たんは、涙を静かに流す。その眼には、生前の姿の鬼平が舌を出して笑う姿が、観えていた。

   ★

レイジ「降霊術で達人を読んだという情報が入りましたが…どうも媒体のスペックが足りなかったようですねぇ〜」
サビエル「ヨクヤッタぬんちゃくん、控え室でハルたんファックしてイイデース!!」

〜勝者コメント〜
ぬんちゃくん「トンファさんがいるので
…ハルたんはちょっと…
しかし勝ったとはいえ、鬼平さんの功夫には敬服した…
存命中にお手合わせ願いたかった…」

インタヴューを終え、控え室に戻る途中のぬんちゃくんを、通路でとんふぁたんが待っていた。
とんふぁたん「ふん、あんたにしてはよくやったじゃない。いいこと? 次も勝ちなさいよね」
ぬんちゃくん「……うん、負けない」

そして、さすまたんは、策を弄し、死者の魂を弄んだ事を後悔していた。
足りないものなど無かった。始めから、限られた時間と魂を、有効に使う為に、
鬼平は六尺くんの中に秘められていただけだったのだ。
そんな事も読みきれずに、漫然と策におぼれた自分は、先人の後に立つ資格などない。さすまたんは己を責める。
さすまたん「……ねえ、そでたん。私たちは、間違えたのかしら」
そでがらみたん「……いいえ。一瞬の技の冴え、その魂を、受け継ぐ事は出来ると……私は思うよ、おねえちゃん」
さすまたん「……そうだね。そでたん」

全ては受け継がれていく。
十手たんも、そう思う。

――第一ブロック、第一回戦、おわり。

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Last modified:2005/11/26 01:34:03
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