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ホワイトデー

209 :名無しさん:2007/03/15(木) 22:08:35

夕方仕事が終わると菊さまから電話があった。
「もしもし、どうかしましたか?」
「もしもし、俺だけど、今からお前の家に行ってもいいか?」
「えっ?今からですか?私まだ会社の中なんですけど・・・。」
「あと3,40分後には帰ってるだろ?そのころ行くから、じゃあな!」
ブチッ!ツーツー・・・。
菊さまは一方的に電話を切られた。
私はOKしてないのに、強引な方だ。
まあ、それが菊さまの特徴なんだけど・・・。
私は暇人に思われたくないから用があるって言おうとしたんだけど、
それを言う暇もなかった。
仕方ない、今日はまっすぐ帰って菊さまを待つことにしよう。
私は会社を出た。


210 :名無しさん:2007/03/15(木) 22:13:09


 30分後、帰宅した私は楽な服に着替えていた。
「菊さまもうそろそろ来るかしら?」
着替えながら思い出した。そうか今日はホワイトデーだ。
もしかして、何かプレゼントくれるのかもしれない。
ああ、そうだ、きっとそうだ。
私はちょっと嬉しくなってきた。
でも、違ってたりして。菊さまってこういうことに鈍感っぽいもんな。
あまり期待してたらがっかりしそうだから、普通にしておこう。
そうこうすると、インターホンが鳴った。
「ごめんください、菊地です。」
菊さまだ!
私は思わず笑みがこぼれた。
「はーい!今あけます。」


211 :名無しさん:2007/03/15(木) 22:26:16


 そこにはいつもどおりスマートにお洒落に着飾った菊さまが立っておられた。
あがって貰って、私の部屋に招いた。
「はい、これ、こないだのバレンタインのお返し。」
菊さまはかわいいバスケットをくれた。
「わー、菊さまがホワイトデー覚えててくれたなんて嬉しいです!」
私は嬉しくて思わず菊さまに抱きついた。
菊さまは優しく私を抱きしめてくれた。
「早く中あけてごらん。」
私はバスケットの中を開けてみた。
キャンディーやチョコレート、マシュマロ、クッキー、どれも私の好きなお菓子
が可愛い包みに入っていた。たっぷり入ったお菓子たち。こんなに食べたら太って
しまいそうだ。
「ずいぶん沢山はいってますね?なんか気を使わせてしまってごめんなさい。」
すると、菊さまは薄ら気持ち悪い笑みを浮かべた
「ひひひひ・・・。お前が今よりもっと豚になるの見たいから、お菓子屋で沢山詰めてもらったんだ。
 どうだ、太りそうなカロリーの高いのをチョイスしたんだぞ。お前のことだから2日ぐらいで
 たいらげるだろ?そして醜い体になったところを俺様がまたスケッチするのよ。
 醜い女の資料としてね。」
私は照れ隠しにそう言ったのかなあと思ったけど、なんか表情を見ていると本気そうだったので
怖くなってきた。そういわれてしまうと、なんだかありがたく食べる気をなくしてしまった。
菊さまが私に対して意地悪なところがあるのは前から分かっている。
だけど、せっかくのホワイトデーなのに。なんでこんなこと言うんだろう?
私は言い返す気もなくなってしまった。
しばらく二人の間に沈黙が流れた。


212 :名無しさん:2007/03/15(木) 22:35:46

 秀規は少し言い過ぎたかな?と思った。
二人の間に重い空気が流れたような気がした。
つい彼女に毒を吐いてしまう。本当は、彼女が喜びそうなお菓子を一つ一つ
選んでみただけなのに・・・。
彼女を目の前にするとつい傷つけるようなことを言ってしまう。
秀規は罪悪感を感じたので、自分の予定通り食事に誘うことにした。
「なあ、ちょっと今から外でないか?食事でもしない?」
彼女はあまり乗り気ではなさそうだったが、秀規はしつこく誘った。
「ねえ、美味しいラーメン屋があるんだ。お前と一緒に行ってみたいんだよ。」
「ラーメン食べさせて、また私を豚にしようとおもってるんでしょ!
 一人で行けば!私誘わなくても沢山ガールフレンドいるでしょ?」
彼女は機嫌を損ねていた。まずい、どうしよう。
「俺がおごってやるんだから文句言うなよ!絶対美味しいから、なあ、一緒に
 行こうよ!」
秀規は彼女の手をひっぱった。
「じゃあ、着替えますから、ちょっと部屋から出てください。」
「いいよ、今更隠すような関係じゃないだろう?」
「いいから出てってよ!見られたくないの。」
そういうと秀規は家から追い出された。
大分怒らせてしまったけど、なんとか持ち前のしつこさで誘うことができた。
5分後彼女は着替えを済ませ、秀規について歩き出した。


213 :名無しさん:2007/03/16(金) 21:55:17

 ラーメン屋に着いた。10人ほど人が並んでいた。
寒いのに並ぶの嫌だなあと思ったけど、菊さまは楽しみにしてるみたいだった。
それに菊さまのおごりだから文句言えない。
30分程待った。待っている間菊さまに寄り添うことができてそれはそれで
私にとっては嬉しい時間だったのだけど。
店に入ると強面の主人が出迎えてくれた。
「醤油とんこつ2つお願いします。」
「はい、醤油とんこつ2つ!」
ここは美味しいらしい。壁を見渡すと結構有名人のサインが貼ってあった。
菊さまもここにサインを飾ることになるのかしら?
私はけっこうワクワクしながらラーメンを待っていた。
10分ほどでラーメンが来た。
とても美味しそうな熱々の醤油とんこつ。器が黒いから余計美味しそうに見える。
「いただきまーす。」
私達が食べようとした時、主人が声をかけてきた。


214 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:02:24

私はてっきりサインを頼まれるのかと少し期待したのだけど、全然違った。
「ちょっとお兄さん、食べる時は帽子脱いでもらえますか?」
はっきりものを言うおじさんだなあと思った。だけど、食事中に帽子をかぶるのは
確かにおかしいことだ。私は納得した。
しかし、当の菊さまを見てみるとムッとした表情をしていた。
だけど何も言い返さなかった菊さま。きっと恐そうだから言い返せなかったんだと思う。
私は帽子を脱ぐと店にいる人達が菊さまに気がついてしまうのではないかと心配した。
サイン書いてくれ、握手してくれってせがまれるのではないだろうか?
ところが、皆ラーメンに集中していて気づくどころか見向きもしなかった。
私は正直、少しおかしくなった。案外菊さまって有名でないのかもしれない。
知らない人は知らないだろうし、知ってても興味なかったら声かけないもんな。
もちろん、ここのご主人も知らないようだった。
私はラーメンを食べてみた。とても美味しいラーメンだった。
濃厚なスープ、チャーシューの味付けも濃く、大好きなシナチクも入ってて私は
大満足だった。菊さまは静かに食べておられた。


215 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:12:18

ラーメンを食べ終わると、菊さまは静かに席を立たれ、勘定を払われた。
「ありがとうございました。」
「ごちそうさまでした。」
私はお店のマッチをもらって帰った。帰ったら母に教えなきゃ。それに友達とも
一緒に行ってみたいと思った。
私は菊さまに
「菊さま、ご馳走様でした。美味しかったですね!」
と声をかけた。ところが菊さまは無視してスタスタ歩かれた。
どうしたんだろう?機嫌わるいのかな?もしかしてさっきの帽子のこと?
私は菊さまを追いかけ、尚も話しかけた。
「菊さま、どうかされたんですか?帽子脱げって言われたの怒ってるんですか?」
すると菊さまは立ち止まられた。
「そうだ!なんでいちいち帽子ぐらいのことで文句いわれなきゃいけないんだ!
 こっちは客だぞ!バカヤロウコノヤロウメ!」
じゃあ、そう言えばいいじゃない。あの強面のご主人に。
「まあまあ、そんなに怒らなくても・・・。美味しかったんだからいいじゃないですか!」
「うるさい!美味しいとかの問題じゃない。客に対しての態度が気に入らないんだ!」
「でも菊さま、家で食事中に帽子かぶりますか?」
「家は家、外は外だ!」
「私はマナーよく帽子は脱ぐべきだと思いますけど・・・。」
「なんだと!俺が悪いって言うのかよ。まったくお前とは意見が合わないよな。
   俺のこと全然わかってないじゃん。お前みたいなやつは彼女じゃない!帰れ!」
菊さまはとても興奮しておられた。例のごとく岩手なまりでカミカミ状態なので
とても私は笑いそうだった。笑いをこらえるので必死だった。


216 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:18:08

でもとうとう吹き出してしまった。
「ぷぷぷー!菊さまw結局あれでしょ?芸能人だから顔隠すために帽子かぶって
 たけど、怒られてぬいでも結局だれも気がつかなかったからw」
すると火がついたように菊さまが怒られた。
「なんだとー、お前俺を侮辱する気か?お前みたいなブスにわざわざ付き合って
 やっているのに。なんだその態度、お前なんかにラーメン食わせるんじゃなかった。」
菊さまはそういうと私の頬っぺたをおもいっきりつねられました。
「痛い!菊さまひどいじゃないですか!ブスって言われるのはかまいませんけど、
 つねること無いでしょ?何よこんなことでカンカンに怒るなんて器の小さい男だ。」
私は思いっきり思ったことを言ってしまった。ちょっとしまった!と思ったけど、もう
後の祭りだった。


217 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:23:16

秀規はタコのようにふくれっつらになった。
もう、今日はせっかくホワイトデーデート。楽しいデートになるはずだったのに。
あのラーメン屋のおやじとこの女のせいで全部ぶち壊しだ!
秀規はもう何も言わず、歩き始めた。

私は早歩きの菊さまに必死でついていった。なんとか機嫌を直してもらいたい。
だけど、どうすればいいんだろう。
10分ほど歩いていると、公園が目に入った。
「菊さま、ちょっと寒いけど公園で座りませんか?」
私は菊さまを強引にひっぱり、ベンチに座らせた。
そこには丁度梅の花が咲いており、街灯の明かりで花がほんのりライトアップ
されている状態だった。
私は花の匂いを借りて、菊さまをどうにか冷静にさせたかった。


218 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:32:03

「なんなんだ寒いから早く帰らせろ!」
立ち上がろうとする菊さまをなんとかなだめ座らせた。
「菊さま、どうか冷静になってください。」
「うるさいぞ!お前が俺をおこらせてるんだろうが!」
「菊さま、ああ菊さま。私は菊さまの事とても好きです。」
「何が好きだ!口ではなんとでも言えるよな!」
「好きだからこそ言うんです。どうかもっと優しい穏やかな心で毎日
 過ごして欲しいんです。」
「お前ごときにそんなこと言われる筋合いはない!」
「帽子脱ぎたくなかったのは分かりますが、あの場合は脱がれた方がマナーが
 良いと思います。菊さま、堂々と顔みせて食べてもいいじゃないですか。
 菊さまの事大好きだから、菊さまにはどうかいつも穏やかに皆から愛される人で
 あって欲しいんです。私の心からの願いです。」
「全く、口の減らない奴だ・・・。」
そういうと、菊さまは私に口づけしてきた。
さっきまでカンカンに怒ってたけど、その怒りを静めるかのように私に厚い口づけを
してきた。さっきのラーメンの味がする。
私は菊さまが穏やかになるためならと思い、口づけされるがままになっていた。
菊さまは情熱的に舌も絡めてきた。
梅の花の下で私達は熱い時間を過ごした。


219 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:39:34


 秀規は徐々に怒りが自分の中で治まって行くのが感じられていた。
こんなに自分の事思ってくれている、心配してくれている女は初めてだ。
○○にはっきり言われたことで、秀規は彼女が心から自分の事を心配してくれて
いることに正直嬉しさがこみ上げてきた。
長い口づけを終えると、秀規は彼女を強く抱きしめた。
「さっきはブスって言ってごめん。本当はそんなこと思ってないから。」
「いいですよ。私かわいくないですから。」
「そんなこと無いよ。とても可愛い。それに、お前はとても優しい。
 俺ももっと優しい人間になれるように努力するよ。」
「菊さま!菊さまは本当はとても優しい人だって私は分かっていますよ。
 菊さまは思いやりもあるし、ただ少し頑固なところがたまに傷だけど・・・。」
「なんだと!俺のどこが頑固なんだ!バカヤロウコノヤロウメ!」
あーあせっかく機嫌直せたとおもったのに、また怒らせてしまった。
こんな感じで私は菊さまをなだめ、菊さまはバカヤロウコノヤロウメ!を連発
しながら家路に着きました。


220 :名無しさん:2007/03/16(金) 22:45:41


私の家の前で、菊さまは私を抱きしめてくれました。
「さんざん言い合いになったけど、またデートしような!」
私はとても嬉しくて菊さまの腕の中でいつまでも抱かれていたかったけど
さすがに寒くなってきたので、菊さまに軽くキスして別れました。
「おやすみなさい!」
「おやすみ!○○!」
私は帰ると、菊さまの今日くれたプレゼントをもう一回見ようとバスケットを
探しましたが、ありません。
リビングに行くと母の目の前にそのバスケットが置いてあります。
「ああ、これいただいてるわよ。美味しいわね。」
見ると、半分はなくなっておりました。あーあ、ゆっくり少しずつお菓子を
食べるつもりだったのに。母にほとんど食べられてしまいました。
私はトホホな気分で風呂に入り、ベッドに入りました。
お菓子は無くなっても、菊さまの愛はなくならない。多分きっと・・・・。

Last modified:2007/09/27 17:03:43
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