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神様は試練しか与えない 前編

483 :名無しさん:2007/05/21(月) 21:25:41

 悲しみにくれながらも私は喪主として通夜、葬儀を取りはからった。
大勢の彼の友人や会社関係の方が参列してくださった。
皆突然のことで驚きを隠せない様子だった。
私に向けられた哀れみの視線は、私を更に辛く深い闇の中へ引き落とすようだった。
私は通夜が終わり身内も寝静まった夜中も彼の遺体に付き添っていた。
棺の蓋を開け、彼の冷たくなった頬に触れてみた。
声をかけたら起きだして私を力いっぱい抱きしめてくれるのではないかという錯覚を
起しそうだった。
いや、そうなってほしかった。
でもかなわない夢。
なぜこんなことになったんだろうか・・・・。
私は泣きながら、冷たい彼の唇に最後のキスをした。


484 :名無しさん:2007/05/21(月) 21:32:34

 翌日葬儀終了後、焼き場へ行き骨を拾った。
小さな骨壷に骨を入れた。
あんなに身体が大きかった彼。
こんな小さな骨になるとは。
焼き場で昼食をとることになったが、私はあまり食が進まなかった。
彼が事故にあった日からもうずっと食欲は無かった。
親戚はまだ私が若いから、いくらでもやり直せるからと励ましてくれた。
でも義父や義母の手前もあるが、なにより私の気持ちが先のことを考える
気にならなかった。
これからどうやって暮らせばいいんだろうか?
もう自分の脳みそで考える気力が無かった。
私は部屋の隅で寝転がった。
ずっと寝不足、食欲不足で身体が正直参っていた。


485 :名無しさん:2007/05/21(月) 21:43:04

 私は焼き場から自宅に帰ってもぐったりしていた。
母に布団を敷いてもらい床に就いた。

翌日、彼の両親、兄弟達が帰っていった。
私は駅まで見送りたかったが起きることができなかった。
携帯で義母と話した。
「○○さん、私も頭の中整理できてへん。あんたもそうやろうけど、今後のことは
 ゆっくり考えてな。」
「お義母さん、ありがとうございます。ゆっくり考えますので・・・。
 どうぞお元気で、また大阪へ参りますので・・・。」
私は携帯を切り、また布団に入った。
ああ、今までの人生で今が一番不幸なのかもしれない。
今までだって嫌なこと辛いことあったけど、今回は本当に参った。
こんなに愛する人との別れが辛いなんて・・・。
私は彼と出会った頃を回想しながら、考えた。
交際があまりにも早くて順調すぎたような気が今思えばする。
なにもかも上手く行き過ぎた感もある。


487 :名無しさん:2007/05/21(月) 21:47:36

 上手く行き過ぎると、そのバランスを取るかのように神様が試練を与えられる
のかもしれない。
私は彼と出会ってすぐに菊さまと強引に別れた。
案外その罰があたったのだろうか?
人を傷つけた上で掴み取った幸せはもろくも自分が最高に傷つくという形で崩れ去った。
私はもう涙も枯れて、眠りにつきたかったが目が冴えまくっている。
頭も少し痛い。


489 :名無しさん:2007/05/21(月) 21:55:24

 初七日が過ぎても私はあまり眠ることができず、食欲も相変わらず無かった。
しばらく実家に帰ることにした。
彼の遺骨も持って実家に帰り過ごしていたが、なにもすることが無いので身体は
だるいのだけどお使いに行くことにした。
母にメモしてもらってスーパーと薬局へ向かう。
私は時々めまいをおこしそうになるのを感じていたが気のせいだと思い買い物を続けた。
スーパーで買い物を終え、薬局へ行く。
季節は9月中旬、まだ残暑が厳しかった。
私は照りつける太陽の下を歩いているとどんどん気分が悪くなってきた。
そして薬局の入り口で目の前が真っ白になった。
「お客様大丈夫ですか・・・・。」
私は店員の声を最後に記憶を無くし、気を失ってしまった。


490 :名無しさん:2007/05/21(月) 22:13:19

 薬局の入り口には人だかりができている。
「誰か倒れたみたい。」
秀規はリカコと買い物に来ていた。
人だかりを見に行くと秀規は驚いた。
そこには○○が倒れていた。
「ああ、○○・・・。」
思わず口に出してしまった。
「えっ?今何か言った?」
リカコが聞き返すが秀規は目の前の○○に気をとられ返事しない。
店員や客が、動かさないほうがいいんじゃないかとか口々に言っていた。
秀規は思わず駆け寄りたかったが自分が行ったところでどうすることもできない。
そうこうする内に救急車が到着し、○○は運ばれていった。
秀規は一部始終を見届けてしまった。
リカコはその間買い物を済ませ、秀規のところへ戻ってきた。


491 :名無しさん:2007/05/21(月) 22:20:17

「ねえ、運ばれていった人知り合い?」
「えっと、う、うん。まあね。」
「どういう関係?」
「どうって・・・。友達の彼女だよ。」
秀規は適当にごまかした。
「じゃあ、友達に電話しなくていいの?」
「あ、そ、そうだなあ。どうしよう。」
「早くしたら?」
秀規は適当にごまかした為演技する羽目になった。
「じゃあ、ちょっと外行ってかけてくる。」
秀規はあわてて外へ出て電話をかける振りをした。
それにしてもなぜ○○は倒れたんだろうか・・・。
なんだかしばらく見なかったせいか痩せてたような気がした。
顔色の悪い彼女の青白い表情が瞼に焼き付いて離れない。
秀規は電話をする振りを済ませ、リカコのもとに戻った。
「じゃあ、帰ろうか。」
秀規は平静を装った。
しかし、リカコは何かおかしいと感づいていた。

Last modified:2007/09/29 10:17:23
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