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THE END

659 :名無しさん:2007/06/23(土) 22:14:43

 私は盛岡駅から高速バスに乗ろうとしていた。
私は会社に急遽1日休むことを連絡した。
「菊さまどれぐらい宮古までかかるんですか?」
「約2時間ぐらい。」
「夕方には東京行きの新幹線乗れますかね?」
「大丈夫だろう。さあ、バスが来たよ乗るよ!」
私たちはバスに乗り込んだ。
バスはひたすら海に向かって国道を走っていく。
菊さまとこうしてバス旅行するなんて初めて。
空は晴れ渡り、見る景色どれもが新鮮で美しく思えた。
どこまでも広がる水田。畑。そして深い緑。
仙台も綺麗な緑が多かったけど、岩手はそれにも増して緑が多い
気がした。
こんな美しい県で育ったんだね。
菊さまのこと私、本当はまだまだ何もわかってなかったかも。
私はこの美しい風景を目に焼きつけていたかったのでおきていた。菊さまはいつの間にか隣で寝ておられた。


660 :名無しさん:2007/06/23(土) 22:44:52

約2時間後宮古駅に到着した。
「菊さま、ここからどうするの?」
「ここから浄土ヶ浜行きのバスに乗るよ。」
私は菊さまに言われるがままそのバスに乗り込んだ。20分ほど
バスに揺られて、浄土ヶ浜に着く。私は気持ちよい風に吹かれながら海を見渡した。
「わー、綺麗!」
そこにはコバルトブルーの海が広がっていた。そして白い砂浜。
そこへ浮かぶ白い岩の塊。まるでその情景は浄土のようだからと
いうことで、ある寺の和尚さんが名づけたらしい。その名のとおりだと私は思った。
「菊さま、こんな綺麗な海見れるなんて嬉しい。連れて来てくれてありがとう。」
私は菊さまの腕に寄り添った。ああ、アキラさんもきっとこんな
綺麗な極楽浄土へ行けてるのではないだろうか?きっとそうに違
いない。だってあの人はとても良い人だったもの。空を眺めてたら涙が溢れてきた。
アキラさん私のこと愛してくれてありがとう。ずっと天国から見ててね。私のこと見守っててね。
私きっと強く生きて行きます。それと、菊さまとのこと見守ってほしい。
菊さまに支えられるなら私、きっと強くなれると思います。
私は少しだけど、アキラさんの死を受け入れられたような気がし
た。でも彼を忘れることは永遠にないだろう。


661 :名無しさん:2007/06/23(土) 22:51:58

「どうしたの?涙がでてるよ?」
「こんな綺麗な海見たら感動したの。」
菊さまが優しくハンカチで涙を拭いてくれた。
私たちは向かいあい、見つめあった。
「なあ、旦那さんのこと忘れられないと思うけど、それでも
 いいから俺と一緒にいてくれないか?」
「菊さま・・・。」
「俺お前と一緒にいたいんだ。ずーっと一緒に。
 俺はお前を一人にして死んだりしないから。
 約束するから。」
「菊さま一体何歳まで生きられるつもりですか?」
「分からない。でも、お前のこと守るから。」
「菊さま。ありがとう。嬉しいよ。」
「俺と結婚してください。お願いします。」
私はうなずいた。
菊さまは満面の笑みで私を抱きしめてくれた。


662 :名無しさん:2007/06/23(土) 22:58:35

私たちはその後、遊覧船に乗って観光を楽しんだ。
そしてお昼ご飯に宮古の海の幸たっぷりの海鮮どんぶりを
いただいた。
あまり長居もできないので、そうそうにまた高速バスで盛岡に
戻った。
菊地家へ戻る途中、菊さまのお祖母さんの家にも寄って挨拶を
済ませた。
そして、また実家に戻った。
「お母さん昨日からお世話になりました。
 またお会いできる日までどうぞお元気で。」
「○○さん、また来てね。待ってるから。
 東京でもいつかお会いしたいわね。」
「母さん、いずれそうなると思うから。」
「楽しみにしてるよ。じゃあ二人とも気をつけてね。」
「はい、お父様とお兄様にもよろしくお伝えください。」
私たちは菊地家を後にして、盛岡を後にした。


663 :名無しさん:2007/06/23(土) 23:11:18

私たちは夜東京に着いた。私は駅で別れようとおもったけど、菊さまが送ってくれるというので送ってもらった。
私の家に到着した。
「お茶でも飲んでいく?」
「うん。」
「私の家ここよ。」
「えっ?ここ?」
菊さまは驚いていた。そうだろう、私のオンボロ木造アパートに菊さまは驚きを隠せないようだった。
「古いでしょ。でも家賃安いから。私にはここの家賃払うので
 精一杯なの。」
「別に古いからって気にすることないよ。」
菊さまは部屋を見回していた。6畳と台所だけの狭い部屋。
菊さまの部屋に比べればとてもちっぽけなもの。
私たちはお茶を飲みながら将来のことを話し合った。
「どうしよう、いつ頃結婚する?」
「お前の気持ちしだいだよ。俺はいつでもいい。」
「そんなあ。ちゃんと決めてよ。」
「そんなこと言ってもお前まだ旦那さんのこと・・・。」
「1周忌が来たら元の姓に戻そうかと思ってる。 結婚は来年でもいい?」
「いいよ。とりあえず婚約はしとこう。」
「分かった。うちの両親にはどうする?」
「もう早々に挨拶行こうか?っていうか追い返されないよな?」
「大丈夫だと思うよ。っていうか菊さましだいじゃない?」
「どういうことだよ。俺がまるで悪者みたいじゃないか?」
「だって、芸人だもん。家の親本当は嫌だと思うよ。www」
「じゃあ、お前はどうなんだよ。」
「私?私は出戻りみたいなもんだから、もらってもらえるなら
 文句言えませんから。www」
「ふん、俺は絶対お前の両親に許しをもらうぞ!」
菊さまは一人意気込んでいた。


664 :名無しさん:2007/06/24(日) 17:33:40

 私はその後両親に菊さまの実家に言ったことを話した。
手土産も持たずに急に訪ねたことを母が気にして、お菓子をお礼
に送ることにした。

そしてしばらくして菊さまは私に婚約指輪をくださった。
そう、あの時の指輪。
私が1日でつき返したいわくつきの指輪である。
「もう二度と俺に返却しないでくれよ!」
「わかりませんよ。菊さまの行いしだいでは・・・。」
「もー、意地悪!」
「www嘘ですよ!ありがとう菊さま
 ずーっと大事にしますね。」

そして、菊さまが私の実家に挨拶しにくることになった。


665 :名無しさん:2007/06/24(日) 17:49:13

何度も訪ねてる家なのに、今日はとても緊張する秀規だった。
鏡の前で何度もネクタイを直したり髪の毛をといてみたり。
ちゃんと挨拶できるだろうか?
前の晩母に電話した。
「明日○○さんの家へ挨拶いくから。」
「大丈夫なんだろうね?
 ちゃんとお嬢さんをくださいって練習何回もしなさい。」
「大丈夫だよ俺喋る仕事してるのに。」
「お前は早口だからゆっくり喋るんだよ。」
「うん、分かった。」
「ご先祖さまにうまくいきますように祈っておくからね。」
「ありがとう。じゃあね。」

そして数時間後、秀規は○○の実家の両親と向かい合っていた。
「お父様、お母様お久しぶりです。」
「まあ、そんなあらたまらなくても。
 知らない仲ではないんだから。」
「いいえ、今日は結婚のご了承の挨拶に参りましたので。」
「そうでしたね。」
○○から両親に結婚のこと話したら賛成だと言ってくれてると
聞いていたものの、秀規は心臓がバクバク音を立てていた。
「お、お父様、○○さんを私にいただけますでしょうか?
 一生大事にしますので。」
「はい、ふつつかな娘ですが宜しくお願いします。
 さあ、母さんビール持ってきてくれ。
 頭上げてくださいよ。さあ○○お寿司を持ってきなさい。」

私は注文していたお寿司を並べ、母はビール瓶を何本も持ってきた。そして我が家だけのささやかな宴が始まった。


667 :名無しさん:2007/06/25(月) 19:33:49

 菊さまは私の父に勧められるがままビールを何杯も飲んでいた。
「お父さん、菊さまはお酒あまり強くないんだからそんなに飲ませない
 でよ!」
「いいじゃないか、今日はめでたい日だ。
 それに本当の息子ができたようで嬉しいんだから。」

2時間後、菊さまはくだを巻いてグーグーイビキをかいて寝ておられた。
「ほらこんなに酔っ払ってしまって・・・。
 お父さんのせいよ!」
「ふん!娘を取られるんだから、これぐらいやってやったって
 おあいこだろ!」
父は酒が強いので顔色一つ変えずにいた。
本当は私がまた嫁に行くの寂しいんだ・・・。
いつまでも父のそばにいてあげたいけど・・・。
「お父さん、菊さまのこと可愛がってあげてね。」
私は父のそばに寄り添った。
父は何も言わなかったけど、分かってくれてるみたいだった。
私は菊さまを起した。
「菊さま、まだ眠るんですか?」
揺り起こすとようやく目を覚ました。


668 :名無しさん:2007/06/25(月) 19:46:17

「あ?ここはどこ?」
「何言ってるんですか?私の実家ですよ。
 今日私の両親に挨拶に・・・。」
「ああ、そうだったな。
 すっかり寝てしまったよ。」
「菊さま送って行きますから。」
「うん、じゃあお父さんお母さんお邪魔しました。」
「気をつけてね。○○の事よろしくおねがいしますね。」
「はい。」 私はよろける菊さまの腕をしっかり掴んで実家をあとにした。

月日は流れ、菊さま33歳、私32歳の年。
その年の9月、私はアキラさんの実家へ行き1周忌の法要をした。
そしてご両親に籍を戻すこと、再婚することを伝えた。
ご両親は私が再婚すると聞いてとても安心してくださった。
私はまた法要がある時は呼んでほしいと約束し、大阪をあとにした。

菊さまの仕事が落ち着く正月明けに私たちは結婚式を挙げることにした。


669 :名無しさん:2007/06/25(月) 20:06:20

秀規と○○は神社で挙式した。
親族だけが集まって、挙式後は料亭で食事会をした。
秀規はとても晴れやかな気持ちだった。
30歳で彼女と出会って3年、この間いろんなことがあった。
何度涙を流したことだろうか。
悲しいこともお互い一杯あったけど、こうして縁あって結ばれることに
なった。

数時間後、
食事会が終わって菊地邸へ帰る途中秀規は近所の神社へ寄った。
「何お願いするの?」
「内緒!」
神様お礼参りに参りました。
○○と復縁させていただきましてありがとうございます。
命を懸けると言ったとおり、彼女を命をかけて大切にします。
これからも宜しくお守りください・・・。


670 :名無しさん:2007/06/25(月) 20:11:39

 この二人に関わった人々はそれぞれどうなったのだろうか?
アキラは天に召され帰らぬ人となったが、○○の心の中でいつまでも
生き続けることであろう。
リカコは?
彼女はしばらくは秀規のことを引きずっていたが前向きな性格ゆえ、
今ではすっかり立ち直り、仕事に一層身が入り、今ではCMの女王となった。
秀規は度々目にする彼女の活躍を心の中で喜んでいた。
良かった、多分これでよかったんだろう。
リカコ、がんばれよ・・・。
秀規は自分も頑張らなければと思うのだった。


671 :名無しさん:2007/06/25(月) 20:19:14

秀規と○○の新婚生活は順調だった。
時々喧嘩になることもあるけど、すぐにお互い折れるようになっていた。
秀規は毎朝彼女に囁く。
「おはよう。今日も生きててくれてありがとう。」
「菊さま・・・。毎日それ言うつもりですか?」
「お前いつまで菊さまって呼ぶつもりだよ?」
「あっ、ごめんなさい。秀規さん!」
「お前が生きててくれて嬉しいの!」
「だからって毎日毎日よく飽きませんねw」
「俺の性格知ってるだろ?ふふふ、これからも一生言い続けるからw」
「あーあ、なんかこわーい!」
と言いながらも彼女は秀規に抱きついてくる。
うざがられてもいいんだ。
毎日彼女のこと愛していたい。
彼女が俺のそばで生きてくれていることに感謝したい。
ただそれだけのこと。
秀規は彼女を抱きしめながら、幸せをかみ締めていた。
どんな困難が待ち受けているか分からない。
だけどそれを恐れていても始まらない。
秀規はタダ一つの大切な愛をこれからも守っていこうと
心に誓っていた。


Last modified:2007/09/30 09:53:20
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