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下町 後編

916 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/25(木) 20:37:55

そのころ私は、菊さまを探すのをあきらめていました。
「どうせメールしたって返事くれないだろうな。
菊さま怒ると手がつけられないから。」
私はそう判断したので、菊さまにメールしませんでした。
そして、ここまでせっかく電車賃を使ってきたのだから、
浅草まで足をのばすことにしました。浅草に向かって歩きながら考えました。
「帰って菊さまにまた会ったら、心から謝ろう。
許してもらえなければそれで仕方ないからその時は菊さまの元を潔く去ろう。
でもきっと泣いてしまうだろうな。」
そう考えると、少し涙目になってくるのが自分で分かりました。
菊さまのこととっても好きなのに、愛しているのに、毎度のことながら怒らせてしまう。
私はどうしてもこのあまのじゃくな性格を直すことができません。
というより菊さまにかなり甘えてしまっているから、性格もなおらないんだろう。
すれ違う人の中に、もしや菊さまがいるのではないか、
時々後ろも振り返りながら歩いていると、浅草は浅草寺に着きました。

917 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/26(金) 22:05:27

浅草寺の本堂でお参りした私は、雷門の前に来ました。
「すみません、シャッター押してもらえますか?」
私は修学旅行生に呼び止められ、快く応じました。
ついでに私も携帯のカメラで撮ってもらいました。
「これを菊さまに送ってみよう。」
私は自分の写真と想いをメールで送りました。
「菊さま、さっきはごめんなさい。今浅草です。
まだかっぱ橋にいるなら会えませんか?待っています。○○より。」
菊さまは来てくれるだろうか?

918 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/26(金) 22:11:37

そのころ秀規はコーヒーを飲み干し席を立とうとしていた。
PIPIPI・・・・・。
「あ!あいつからだべ。うーんと、何?浅草まで来いってことか。
ふん、行ってやるもんか。」
思わずふくれっつらになる秀規であったが、すぐに思い直した。
本当は今すぐ会いたくてしょうがない。
カフェを足早に出ると、秀規はさっき見て回った店へ入っていた。
「すみません。この包丁とまな板ください。」
「はい、2万5000円になります。」
「はい。」
秀規は素早く会計を済ませると、商品を持って駆け出した。
「くそー!もっとカモシカのように軽々と走れたらいいのに・・・。」
秀規は○○に会いたい!それだけ考えていた。

919 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/26(金) 22:18:02

菊さまが来てくれるか一か八か賭けた私は雷門の前で待ち続けた。
「返事くれないのかな?それとも無視かしら。」
何時間までなら待てるだろうか?せいぜい1時間か、1時間30か。
2時間も3時間も待つのはつらい。
でも、これで会えなくなると思ったら切なくなってきた。夜まで待とうかしら。
待っている間、次から次へと旅行者に声をかけられ、シャッターをきった。
暇つぶしになるからいいんだけど、早く菊さまに会いたい。

924 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/28(日) 21:27:41

秀規は雷門が見えるところまでたどり着いた。
あいつらしき女が見えたので、最後の力を振り絞り走り続けた。
すると、石にけ躓いて秀規はおもいっきり地面にダイブしてしまった。
持っていた荷物も宙を舞い、秀規は全身を地面に打ちつけ
これまで味わったことのないような痛みに襲われた。
「うー!痛いよー!」
人がけっこういる中でこけてしまった。恥ずかしさもあるが、
もうそんなこと言ってられない。
痛みで立ち上がることができない。○○が駆け寄ってきた。

925 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/28(日) 21:35:51

「菊さま!大丈夫ですか〜!」
私は菊さまに駆け寄り必死で起そうとしました。
「痛い、起き上がれないよ。」
今にも泣き出しそうな菊さまの弱弱しい声を聞いて、
私は菊さまをぎゅっと抱きしめたくなりました。
「菊さま、男なんですからしっかりしてください。
さあ、手を貸しますから起きましょう。」
「うるさい!男とかそんなの関係ない!
だいたい誰のせいでこんな目にあってると思ってんだ!」
「ごめんなさい。私のせいですよね。分かってます。
でも起き上がってください。こんなところでいつまでもねてるわけにわいきません。」
私はなんとか菊さまをおきあがらせました。
砂だらけの菊さまを見てとても哀れな気持ちになりました。
「菊さま、こんな哀れな姿にさせてしまってごめんなさい。」

926 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/28(日) 21:41:11

秀規はおもいっきり彼女を睨み付けた。
「お前がもっと素直な奴だったらこんなややこしいことにならないんだ!
バカヤロウコノヤロウメ!」
すると、彼女が秀規を抱きしめてきた。
「痛い!馬鹿!全身が痛いんだ!」
「ごめんなさい。もう、菊さまのことがかわいそうで・・・。」
そういうと、彼女はポロポロと涙を流し始めた。
「おい泣くなよ、俺が泣かせたみたいじゃないか。人も見てるし。」
「だって、菊さまこんなに必死で私の元の来てくださったかと思うと
とても嬉しくて・・・。」
秀規は彼女の涙をハンカチで拭いてやった。
そして自分の服についた泥も落とし、なんとかふらふらしながら立ち上がった。
「おい、帰るぞ!こんな目にあわせた償いをしろ!」

927 :名無しさん@板分割議論中 :2007/01/28(日) 21:43:44

「はい、菊さま、その前にいも羊羹買って帰りたいんですけど・・・。」
「もーう、じゃあさっさと買え!」
秀規と彼女は歩き出した。そして芋羊羹を買って、家路についた。
「菊さま、償いはどうしましょうか?」
「せっかくお前のために包丁とまな板かったんだから料理作れ!」
Last modified:2007/02/09 20:39:30
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