Create  FrontPage  Index  Search  Changes  RSS  Note  wikifarm  Login

神様は試練しか与えない 後編

492 :名無しさん:2007/05/22(火) 20:26:44

 どれぐらい眠っていただろうか。
私が覚醒したのは倒れてからしばらくたっていた。
看護士さんが話しかけてきた。
「気がつかれましたか?今点滴をしてますから。」
「私どうなったんでしょうか?」
「お店で倒れられたんですよ。」
「家に電話しなければ・・・。」
「それでは私がしておきましょう。」
私は電話番号を伝え母を呼んでもらうことにした。
先生らしき人が来た。
「目が覚めたかね。どうやら貧血のようです。
 いつも貧血の気があるのかな?どうですか?」
「いいえ、貧血になったことはないんですが・・・。」
「最近体調の変化や環境の変化がありましたか?」
「ああ、はい。実は・・・・。」
私は先生にここ最近の悲しい出来事や食欲不足睡眠不足のことを話した。


493 :名無しさん:2007/05/22(火) 20:32:39

過労と神経が不安定ということで結局2、3日入院してみましょうということになった。
私は今夜から睡眠薬と安定剤を処方してもらうことになった。
「ああ、アキラさんがこういう時にいてくれたら・・・・。
 きっと優しく抱きしめてくれるだろうに・・・。」
私はゆっくり落ちる点滴を見ながら涙がにじんできた。
健康だけには自信があったのに。
精神的ダメージにこんなにも弱かったとは、自分でも情けない気持ちになった。
もう私には両親しか頼る人がいないのかと思うと、また悲しくなった。


494 :名無しさん:2007/05/22(火) 20:39:50

 その頃秀規はリカコの作った昼食を食べ終わりくつろいでいた。
だが、ずーっと○○がどうなったか気になっていた。
でもリカコの手前どうすることもできないでいた。
お茶を飲んで転がっていた秀規の隣にリカコが寝転がり、秀規に覆いかぶさる。
「ねえ、キスしてもいい?」
「うん、いいけど・・・。どうしたの?」
「だってあなた何か他の事考えてるみたいだから。」
「ちょっと考え事してただけ。何でもないよ。」
そういうと秀規はリカコのキスを静かに受け入れた。
二人はそれからしばらく抱き合った。


495 :名無しさん:2007/05/22(火) 20:43:30

激しく抱きしめあった後、秀規はリカコと一緒にホラー映画を鑑賞していた。
だが、抱き合った疲れと眠気があいまって、秀規は睡魔に襲われ途中で眠って
しまった。

気がつくと夜の7時。
「秀規さん!まだ寝るの?」
リカコに揺り起こされて目を覚ました。
すっかり眠ってしまった。
「夕飯作ったよ。食べようよ。」
秀規は促されるまま食事をとることにした。


496 :名無しさん:2007/05/22(火) 21:56:03

 ボーっとした頭のまま夕食をとる秀規は、また○○のことを思い出していた。
思い出したところでどうすることもできないが気になっていた。
夕食を食べ終えリカコが洗い物をしに台所へ行っている隙に秀規は寝室へ行き、
携帯を手に取った。
○○の番号もメールもまだ保存してあるはずだった。
秀規は少しためらう気持ちもあったが思い切って電話してみることにした。
「ただいま電話に出ることができません・・・。」
2回ほどかけてみたが留守電になる。
やっぱりあのまま入院してるのだろうか?
それとも寝込んで電話にでられないのか?
ますます気になる秀規は○○の家まで様子を見に行ってみたくなった。


497 :名無しさん:2007/05/22(火) 22:03:41

「リカコ、ちょっとジュース買いに行ってくるから。」
「え?ジュースなら冷蔵庫にあるよ?」
「ああ、それじゃないの飲みたいから。」
「じゃあ私が行ってくる。」
「いいよいいよリカコはお風呂の支度しててよ。じゃあ行ってきます。」
なんとかごまかして自宅をあとにした秀規は足早に○○の家へ向かった。
○○の家の前に着く。
灯りがついてないようだった。
留守なんだろうか?
秀規は勇気を出してインターホンの前に立つ。
ピンポーン・・・。
誰も出てこなかった。
やはり留守みたいだ。
仕方ない少しコンビにで時間をつぶしてみよう。
秀規は近所のコンビにに行き、立ち読みしながら時間が過ぎるのを待った。


498 :名無しさん:2007/05/22(火) 22:16:42

なんとか粘りに粘って40分ほど時間をつぶしてみた。
リカコには不審に思われるかもしれないけど、つい立ち読みしてたと言っておこう。
再度○○の家へ向かってみると、今度は部屋の灯りが見えた。
秀規は階段を駆け上がり早速インターホンを鳴らした。
ピンポーン・・・。
「はい、どちら様ですか?」
「あのう、菊地と申しますが・・・。」
「ああ、菊地さん?」
「はい、夜分遅くすみません。」
「どうかされましたか?」
「ああ、あのう、今日の昼頃○○さんに似た人が救急車で運ばれるの見かけたもので
 ちょっと心配になりまして・・・。」
するとドアが開いた。
○○の母が出てきた。
「菊地さん、お久しぶりね、元気でしたか?」
「はい、お母さんもお元気そうで、あっでもなんか疲れてらっしゃるようですが・・・。」
「ええ、そうなんです。実は○○が倒れてしまって。まああまりたいしたことは
 ないんでよかったんですけどね。
 ここ最近いろいろありまして・・・。」
「やっぱり○○さんだったんですね。どれくらい治療にかかりそうなんですか?」
「2,3日入院することになったんですけど、まあ当分精神的な部分に時間がかかりそうなんです。」
「なにがあったんですか?僕と別れてから幸せにやってるって時々電話やメールをもらってたから
 心配はしてなかったんですが・・・。」
「もう、その節は本当にあなたにご迷惑かけたと思います。本当ごめんなさいね。
 まあ今更言ってもしょうがないのかもしれないけれど・・・。」
「そのことはもう、大丈夫です。」
「そうですか。それなら少し安心しました。
 実は、先週○○の夫が亡くなったんです。」
秀規はその言葉を聞いてものすごくビックリしてしまった。


499 :名無しさん:2007/05/22(火) 22:22:10

 てっきり幸せにやっているとばかり思っていたが、○○にそんな衝撃的な
ことが起こっていたなんて・・・。
秀規はなんと言っていいのか言葉を捜していた。
「そ、そうなんですか・・・。
 ご愁傷さまです。○○さん大丈夫なんでしょうか?」
「もう、突然のことで。交通事故だったんです。
 なんせ半年しか生活してないのにこんなことになってしまって・・・。
 本人が一番ショックを受けてると思います。
 私達もどうしたらいいか分からなくて・・・。」
○○の倒れている様子が鮮明に思い出された。
相当な心労が重なっていたんだろう。かわいそうに・・・。
お母さんも昔会った時よりも痩せてる気がした。


500 :名無しさん:2007/05/22(火) 22:38:10

「今更ご迷惑かもしれないですけど、自宅に戻られたら○○さんと
 少しお話したいんですけど・・・・。無理ですかね?」
「いいえ、でもお忙しいでしょうに。」
「いいえ、僕になにかできるわけでもないんですが、とても心配なので・・・。
 会うのが嫌ならメールか電話すると伝えてもらえますか?」
「はい、分かりました。ありがとうね菊地さん。」
「じゃあ、遅くにすみませんでした。失礼します。」
秀規は○○の家をあとにした。
ゆっくり自宅に向かいながら秀規は○○を心配し続けた。
自分には何もできないのかもしれないし、出る幕ではないのかもしれない。
だけど・・・。 少しでも励ませるなら、何か力になれるなら、なんだってしてやりたい。
秀規はもうリカコにする言い訳などとうに忘れて、かつての愛しい彼女の身の上を
ひたすら案じるのだった。

Last modified:2007/09/29 10:26:19
Keyword(s):
References:[FrontPage] [小説(全てフィクションです)]
This page is frozen.