Create  FrontPage  Index  Search  Changes  RSS  Note  wikifarm  Login

誤解

95 :名無しさん:2007/02/24(土) 22:16:34

 秀規は体調をほぼいつもどおりに戻していた。
「あいつとこの間食事できなかったから、食事に誘おう。」
秀規は彼女に電話してみた。

「もしもし、俺だけど。」
「ああ菊さまこんばんは。なんか用ですか?」
「この間のスパゲティー騒動のお詫びに食事しないか?」
「いいですけど、いつですか?」
「明日の夜どう?」
「あっ、すみません、明日は用があるから。他の日にしてくれませんか?」
「じゃあ、あさっての夜は?」
「いいですよ。じゃあどこ行きますか?」
「俺のほうで決めとくよ。じゃあ当日のお楽しみということで。
 愛してるよ、おやすみ!」
「はい、愛してますよ菊さま、おやすみなさい。」

秀規は電話を切り、ルンルン気分でお店選びを考えていた。
久しぶりのデート、どこにしよう。彼女が喜びそうなところがいいな。
いつも自己中な秀規であったが、愛している彼女のためなら優しくなれる。
自分でも知らぬ間に優しい感情が湧き出ていることに少しとまどっている。

だけどこれが今の本当の気持ちなんだ。これが愛ってことなのかな? 秀規は彼女のことを想いながら心地よい眠りについた。

96 :名無しさん:2007/02/24(土) 22:23:48

 翌日、私は仕事を終え美術館に向かおうとしていた。
実は用というのはこの美術館。前から行こうと思ってて前売り券は買っていたんだけど、
今日が最終日。すっかり忘れてて、あわてて最終日の今日行くことになった。

会社を出ようとすると、会社の先輩社員に呼び止められた。 「○○さんお疲れさま。」
「××さんお疲れ様です。」
「あれ、帰る方向違うようだけど・・・。」
「ああ、はい、今から美術館に行かないといけないんです。」
「そう、方向途中まで一緒だね。」
私たちは途中まで同じ方向へ歩いていくことになった。

97 :名無しさん:2007/02/24(土) 22:45:05

 そのころ秀規は昼から家に遊びに来ていた事務所の後輩と一緒に夕方の街へ繰り出していた。
夕飯を食べるためにである。

「確か、ここら辺だって言ってた様な・・・。」
秀規は彼女の勤めている会社がここら辺だったようなことを言っていたのを
思い出していた。でもビルがいっぱいありすぎてどれがどれだか分からなかった。

「菊地さん、焼肉屋さんもうすぐですか?」
「ああ、あと2,3分だと思うんだけど・・・。あれ???」
秀規の視界に愛しい彼女が飛び込んできた。
その隣には背の高い遠目に見て男前の男が一緒に歩いている。
二人は笑顔で楽しそうに喋りながら歩いていた。
「まさか、今日のデート断ったのって・・・・。」
秀規は疑心暗鬼になっていた。

98 :名無しさん:2007/02/24(土) 22:48:50

秀規は急に方向転換して二人の後を追うことにした。
「き、菊地さんどこ行くんですか?」
「ごめん、ちょっと知り合いが見えたから、ごめんけどついて来てくれ。」
秀規は後輩を引きつれ、彼女の後を追った。
しかし、信号にひっかかり、二人の姿を見失ってしまった。

「くそー、だめだ。」
秀規はとてもあせっていた。なんだか、あのままもう彼女と会えなくなるのではないかと
思っていた。他の男と一緒にいる姿を見せられたことがとてもショックだった。
「ごめん、見失ったみたい。連れまわしてごめんな。さあ、店に行こうか。」
後輩を連れ、目的の焼肉店へ向かった。

99 :名無しさん:2007/02/24(土) 22:54:18

 そのころ私は××さんとは別れ、美術館へ入っていきました。
携帯の電源を切り、入場券を出して、楽しみにしていた展覧会場へ入っていきました。
まさか、菊さまが私を疑っているとも知らずに・・・。

秀規は焼肉を注文すると、すぐトイレに行った。
「あいつに電話してみよう。」
いてもたっても居られなかった。電話してみた。
「留守番電話サービスです。・・・・」

「くそー!なんで出ないんだ。ていうか出られない状態なのか?」
ますます疑心暗鬼に陥っていく。もう一回電話してみた。
また留守電。仕方ないからメッセージを入れた。
「話がしたい。すぐ電話くれ。」
秀規は鏡に映る自分を見た。自分でも動揺しているのが分かる。

せっかく気の合う後輩と楽しく食事をしようと思っていたのに。
あの女のせいで気分が台無しだ。でもせっかくついてきてくれた後輩に申し訳ないから、
いつもどおりで居なければならない。秀規は平静を装い、席に戻った。

100 :名無しさん:2007/02/25(日) 21:29:51

冷静さを保ちつつ後輩と焼肉をつついていた秀規は、こみ上げる苛立ちを
抑えるために酒をあおった。いつもはゆっくり飲むのにハイピッチである。

「菊地さん、今日ペースはやくないですか?大丈夫ですか?」
「ああ、今日は飲みたい気分なんだ。」
飲みながら彼女のことをしばし忘れるため、大好きな音楽の話や趣味の話をした。
でも頭からあいつのことが離れることはなかった。そんな秀規を様子を察した後輩が

「菊地さんさっき道歩いてた時から様子が変わった気がしますけど、追いかけてた人と
 何か関係あるんですか?よかったら話してください。」
「ああ、別になんでもないよ・・・。」
「なんだか水臭いなあ。俺でよかったら相談にのります。年下だけど・・・。」
そういわれて秀規はこのまま黙っているのも苦しいので話すことにした。

「実は・・・、さっきの俺の彼女なんだ。」
「えっ!菊地さんって彼女いるんですかー!いつからですか?」
「うーん、去年の後半ぐらいからかな?」
「へーえ、びっくりしたなー。なんでもっと早く教えてくれなかったんですか?
 何回も飲みに行ってましたよね俺たち。」

「うん、言おうと思ってたんだけど、わざわざ言うほどでもないかと思ったりして・・・。」
「で、さっき追いかけたのって何でなんですか?」
「実は、なんか知らない男と一緒に歩いてたから、すごく気になって・・・。」
「浮気してるってことですか?彼女って一般人ですか?」
「ああ、OLしてる。」

「じゃあ、同僚とか会社の人の可能性ありますよね。電話して確かめたらどうですか?」
「さっき電話したけど留守電なんだ。」
「そうですか・・・。」

101 :名無しさん:2007/02/25(日) 21:34:56

「もうしばらくしたら、もう一回かけてみたらどうですかね。もしかしたら
 携帯の電源切らないといけないところにいるのかもしれないし。」
「そうだな。そうしてみるよ。ありがとう。」
「いいえ、でも今度紹介してくださいよ。あーあどんな人なんだろう。会って見たいなあ!」
「www会ったらがっかりするぞ!すっげー不細工だもん。」
「えー嘘でしょう。また冗談を。写真とか持ってないんですか?」
「あるよ、ほれ!」

秀規は携帯で撮った彼女の寝顔を見せた。
これには後輩も黙ってしまった。
「うーん、写り悪いですよね。これじゃあよくわかんないな。今度生で会わせて下さいね!」
「そんな、見るほどじゃないって。目が腐るぞ!」
「そんなことないでしょう。菊地さんを惚れさせる女性なんてそうそういないと思うから。
 絶対あってみたいです。」

102 :名無しさん:2007/02/25(日) 21:40:13

焼肉を一通り食べて満足した秀規たちは店を出ることにした。
会計はもちろん秀規が済ませた。そして、隣町でラーメンを食べることにした。
美味しいしょうゆラーメンのお店。秀規の行きつけのお店だった。
注文して待つ間、秀規はまた電話してみた。だがまだ繋がらない。

「くそー!あのブス、どこで何やってんだか!」
「もしかしたら映画でも見てるのかもしれませんよ。だったらまだまだ時間かかるかも。」
「そうかなあ。」
秀規は後輩の意見のとおりだったらいいのだけど、もしそうでなかったらと考えた。
もし俺を裏切るようなことをしていたら・・・。そう考えると頭がおかしくなりそうだった。
ラーメンが出てきたので、嫌な思いをかき消すかのように貪り食った。

103 :名無しさん:2007/02/25(日) 21:44:41

 そのころ私は菊さまのことなどすっかり忘れて、美術鑑賞を楽しみ、一通り
絵画を見て回って非常に満足しておりました。
そして、売店でおみやげとして絵葉書を選んでおりました。

「わー、これもあれもほしい。」
こういうの選ぶのとっても好きな私は時間がたつのも忘れて夢中で選んでおりました。
一人だけどすごく充実した楽しい時間。そのうちお腹が空いていることに気づき、美術館の
喫茶室で、サンドイッチと紅茶を頼みました。

夜の美術館の中庭を見ながら紅茶をいただく。植木に青色の電飾が飾ってあって、幻想的な雰囲気です。
昼間見るのとは違う空間を楽しみながら、私はとても癒されていました。
「やっぱりきてよかった。」
私は、とても満足しておりました。

104 :名無しさん:2007/02/25(日) 21:52:49

 そもそもなぜ美術鑑賞に興味を持ち始めたのか?もっと若い20代前半ごろは
まったく興味ありませんでした。学生時代美術が得意だったわけでもなく、どちらかと
言えば、小学生の図工の時間なんて大嫌いだった私です。どちらかといえば音楽の方が
得意でした。

しかし、大人になって楽器を触ることも無くなり、なにか他に趣味を持たなくては?と考えていた時、
友達から美術鑑賞に誘われました。
最初は適当に見て回るつもりだったけど、とても綺麗な絵や、解説に書いてある作者の思いを読みながら
絵を見ていると、美術鑑賞も悪くないと思い始めたのです。絵を習ったりするのは大変そうで入り込めそうに
ないけど、美術鑑賞なら私でもできると思いました。それに、なんといっても日常から解放されたような気に
なれて、ストレス解消にもなるなって思いました。

それと、菊さまに出会ってからは、菊さまみたいに感性豊かな人間になりたい!菊さまに少しでも近づきたいと
いう思いも働きました。だからますます美術鑑賞にはまるのです。

105 :名無しさん:2007/02/25(日) 22:00:29

 秀規はその頃、ラーメンを食べ終えていた。
「おい、まだ腹がいっぱいにならないから次すし屋にいくぞ!」
「えー!わ、分かりました。」
一体この人の胃袋どうなってるんだろう?でもおごりだからまあ、いっか。
後輩はもう、いいかげんお腹一杯になっていたが、大好きな先輩についていくことにした。

歩きながらまた彼女の携帯にかけまくる。
「また留守電だ。くそー!あのブタめ!なにやってんだ!」
「菊地さん、もうちょっと待ってみましょうよ。おすし屋につく頃には
 もしかしたらかかってくるかもしれませんよ。」
「もしかかってこなかったらどうする?お前責任とるか?」
「そんなー。責任とれませんけど、待ってみましょうよ。」
まったく困った人だ。でもこういうところが面白いんだけどな。

そして二人は、すし屋に着いた。
「とりあえず、日本酒、あとは任せます!」
もう秀規はだいぶ酔っ払っていた。まだ酒をあおるつもりだ。
「くそーあの女まだか!俺をこんなに待たせるなんて100年早
い!」 「菊地さん酒癖けっこう悪いなー。いつもはもっとスマートにお酒飲むのに・・・。」
「うるさい!お前俺に説教する気か?」
「いいえ、なんでもありません!」

106 :名無しさん:2007/02/25(日) 22:08:46

 そのころ私は、喫茶室で会計を済ませ、トイレに行きました。 「あっ携帯が鳴ってる。」
でも用をたしていたので出ることができませんでした。
トイレから出てロビーに座り、携帯を確認しました。
「わー、菊さまから何回もかかってる。おまけに留守電もはいってる。」
聞いてみると、回数が多くなるごとに菊さまの怒ったような声が録音されておりました。
「なんで怒ってるんだろう?とりあえずかけてみよう。」

pipipipi・・・・。
秀規の携帯が鳴った。
「もしもし、お前今どこだ!」
「もしもし、何かあったんですか?私今○×美術館にいます。」
「美術館?それ本当か?お前男と一緒にいるんじゃないのか?」
「は?何わけの分からないこと言ってるんですか?馬鹿じゃないんですか?
 私は今日最終日の展覧会があって、それを見にきたんですよ。」

「電話では何とでも言えるよな。お前嘘つきだし。」
「え?なんでですか。私本当のこと言ってるのに、信じられないんですか?」
「お前が男と歩いてるの見たの!証人もいるぞ!」
「私そんなの知りません。」
「夕方お前歩いてただろう。会社の近くだ!」

107 :名無しさん:2007/02/25(日) 22:13:26

「それは、多分会社の先輩のこと言ってるんでしょう。私はその人と途中
 で方向違うから別れて美術館に入りました。うそだと思うんなら着て下さい!」
「お前誰に向かって言ってんだ!なんで俺がそっちにいかなきゃならないんだ!」
「じゃあ、来なくてけっこうです!もう切りますよ。菊さま酔っ払ってるでしょう。
 酒癖わるいんだから。介抱しに来いっていっても行きませんよ!」
「ふん!来なくて結構!お前なんか大嫌いだ!ガチャ!」

まったくなんなんだこの人は。何か勘違いしてるみたいだった。
私は少し気分を害しましたが、いつまでも菊さまの電話にこだわっていてもしょうがないので
家に帰ることにしました。
「菊さまなんで私の会社の近くにきたのかしら?」
そう考えながら私は地下鉄に揺られ、家路につきました。

108 :名無しさん:2007/02/25(日) 22:16:47

 電話を切った秀規は酒を飲み干し、寿司を食いまくった。
「菊地さん、彼女さんと電話つながったみたいですね。どうでした?」
「あのブス、ぜったい何か隠してる。おい、お前ももっと飲めよ!」
「いいえ、もう、僕はいいです。お腹もいっぱいです。そろそろ帰りませんか。」
「そうか、じゃあ、そろそろ行くか。」
そういうと、立ち上がったが、ふらふらして立っていられない。
後輩に支えられて帰る秀規であった。

109 :名無しさん:2007/02/25(日) 22:22:16

 なんとか帰った秀規は、また家についても酒をあおっていた。
「あの女、なんで俺をこんなに苦しませるんだろう。くそー。」
泥酔しきった秀規は、床につっぷした。
完全に酔いつぶれて寝てしまった。

1時間後、秀規はついうとうとしてしまったが、なんだか気持ち悪くなって
起きた。
「うえー、すごく気持ち悪い。」
トイレに駆け込むとおもいっきり吐く。今日食べたもの、飲んだもの全部が口から
出ていく。ついこの間もこんな目にあったばかりなのに。ついてないなあ。
脂汗をかきながら秀規は一晩中吐き続けた。

翌朝、目が覚めた秀規は、便器を抱えたままだった。
「あー、ひどい夜だった。」
脱水状態になっているので水を飲み、ベッドに横になった。頭が割れるように
痛い。
「あーあ、なんでこんなことになったんだっけ?」
昨日のことがよく思い出せないでいる秀規であった。

110 :名無しさん:2007/02/26(月) 18:51:36

 私はその日、会社で仕事をしながら菊さまのことを思い出していました。
昨日はなんか喧嘩みたいになってしまったけど、今日は食事に行く約束をしてたから
きっとそこで仲直りできると思いました。あっ!でもどこで食事するか聞いてなかったから
電話しなければ。
昼休憩、私は菊さまに電話してみました。

pipipipi・・・。
秀規の携帯が鳴った。
「うー、うるさいなあ。誰だ?あっ!あいつ。出てやるもんか!」
秀規はうるさいので携帯を切った。

「あれ?ブチッて切れた。わざと切ったのかしら。もう一回かけてみよう。」
彼女はもう一度かけてみたが、今度は電源がきれているのでかかりませんとなった。
「菊さま、どうして電源きるんだろう。これじゃあ連絡しようがない。」

夕方、彼女はもう一度連絡してみた。でもまたかからない。
「どうしたんだろう。今日仕事なのかな?直接家に行ってみようか。」
彼女は会社を足早に出て、菊地邸へ向かった。

111 :名無しさん:2007/02/26(月) 19:39:32

 私は菊地邸に着きました。インターホンを押しても菊さまは出てきません。
仕方ないので、合鍵でおじゃますることにしました。
「おじゃましまーす。」
真っ暗なので多分でかけてるんだろう。私はコートとかばんをリビングに置き、
菊さまを待つことにしました。携帯繋がらないんだからここで待つしかないと思いました。
テレビをつけて、台所でお茶を沸かして、私はしばし待つことにしました。

「あっ、トイレいきたくなっちゃった。」
私はトイレを借りるためトイレのドアを開けました。
すると、一瞬心臓が止まるかと思うくらいびっくりしました。
そこには菊さまが床に座り込んでいたのです。
「き、菊さま、いらっしゃったんですか?もーう、びっくりするじゃないですか!」
びっくりしてまくしたてる私に菊さまは苦しそうに返事されました。

「・・・うるさい。すごく苦しんだからあんまり大声だすな。頭に響くじゃないか。はあ、はあ・・・。」
すごく苦しそうで、顔色もものすごく悪くなっている菊さま。
「菊さま一体どうされたんですか?気分悪いんですか?」
「全部お前のせいだ!謝れ!」
「えっ!急になんなんですか?なぜ私のせいなんですか?」
すると菊さまはふらふらと立ち上がられ、リビングまで這うように進まれました。
私は菊さまをなんとか起き上がらせ、支えて、ソファーに寝かせました。

112 :名無しさん:2007/02/26(月) 19:51:20

「はあ、水持ってきてくれ・・・。」
菊さまは力なく言われました。
私は急いで水を汲み、菊さまに飲ませました。
「菊さまどうしてこんな状態になられたのか説明してください。」
「うるさい!昨日のお前の行動のせいで、俺の心は・・・。」
菊さまは喋るのをためらわれました。

「はっきり言ってください。分からないじゃないですか!」
「うるさい。あんまり大声だすな!頭が割れるように痛いんだから・・・。」
「すみません・・・。」
私は声のボリュームを落として、菊さまにお願いしました。
「お願いですから、わけを話してください。」
菊さまは苦しそうな表情のまま話されました。

「お前が他の男といるのをたまたま見たせいで、俺はものすごく腹たったの。
 自分でも信じられないぐらいお前に嫉妬したんだ。それで酒のみまくって、
 焼肉、ラーメン、寿司を次々と食べて、帰ったらこんな状態になったってわけ。
 どうせ馬鹿な男だと思ってんだろうけど・・・。全部お前のせいだ!」
力なく吐き捨てられたその言葉。私はとても悲しくなりました。

「菊さまの思い違いです。たまたま会社出る時に会社の先輩も帰られるところで、
 二人の行く方向がたまたま一緒だっただけなんです。それにその先輩は結婚されてるし、
 私そんなにもてませんから、安心してください、菊さま。」

「なんで美術館に行ったんだ。別に昨日行かなくてもいいじゃないか。」
「前から行きたかった展覧会で、前売り券買ってたの忘れてて、昨日が最終日だから
 絶対行かなきゃならなかったんです。」
「ふん、そんなの信じられない。」
菊さまは苦しそうに大きく呼吸されました。

113 :名無しさん:2007/02/26(月) 19:59:48

嫉妬深い菊さま。菊さまがこんなにも私に対して執念深く、嫉妬深かったなんて
びっくりしました。私は、菊さまに信じてもらうため、財布から昨日の美術館の半券と、
喫茶室のレシートや売店のレシートを見せました。

「菊さま、絵を見た後、売店で結構長い時間絵葉書選んでたんです。その後喫茶室に入ったから、
 大分時間かかってます。携帯見るの忘れてたから余計菊さまを待たせることになったんだと思います。」
「ふん、レシートなんて二人で行っても、1人ずつ出してもらう事だってできるぞ。」
もう!どうしたら分かってもらえるんだろう。私は悲しくなって涙が出てきました。

「女はすぐ泣いてごまかせるからいいよな!だまされないぞこの尻軽女め!」
菊さまは弱弱しく吐き捨てられました。
私は涙が止まらなくなりました。
「うぅ・・・。き、菊さま、何で分かってくれないんですか?」
私はしゃっくりも止まらなくなってきました。

114 :名無しさん:2007/02/26(月) 20:05:48

 秀規は実はもう彼女への誤解は解けていた。
じゃあなぜ許さない?それは、彼女のこと好きだから、いじめたくなる秀規の中の
悪魔がそうさせたこと。
でも次の彼女の言葉で秀規は目が覚める。

「菊さま、私がなぜ美術に興味があるか分かりますか?昔は興味なんてなかったけど、
 友達に誘われて興味持つようになったんです。そして、菊さまに出会う前、菊さまの
 悲しい時の絵を見て菊さまに興味もつようになった辺から、美しいものにもっと触れたいって
 いう気持ちが沸いてきたんです。菊さまに出会ってからも益々その気持ちは強くなりました。

 私は菊さまの豊かな感性に少しでも近づきたかったんです。
 だって、菊さまは、たった一人自分と同じ感性を持った人と結婚したいって本に書いてたから・・・。」

115 :名無しさん:2007/02/26(月) 20:18:07

彼女の言葉に嘘は無いと思った。秀規は内心とても嬉しかった。
自分の影響で彼女が美しいものに触れたくなったという。
秀規はゆっくり起き上がり、彼女を抱きしめた。

「悪かった、お前のこと本当はもうとっくに信じてた。」
「菊さま、じゃあなぜ私を試すようなことを・・・。」
「それは、おれが人一倍あまのじゃくだから・・・。お前だってそうだろう?
 でも今のお前の気持ち聞いて、反省した。ごめん。」
「菊さまー!」
彼女は秀規を力いっぱい抱きしめ返してきた。
秀規は彼女の柔らかい髪を心を込めてなでた。

「ありがとうな。お前が俺と同じ感性になりたいって思ってるって知って
 とてもうれしい。泣かしてごめんな。」
秀規は彼女に厚いキスをした。彼女は素直に秀規を受け入れた。
彼女の目から涙が溢れていた。秀規は自分の服の袖で涙を拭いてやった。

「そういえば、菊さま、今日食事に行く約束。どうするんですか?」
「ああ、俺食欲ないわ。それに頭まだ痛いんだ。」
「どうしますか?病院いかれたほうがいいかも。夜間の外来で行きますか?」
「二日酔いで病院いく奴いるのか?今日はおとなしくしてるよ。明日仕事だけど
 明日までには治るかな?」
「じゃあ、おもゆでも食べますか?あと、ポカリスエットとか。」
「そうしようか、そういえば風呂にも入ってなかった。下着も着替えてないし。」
「じゃあ、お風呂の支度します。」

116 :名無しさん:2007/02/26(月) 20:28:44

 私は菊さまと仲直りできたのが嬉しくて、甲斐甲斐しく菊さまのために
動きました。
お風呂を沸かして、おもゆを作って、ポカリスエットも作って、あと、トイレ掃除もしました。
そして菊さまのベッドに湯たんぽをいれ、温めました。
菊さまはおもゆを食べられ、水分補給をされたあと、風呂に入られました。
私も残りのおかゆをいただきました。

しばらくして菊さまが風呂からあがられました。
「菊さま、明日どのスーツ着ていくんですか?」
「ああ、そこのロッカーの中にあるの出してくれ。ネクタイは赤い水玉のやつ。」
私は洋服を用意し、明日履いていかれる靴も磨きました。

117 :名無しさん:2007/02/26(月) 20:37:36

 菊さまがベッドの中に入られました。
菊さまは石鹸のいい香りがしました。
私は思わず菊さまの頬にキスしました。
「どうしたんだ?」
「どうもしません。ただ菊さまとてもいい香りがするから。」
そういうと私は菊さまに思いっきり抱きつきました。

「ごめん、頭痛いから寝かせてくれないか?また今度、思いっきり抱きついてくれ。」
「すみません。さあ、早く今日は寝てくださいね。」
私は菊さまから離れました。そして菊さまが言いました。
「今日は来てくれてありがとう。お前のこと本当は守ってやらないといけないのに、
 困らせるようなことばかりしてごめんな。今度ちゃんと食事に行こうな!」

「菊さま、もう無茶な暴飲暴食しないでくださいね。本当にあなたの体が心配です。
 じゃあ、私帰りますから。おやすみなさい。」
「おやすみ、○○。愛してるよ。」
菊さまは私に軽くキスしてくださって、眠りにつかれました。
私は静かに菊地邸をあとにしました。

「今度デートする時は、思いっきりおしゃれして、素直な女の子でいよう。
 そして菊さまにおもいっきり甘えるんだ。」
夜空には、綺麗な星が光っておりました。

Last modified:2007/07/23 14:45:27
Keyword(s):
References:[FrontPage] [小説(全てフィクションです)]
This page is frozen.