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私が好きなのは・・・ 後編

642 :名無しさん:2007/06/22(金) 22:12:31

 盛岡に到着した私はすぐに薬局を探した。頭痛薬を買い求めた。ついでに下着やストッキングをかごに入れた。
そして菊さまが見てない隙にゴムを買った。
菊さまとそういうことにならないかもしれないけれど、
実家に連れて行かれる以上、もう何をされても文句言えないと
思った。私は菊さまを受け入れようと心に決めていた。
タクシーに乗り、数十分、菊池家に到着した。
「さあ、ここだよ。」
「大きなお家ですね。」
「田舎だから。」
「盛岡市内だから町じゃないですか。 いいな、こんな立派な家で育たれたんですね。 なのになんでそんなにひねくれたんですかw?」
「なんだと?」
「冗談ですよ。ああ、緊張するなあ。」
「何が緊張するだ!相変わらず口の悪い女だ。」
「その口の悪いのに惚れた馬鹿な人は誰でしたっけ?」
菊さまはタコのようにふくれっ面になり、私をにらみつけた。
だが、すぐに私の手を取り、玄関を開けた。
「ただいま!秀規だけど。」
すると奥から女の人が出てきた。
「ああ、よく帰ってきたね。 まあ、初めまして。秀規がお世話になっております。」
「は、は、初めまして。○○と申します。 秀規さんにはとてもお世話になってます。 今日は突然お邪魔しまして、申し訳ありません。」
「いいえ、どうぞあがってください。」


643 :名無しさん:2007/06/22(金) 22:19:47

 菊地家に通された私たちは、居間に座った。
「母さん、○○さんにお水あげて。薬飲むから。」
「まあ、どこか悪いの?」
「ちょっと頭が痛くて。」
「じゃあ、何か食べてからの方がいいんじゃない?
 ご飯できてるから、食べましょうよ。」
お言葉に甘えて夕食をご馳走になった。
菊さまのお母さんの味。
しっかり舌に覚えこませなければならないと思い、ゆっくりおかずをかみ締めた。
菊さまにまた料理を作ったりすることになるんだろうなあ。
もう昔みたいにお遊び気分ではいけない。
真剣に菊さまに尽くさなければならない。
私は頭の痛みと戦いながら、ご飯をかみ締めた。


644 :名無しさん:2007/06/22(金) 22:29:20

 私たちが夕食を食べていると、菊さまのお兄さんが帰ってこられた。
「お帰りなさい。ああ、こちら秀規のお友達だそうよ。
 ○○さん。」
「はじめまして、兄です。」
「は、初めまして。」
私は唖然とした。そこには菊さまにそっくりな白いでく人形が
立っていたから。
菊さまは東京暮らしと芸人という仕事で少し垢抜けているが、
そこに立っているお兄さんはとても地味なサラリーマンという
感じだった。
お兄さんは私をしばらく見つめておられたが、すぐに自分の部屋
へと2階へ上がって行かれた。
「菊さまとそっくりですね。」
「ああ、双子だからね。」
「え?ふ、双子?そんな話初めて聞いた。
 菊さまそんな話してくれなかったから・・・。」
「別にお前聞かなかったじゃん。」
私は緊張の上に驚きが重なり益々頭痛が激しくなった。
食事を全部平らげることができなかったが、もう頭痛がひどいの
で水をもらって薬を飲んだ。


645 :名無しさん:2007/06/22(金) 22:37:26

 私は客間にお布団を敷いてもらって、そこへ寝転がった。
寝転がりながら、今日何も旅行の用意をしてきてないので、
どういう格好で寝ようか悩んだ。
今来ている服のままで寝るのもなあ・・・。
寝る寸前に下着一枚でいようか。
でも、お父さんもお兄さんもいらっしゃるし・・・。
そうこう考えていると菊さまが部屋に入ってこられた。
「菊さま、近くに遅くまでやってる洋服屋さんありますか?」
「どうしたの?買いに行くのか?」
「はい、寝巻きがないので。」
「そんなの兄貴のジャージか、母さんのパジャマでも借りれば
 いいよ。」
「そんな、ただでさえ急に泊めてもらって迷惑かけてるのに。」
「気にするな。そんなこと心配しなくていいから寝てろ!」
そういうと、菊さまは部屋から去られた。
私はそのうちに薬が効いてきて眠ってしまった。


647 :名無しさん:2007/06/23(土) 18:08:26

 居間には両親と兄がお茶を飲んでいた。
「ねえ、あの子のことどう思った?」
秀規がたずねる。
「ああ、感じの良い子なんじゃないか?」
「そうね。あなたあの子と結婚するの?」
「うん、俺はそのつもり。」
「あら、○○さんに言ってないの?」
「うん、あいつまだ亡くなった旦那さんのこと忘れられない
 みたいだから・・・。」
「えっ?結婚してたの?」
秀規は○○との出会いと別れ、そして○○の結婚、最近旦那と
死別したことなどを簡単に説明した。
「そうだったの。まあ、あなたの好きにしなさい。
 私たちは反対はしないから。」
「分かった。じゃあ菊地家は賛成ってことでいいんだね。」
「もし結婚が本決まりになったら○○さんのご両親に挨拶に
 行かなければならないね。
 向こうは賛成してくれそうなのかい?」
「わからない。俺の誠意を見せるしかないよね。」
「反対されたらこちらはどうしようもないよ。
 お前は堅気の職業じゃないんだから。
 お嫁さんをもらうってことは責任があることなんだよ。」
「分かってるよ。俺子供じゃないんだから。」
秀規は母の気持ちが分かっていた。
母はいつまでも心配してくれている。


648 :名無しさん:2007/06/23(土) 18:46:44

 私は1時間ほどして目が覚めた。菊地家の人々とあまり話してない。今回菊さまが強引に連れてきたということは、
私との結婚を真剣に考えているということだと思う。ならば、家族に私のことをどんな女か見せたいんだろうと思う。なのに具合が悪くて寝てしまった。
菊地家が家族会議しているとも知らず、私は菊さまの家族に気に
入ってもらえているのか、何を話せばいいのか悩んだ。
頭の痛みは消えていた。私は布団から出て、部屋を出てみた。
居間に行ってみると、菊さま一人が座っていたのでそばに寄ってみた。
「菊さま、すみません寝てしまって。 のど乾いたのでお水もらえますか?」
「ああ、冷蔵庫にジュースあるよ。」
菊さまはテレビを見たまま振り返りもせず答える。私は冷蔵庫のジュースをいただいた。
菊さまのそばに座る。洗い立ての髪からシャンプーのいい匂いがする菊さま。
私はなんとなく寄りかかりたくなったから、菊さまの肩に寄り添った。
「ねえ、菊さま。ご両親私のこと何か言われてましたか?」
「ああ、いい子だって。」
「本当ですか?私が結婚してたことも言ってくれましたか?」
「ああ、聞いたよ。」
「そうですか。ねえ、菊さま・・・。」
私は菊さまの耳たぶにそっとキスした。
すると菊さまはとても感じたらしく、びっくりしたように身を
そらした。
「なんで逃げるの?」
「ごめん。俺秀規じゃないんだけど。」
「え?あ、ああ、す、すみません!」
私は今までずーっと菊さまだと思って話していたが、お兄様だったのだ。どうしよう、変なことしてしまった。
私は顔から火が出る思いだった。
「秀規は今お風呂入ってるから。
 頭痛治ってよかったね。」
「は、はい、ありがとうございます。」


649 :名無しさん:2007/06/23(土) 18:54:26

「ところで、何で秀規のこと好きになったの?」
「ああ、えーっと、優しいところかな。」
「へえー。あいつと喧嘩したりしないの?」
「よく喧嘩しました。私兄弟いないからつい兄のように思って
 しまって。たくさん秀規さんのこと怒らせてしまって。
 でも、秀規さん必ず私のこと許してくれました。」
「そうなんだ。
 君は秀規と結婚する気あるんだよね?」
「ええ、正式にプロポーズされてないのでまだわからないです。
 私が結婚してたことは聞かれましたか?」
「ああ、聞いたよ。旦那さん亡くなったんだってね?」
「はい。私まだ心の整理がついてなくて。
 だから今すぐ結婚っていうわけにはいかないと思うんです。
 でも、秀規さんさえよければ、あの人についていきたいと
 思ってます。」
「そう、良かった。秀規のことよろしく頼むね。
 秀規が君の事好きになったのなんとなく分かるんだ。」
「そうですか?」
「双子だから。俺が秀規だとしても多分○○さんのことを好きに
 なるんだろうなって、なんとなくだけど思った。」
「嬉しいです。そんなこといってもらって。
 お兄さんは彼女いらっしゃるんですか?」


650 :名無しさん:2007/06/23(土) 19:02:17

「うん、いるよ。」
「どんな人か見てみたい。
 いずれ結婚されるんですよね?」
「ああ、でも見たいんなら絶対秀規と結婚してもらわないとね。」
「あっ、そうですね。w」
私たちが笑っていると菊さまの声がした。
「おーい、○○風呂入れよ!」
菊さまが居間に入ってこられた。
私はキスのことは内緒で、そそくさと風呂場へ行った。


651 :名無しさん:2007/06/23(土) 19:16:51

「さっきのキスの事バラされたくないだろ?w」
「え?あの・・・」
「おとなしくしろ!」
「イヤーン、ダメーン!」


652 :名無しさん:2007/06/23(土) 20:04:01

「ははは、冗談だよ!」
「えっ?」
「はい、これ俺のジャージ、パジャマ代わりに着てよ。」
「はい。ありがとうございます。」
「じゃあ。さっきのことは内緒ってことで!w」
お兄様は脱衣所から出て行かれた。
私は服を脱ぎ、シャワーを浴びて汗を流した。
偏頭痛になったから風呂は早めに済ませることにした。
でも新幹線やライブ会場で座りっぱなしだったので足が疲れていた。湯船で足を伸ばすととても気持ちが良かった。
菊地家の人々と同じ石鹸、シャンプーを使って私は体を清めた。
「私、本当に菊地一族に加えてもらえるのかしら・・・。」
私はあまり自信がもてなかった。
だけど、菊さまを信じるしかない。
私は今夜菊さまに触れられるのか少し期待しながら風呂から
あがった。


653 :名無しさん:2007/06/23(土) 20:09:12

 私がお風呂からあがるとお母様がいらっしゃった。
「お風呂お先にもらいました。」
「はい、タオルどうぞ。」
「ああ、すみません。」
「髪の毛ドライヤーで乾かすわよね?」
「は、はい。」
「はい、これだから。」
「すみません。」
私はドライヤーで髪を乾かした。
乾かしながら、お風呂の湯船汚してなかったか気になってきた。
でももうお母様が入ってるからどうしようもない。
ああ、もしかしたら髪の毛一杯浮かしてたかもしれない。
「まったくお風呂の使い方が汚い!」
って思われてるかも。
私は早々に髪を乾かし、居間に客間に戻った。


654 :名無しさん:2007/06/23(土) 20:27:16

 部屋に戻ると菊さまが私の横に布団をひいて寝転がっていた。
「おう、あがったか。」
「はい、気持ちよかったです。」
「さっき兄貴と笑ってたけど、何話してたの?」
「ああ、お兄さんの彼女に会ってみたいって。
 だけど会うには秀規と結婚してくれなきゃって言われて。」
「なんで笑うんだよ!俺とのことそんな軽く思ってるのか!」
「違いますよ。そんな、とても嬉しいです。」
「ごめん、大きい声出してしまって。」
「私こそごめんなさい。」
そう言うと私は菊さまの横に寝転がった。
菊さまは私を見つめられた。
こうして寝転がって見詰め合うのはもう何年ぶりだろうか?
当たり前のように見詰め合ってたけど、二人は離れ離れになっ
て、そしてまた近づいて。
菊さまの顔が近づいてきた。
私は目を瞑り、菊さまの唇を受け入れた。
久しぶりの菊さまとの口づけ。
とても懐かしい気持ちになった。
やっぱり私菊さまのこと好きなんだ。
私は涙が溢れてきた。
私の中で閉ざしていた扉が菊さまの力で開きだしたような気が
する。
菊さまは私を強く抱きしめた。


655 :名無しさん:2007/06/23(土) 20:40:30

 秀規はとても嬉しかった。
○○をこうして抱きしめることがまたできるようになるなんて。
夢に描いていたことが現実になってとても気分が良かった。
家族にも祝福してもらえそうだし、なによりも彼女が実家まで
ついて来てくれたことが嬉しかった。
「お前のことずっと好きだった。
 これからも好きだから。」
「ありがとう、菊さま。」
「明日少し観光しないか?」
「どこへ行くの?」
「海見たくないか?」
「あー、見てみたいかも。綺麗なんでしょうね。」
「お前と一緒に海見たことないものな。」
「楽しみです。あっ、何時に起きますか?」
「どうしようか、6時に起きれるか?」
「はいわかりました。あっ、ご両親におやすみのご挨拶
 しないと。」
「じゃあ、いこうか。」
二人は両親の部屋へ行き、挨拶した。
「本当今日はご迷惑おかけしました。
 すっかり頭痛もなおりましたので。」
「それは良かった。ゆっくり休んでね。」
「はい、おやすみなさい。」
「おやすみ。」


656 :名無しさん:2007/06/23(土) 20:49:05

 二人は部屋に戻ると灯りを消し、抱きしめあった。
「菊さま今日お仕事だったんだから疲れてない?」
「疲れてるよ。だけどお前のこと離したくないから・・・。」
秀規は○○の唇を奪った。
もう絶対離れたくない。
彼女の代わりはどこにもいないんだから。
秀規は彼女の寝巻きを剥ぎ取り、胸に顔をうずめた。
久しぶりに触れるその体は、少し痩せたような感じがした。
彼女のご主人との死別は秀規には計り知れないほど深い悲しみ
だったに違いない。
その悲しみを少しずつでも癒していきたい。
秀規は彼女を優しく愛撫し抱き続けた。
二人は途切れていた愛をまた繋ぎ、確かめ合うように愛し合った。
静かに夜は更けていった。


658 :名無しさん:2007/06/23(土) 22:03:21

 二人は翌朝気持ちよく目覚めた。
彼女と幸せな朝を迎えることができ、とても嬉しかった。
秀規は彼女を優しく起した。
「○○、おはよう。」
「菊さま、おはようございます。」
「お前相変わらず腐ったみかんみたいな顔してんなw。」
「もう、朝から悪口ですか?
 そんなこと言うならもう私東京に帰りますよ!」
「嘘だよ、愛してるよ、○○ちゃん。チュッ!」
秀規は彼女をからかいながら軽くキスした。
彼女のことが可愛くて仕方ない。
いつまでもいちゃついていたいが、今日は出かけたいところが
あるので二人とも起きることにした。
台所へ行くと母が朝食の支度をしていた。
「あら、もう起きたのかい?」
「うん、今日は宮古へ行こうと思って。」
「そうなの?じゃあ、すぐ支度するね。」
「お母さん私も手伝います。」
「じゃあ、ご飯よそってもらえる?」
○○が甲斐甲斐しく支度を手伝うのを見て、秀規は思わず
彼女との生活を想像した。
毎朝彼女のこういう姿を見れたら幸せだろうな。
仕事だって頑張れる気がする。
早くそうなりたいと思う秀規だった。

Last modified:2007/09/30 09:05:28
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