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神様の意地悪

531 :名無しさん:2007/06/02(土) 20:11:47

 秀規の帰りが遅いのでリカコは風呂に先に入っていた。
今日はお泊りの日ということではりきっていたリカコだったが、
昼間薬局で遭遇した出来事が引っかかっていた。
秀規の呆然とした表情。
話しかけても返事をしなかった様子。
倒れていた相手が女性だったということ。
あの時は友達の彼女だとか言ってたけど本当は・・・。
リカコは秀規の過去の女性なのではないかと疑い始めていた。
でも証拠は無い。
顔をあまりはっきり見なかったのであのスケッチブックに描いてある女性かどうか思い出すことはできないだろう。


532 :名無しさん:2007/06/02(土) 20:27:42

体を丁寧に洗いながらリカコの胸の中はざわついていた。
もし秀規の中に他の女性が住み着いているのであれば、自分は
いずれ捨てられるのではないか?
1年以上付き合ってきたけれど、付き合いの長さだけでは繋ぎとめることはできないかもしれない。
秀規のこと愛しくてたまらないのに・・・。
今まで通り秀規に優しく、愛情を持って接していけば繋ぎとめられるのではないか?
絶対そうであってほしい。
リカコは秀規に今晩激しく求められることを期待しつつ湯船に浸かった。


533 :名無しさん:2007/06/02(土) 20:34:33

 秀規は○○の家からの帰り道、彼女のことを思いつつ歩いていた。
「やっぱり入院してたか・・・。
 それにしてもお母さんもやつれてたぐらいだから、あいつはも っと心労が重なってたんだろうなあ。」
秀規は思った。
もし、あの時○○を繋ぎとめることができていたのなら・・・。
彼女がこんな悲しい出来事に遭遇することはなかったはず。
自分なら現にあの頃と変わらず健康で過ごしている。
彼女を悲しませることなんて多分起こらなかっただろう。
「これからあいつどうするんだろうか?
 当分ご主人のことは忘れられないだろうなあ。
 俺はどうすればいいんだろう?」
秀規は自宅の前まで来てハッと思い出した。
そういえばジュースを買うと言ってでたんだった。


534 :名無しさん:2007/06/02(土) 20:39:39

 慌てて自動販売機で適当にジュースを2本買った。
リカコにおかしいと思われないように取り繕わなければ・・・。
今日はリカコが泊まっていく日。
秀規は足早にマンションへ帰っていった。
自宅に戻るとリカコは風呂に入っているようだった。
喉が渇いたので先ほど買ったジュースを飲み始めた秀規は、
テレビをつけた。
だけど、やはり○○の事が頭をもたげる。
そうこうするとリカコが風呂からあがってきた。


535 :名無しさん:2007/06/02(土) 21:33:48

「あら、お帰りなさい。遅かったね。」
「ああ、うん、ちょっとコンビにで立ち読みしてたから。」
「ああそうなの。ジュースそれ買ったんだあ。それならスーパー で買ったほうが安いのに。」
「ああ、そ、そうだね。うっかりしてたよ。」
「私ももらっていいの?」
「うん、これ君の分。」
そういうと秀規はジュースをリカコに手渡す。
リカコと会話してると自分の心の中を見透かされてしまいそうだったので、すぐ風呂に入ることにした。


536 :名無しさん:2007/06/02(土) 21:39:37

 湯船に浸かり瞑想タイムに入る秀規は○○を想っていた。
運命の悪戯か、神の悪戯か?
あの時、別れた時からこうなることは決まっていたのだろうか?
俺がしっかり繋ぎとめておけば、いや、今更言ってもしょうがないことだ。しかし・・・。
まだ○○が結婚する前、たまたまコンビにで出会った時、彼女はとても幸せそうだった。
だから、結婚式前日にメールをもらった時も秀規は心から彼女が幸せになることを祈っていた。
あの時から心の奥に彼女のことをしまいこみ、しっかり鍵をかけたはず。
だけど今その鍵が外れて、彼女への想いがまた湧き出そうとしているのを秀規は確かに感じていた。


537 :名無しさん:2007/06/02(土) 21:44:09

 秀規は風呂から上がり、パジャマを着る。
リカコと抱き合うことになることは分かっていたが、あえてパジャマを着た。
残っていたジュースを飲み干し、歯磨きをする。
さあ、今はリカコと付き合ってるんだから○○のことは頭から消さなければならない。
風呂に入りスッキリした秀規は更に歯磨きをすることで清らかな心でリカコを抱こうと思った。


538 :名無しさん:2007/06/02(土) 21:51:51

 秀規は数分後ベッドに入っていた。
リカコも隣に入ってきた。
一応ベッドの下に布団も敷いてあるが、抱き合う時はだいたいベッドに二人とも入っていた。
「今日薬局で救急車で運ばれてた人、どうなったかしら?」
「ああ、そうだね。」
「友達の彼女なんでしょ?」
秀規はまたあせってきた。
「う、うん。」
「どうなったか、あれから連絡あったの?」
「いや、ないよ。」
「だいじょうぶだといいけどね。」
「そうだね。」
すると秀規の胸にリカコが顔を寄せてきた。
優しくリカコの洗い立ての髪を撫でたひでのりは、○○のことを
隠すかのように、リカコの上にまたがり、激しい愛撫を始めた。
リカコの感じる部分をまんべんなく愛撫し続ける秀規は、○○のことで揺れ動きながら、目の前にいるリカコを抱き続けるのだった。


539 :名無しさん:2007/06/02(土) 21:58:31

 リカコは激しい愛撫を受け、喘ぎ声を出していたが、頭の中では別のことを考えていた。
先ほど秀規が風呂に入っている間に彼の携帯をこっそり見てみた。
悪いとは思いつつ、気になってしょうがないリカコは発信履歴を見てみた。
○;○○分 ○○
「この○○って誰なんだろう?2回もかけてる。」
リカコはこの女性がどんな声をしてるのか知りたくなったのでかけてみる事にした。
向こうが出たらすぐ切ればいい。
自分の携帯に○○の番号を入れてかけてみた。
しかし留守電で相手が出ることはなかった。
「やっぱり今日倒れてた人だとしたら・・・。
 入院とかしてるんだったら出れないよね。
 ああ、私何やってんだろう・・・。」


540 :名無しさん:2007/06/02(土) 22:03:39

罪悪感を感じつつ、先ほどの秀規の慌てぶりと照らし合わせてみてやはり○○という女が過去の女なのでは?という勘がはたらいた。だからといって秀規に詰め寄る気はない。
秀規は現に自分を愛してくれている。
私はこの人のこと信じてるしかない。
リカコは自分に自信を持つことに決めた。
秀規の愛撫はリカコの下の部分に移動していた。
益々声を出してしまうリカコは快感の海に溺れていた。
ああ、このまま永遠に秀規と愛し合っていたい。
この人のこと信じていこう。
リカコはそう思いながら秀規と愛の時間を過ごすのだった。


541 :名無しさん:2007/06/02(土) 22:13:24

 結局2日で退院した私は母と一緒にタクシーで自宅へ戻った。
「そういえば菊地さんが家に来てくれたわよ。」
「えっ?菊さまが?なんで?」
「なんかあなたが救急車で運ばれていくところをたまたま見たら しいわよ。それで心配になったからって夜いらっしゃったの。
 だから説明しといたわよ。」
「アキラさんのことも話したの?」
「話のいきがかり上しょうがないから話したわよ。」
「そんな、話さなくてもいいのに。
 菊さまどう思ったんだろう?」
「あなたのことすごく心配してくれてたわよ。
 落ち着いたらあなたと話したいって。
 会いたくなかったら電話でもいいからっておっしゃてたわよ。
 連絡してみたら?」
「でも向こうはもう彼女いるんだし、私のことかまってる暇なん かないよ。菊さまに迷惑かけられない。」
「まあ、あなたの好きなようにしなさい。」


542 :名無しさん:2007/06/02(土) 22:23:15

 私は強引に菊さまと別れた行きがかり上、菊さまと今話す気になれなかった。
あれだけ菊さまより絶対幸せになってやると心に決めていた私だったが、その目標はもろくも崩れ去った。
あれだけ菊さまのことを悪く思うようになっていた私は、結局菊さまが私と分かれて幸せになっていることに不快感を覚えていた。
菊さまは相変わらず同じ生活を続けているようだし、彼女もできたと言っていた。
私は菊さまに結局敵わないんだ。
いくら頑張っても菊さまと私では運の強さが違うんだ。
菊さまは生まれもって生活にも困らず、仕事にも困らず、自分の自由きままに生活を送れるようになってるんだ。
それに比べて私は・・・。
私は自宅に着くと、すぐにアキラさんの位牌に線香をあげた。
「アキラさんただいま。
 退院はできたけど、これからどうすればいいんだろう。
 ねえ、どうすればいいの?」
私は涙が溢れてきた。
病院でも何度も涙が出ていた。
病院の先生には泣きたいときにはガマンせず泣きなさいと言われていた。
だから私は泣くことにした。
涙が1滴もなくなるまでこうなったら泣いてやる!


543 :名無しさん:2007/06/02(土) 22:34:33

私は静かに部屋で泣きながら、結婚式の時の写真を眺めていた。
あの時が今思えば一番幸せだった。
しばらくぼーっとアルバムをめくっていると、携帯が鳴った。
画面を見てみると菊さまからだった。
私は携帯に出ることを少しためらったが、出ないわけにもいかないだろうと考え通話ボタンを押した。
「もしもし。」
「もしもし、菊地ですけど。」
「ああ、菊さま、お久しぶりです。」
「久しぶり、元気かなあ、っていうか元気じゃないか。
 お母さんから聞いたかな?」
「はい、家に来てくれたんですよね?心配してくれてありがとう
 ございます。」
「体の具合はどう?」
「おかげさまで、大分よくなりました。
 でも薬は当分飲み続けなければならないみたいです。」
「そう。でも退院できてよかったな。
 今日俺休みなんだけど、お前家に居るんなら旦那さんに線香あ
 げさせてもらおうかと思って・・・・。」
「ああ、ありがとうございます。
 家にいますから。でも菊さまお忙しいんじゃ・・・。」
「今日暇だから。それにお前の顔も見たいし。
 じゃあ今から行くから。」
私は本当は断りたかったが、無下に断るのも悪い気がした。
菊さまに今の自分の哀れな姿を見せるのは嫌だったが、菊さまの厚意を受け入れることにした。


544 :名無しさん:2007/06/02(土) 22:50:05

数十分後、秀規は○○の自宅を訪れていた。
途中花屋に寄って仏壇用の菊の花を買っていった。
「菊さま、どうぞ。」
「おじゃまします。」
1年半以上になるだろうか。
久しぶりに○○の部屋に入った秀規は懐かしく思ったが、同時に
小さな祭壇を目にして聞いていたとはいえ、ショックを受けた。
遺骨の前に○○の旦那らしき人の写真があった。
はじめてみるその顔を見て、秀規はなぜ○○が自分の元を去ったか納得した。
○○が好きになるのも当然であろう姿だった。
頼りがいのありそうな、健康そうなその姿。
だがもうこの世には居ないその男の写真をただ呆然と見つめる秀規は、○○になんと励ませばいいのか分からなくなってしまった。
「線香あげさせてもらうよ。」
「はい、ありがとうございます。」
秀規は線香をあげ、手を合わせた。
「菊さまお花ありがとうございます。
 主人も喜ぶと思います。」
○○の声ってこんなんだったけ?
秀規は力のあまりない彼女の声を聞いて悲しくなってきた。


545 :名無しさん:2007/06/03(日) 12:11:17

「体調悪いのどんな症状が出てるんだ?」
「彼が交通事故に遭って亡くなるまでほとんど寝ずの看病だったんですが、お葬式済んでも疲れてるはずなのに眠れなくなってしまって。それに食欲もずっとなくて。
それで先日買い物途中で貧血で倒れてしまったんです。」
「そうだったのか。
 ところで旦那さんの事故って車か何か?」
「原付に乗っててトラックに撥ねられたんです。」
「そ、そうだったの・・・。本当なんて言っていいか・・・。
 嫌なこと思い出させてごめん。」
「いいえ、本当のことですから。」
秀規は退院したとはいえヤツレ気味の○○と話していて、彼女を
抱き寄せて包み込みたくなっていた。
でも恋人でもないのにそんなことはできない。
お互い目の前に居るのに、時の流れが秀規と○○の間に溝を作っている感じだった。
だけど、たとえ距離があるにしても秀規は彼女を支えたいと心から思った。


546 :名無しさん:2007/06/03(日) 12:22:17

 テーブルの上にアルバムらしきものが置いてあるのが目に
とまった秀規はそれを見せてもらった。
「お前の結婚式の時の写真か?」
「そうです。さっき懐かしくて見てたんです。
 もう写真でしか彼に会えないから。」
秀規は1ページずつゆっくり写真を見た。
神社での式の様子。
○○の緊張気味の表情が写っている。
披露宴での白いウエディング姿の彼女はとても美しく、愛らしく
見えた。
幸せそうな彼女の結婚生活。
それを一瞬の内に奪ってしまった事故。
秀規は彼女を励ましに来たはずなのに、自分の方が参ってしまっていた。


547 :名無しさん:2007/06/03(日) 12:33:19

トントン!
「そろそろお昼になるから一緒にお食事したら?」
彼女の母が部屋に入ってきて言った。
「いいえ、僕もう失礼しますから。」
「まあ、そんなこと言わず、私達親子だけで寂しいんですよ。
 菊地さんが久しぶりに来てくれて結構嬉しいんだけど・・・。」
「菊さま、良かったらついでに食べてってください。
 お花持ってきてくれてお礼に。」
「じゃあ、お言葉に甘えます。」
ダイニングに通された秀規は席に着いた。
マグロの刺身に筑前煮、大根の酢の物、味噌汁、ご飯。
「私久しぶりに食欲沸いてきた。」
「よかったな。じゃあ、いただきます。」
秀規は久しぶりに彼女の母が作った食事を食べる。
食べながら彼女の部屋でマグロの刺身で女体盛したことを思い出した。


548 :名無しさん:2007/06/03(日) 12:44:30

今思えばなんてバカで恥ずかしいことをしたんだろう?
でもそれだけ彼女と仲が良かったという証拠。
「菊さま、そういえば彼女が居るんですよね?
 どんな人なんですか?」
「ああ、モデルなんだ。」
「えー!そうなんだ!じゃあとても美人でスタイルもいいんだろうなあ。」
「まあ、モデルだからな。でもお前知らないと思うよ。 
 そんなに有名ではないから。」
「でも雑誌とかでてるんでしょ?」
「ああ、そうらしいけど。
 俺もそうだけど、明日どうなるか分からない商売だからな。
 華やかな世界だけど結構厳しいよ。」
「そうなんですか。
 もうその彼女と長いですよね?」
「うん、1年半ぐらいになるのかな?」
「じゃあ、順調ですね!菊さまその人のこと大事にしてあげてね!」
「ああ、そうするよ。」
返事したものの、○○のことが心配な秀規は彼女がこれからどうするつもりなのか気になっていた。


550 :名無しさん:2007/06/03(日) 14:07:58

「お前、しばらく家にいるのか?」
「そうですね。まだ49日も終わってないし。
 その後納骨で大阪行ったりしないといけないし・・・。
 行ってたアルバイトも辞めたから、いずれまた職探しして
 働こうと思ってます。でも未定って感じですね。
 体調も万全じゃないし。」
「そうだよな。ゆっくり休めよ。仕事もゆっくり探したらいい。」

秀規は食事を終え、もうそろそろ帰ることにした。
「お母さんご馳走様でした。美味しかったです。」
「たいしたものじゃなくてごめんなさいね。
 長く引き止めてしまったみたいで。」
「いいえ、○○さんの顔見れただけでも嬉しいです。
 どうぞお二人とも元気だしてくださいね。」
「ありがとう、菊さま。」
「じゃあ、また時々電話してこいよな。
 俺はいつでも相談にのるから。」
「はい。菊さまありがとう。」
「じゃあ、お邪魔しました。」
秀規は○○家を後にした。
 


551 :名無しさん:2007/06/03(日) 14:15:23

帰りに秀規は神社に寄った。
「どうぞ神様、○○が元気になれますように。
 悲しみから立ち直れますように・・・。」
秀規は彼女が前みたいに笑顔で一杯の生活に戻ってほしいと心から願った。
自分はもうこうして願ったり祈ったりすることしかできないのだろうか?彼女の力になんとかなりたい。
でも何をしたらいいのか?
具体的な考えは無かった。
ああ、完全に○○への想いが復活してしまったようだ。
かけたはずの心の鍵は完全に開いてしまった。

Last modified:2007/09/29 12:20:07
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