Create  Edit  Diff  FrontPage  Index  Search  Changes  History  Source  RSS  Note  wikifarm  Login

カキ騒動

496 :名無しさん :2006/12/01(金) 20:43:57
菊さまに絶交されてしばらくたったある日。私は体調を崩していた。
熱にうなされ、一睡もできず朝病院へ行った。
食事は食べたくなるまで食べないこと、水分を充分とることと、診断され薬をもらって帰った。
ふらふらな足取りで、とりあえず、水分補給のために何か買おうと思い、スーパーへ入った。
何かジュースが飲みたくなってきた。
チルドコーナーへ行ってみる。
ヨーグルト、牛乳、オレンジジュースなどたくさんの製品があるなか、ある商品を見つけた。
「あーこれは菊さまが好いておられたりんごジュースだ!」
ヤクルトぐらいの大きさのりんご味のジュース。
菊さまのことがとっても懐かしくなった私は
スポーツドリンクと共に、そのりんごジュースを買った。
「菊さま、今頃どうされてるのかしら。
最近ラジオであまり勢いがなくなってらっしゃるけど・・・。」
ふらふらの足取りの私は菊さまのことを思いながら家路についた。

497 :名無しさん :2006/12/01(金) 20:57:40

 家に着いた私はとりあえずりんごジュースを1本飲んでみた。
 「あー美味しい。菊さまも相変わらずこれを飲まれているのかしら。」
 ついつい菊さまに思いをはせてしまう。思ったところでどうにもならないこの胸の内。
 考えてもしょうがないので、せめて夢の中で菊さまに会えることを期待して、布団に入った。
しばらくして、うとうとしかけた私だったが携帯の音で目が覚めた。
「もしもし」
「もしもし、俺だけど・・・。」
なんとその声は愛しい菊さまのお声だった。
「もしもし菊さまどうされたんですか?」
私はひさしぶりの菊さまの声に心が躍った。
 「あー別に用はないんだけど、さっきお前に似た人見かけたから
どうしたんだろうと思って。」
 「どこで見かけたんですか?」
 「病院の前にいただろう。なんかあったのか?」
「あー、実は恥ずかしいんですけどカキにあたってしまいまして、昨日から体調が悪いんです。
バカだと思うでしょう?」
「はははは!てめえカキにあたったのか?」
「そうなんです。生ガキを食べました。」
「お前だけ?」
「いいえ、家族全員食べたんですが、今のところ私だけひどいみたいなんです。」
「ひひひひっ。おまえそれ天罰だよ。きっと。」
「ええ、天罰でしょうよ。」
「お前あんまり元気ないなあ。」
「あたりまえでしょ。こっちはふらふらなんですよ。用がないなら切ります。」
「あーっちょとまった。お見舞いに行くよ。」
「えーいいです。うつるといけないから。」
「そうか?じゃあ、またな。」

498 :名無しさん :2006/12/01(金) 21:07:27

電話を切った私は、そのまま睡魔に襲われて眠ってしまいました。
でも、菊さまと少しでも話せたことにとても充実した気分になっていました。
午後、目が覚めた私に母が言いました。
 「さっきあなたが寝てるときなんだけど、
菊地さんからこれ渡してくださいってお見舞い下さったわよ。後で電話しときなさい。」
見ると、ミニバラの花束と、なんとりんごジュースがありました。
菊さま、ああ、菊さまありがとう。私は菊さまの優しさに涙がでそうになりました。
さっそく菊さまに電話してみました。
「もしもし菊さまですか?」
「もしもし、ああお前か。たっぷり寝れたか?」
「はい、寝れました。寝てる間に来てくださったんですね。菊さまありがとうございます。
あんなかわいい花束、とても嬉しいです。りんごジュースもありがとう。」
「たいしたものじゃないけど、お前にぴったりだと思って。」
「菊さま本当に嬉しいです。早く元気になるようにがんばります。」
「おお、じゃあな。」

499 :名無しさん :2006/12/01(金) 22:03:53

数日後、元気になった私は、菊地邸に招かれました。
先日のお礼にケーキを携え、ルンルン気分で菊さまの元をたずねました。
「ピンポーン」
「はーい。」
 「菊さま私です。」
ドアが開き、笑顔の菊さまがそこには立っておられました。
「さあどうぞ、今日はお前の回復パーティー&仲直りパーティーだよ。」
「まあ嬉しい!菊さま大好きです。」
そういうと、私は思わず菊さまのうすーい胸に飛び込みました。
「おい、痛いぞ、ふふふ甘えるなよ。まったく。」
そう言いつつまんざらでもなさそうな菊さま。ここぞとばかりにおもいっきり甘える私。
そして、菊さまは私のおでこにキスをしてくださいました。

500 :名無しさん :2006/12/01(金) 22:15:29

しかし、リビングに通された私は次の瞬間愕然としました。
そこには、あの忌まわしいカキが殻つきで、山のようにつんであったのでした。
青くなった私を見て、菊さまはとてもにやけていました。
「き、菊さま、これはどういうことですか?」
「みてのとおり今日はカキパーティーだべ。」
「菊さま私が先日カキにあたったこと知ってるでしょう?
私はもう今シーズンはカキ食べたくないんです。見るのも嫌なのに。なんでですか。」
すると、菊さまは今までみたこともないくらい意地悪な顔になっていました。
「ひひひひひ、俺が普通のパーティーするとでも思ったか?
バカヤロウメ!お前がまたカキにあたるのを見たいんだよ!」
「ひどい!菊さまってそういう人だったんですね。」
私はカンカンに怒って、持ってきたケーキを箱ごと菊さまにぶつけました。
ぶつけたあとの菊さまの鼻から血が滴り落ちてきました。
しまったと思ったけど後の祭りでした。火を噴いたように怒った菊さまの逆襲です。
「コノヤロウよくもやりやがったなー!」
そういうと、菊さまはテーブルに積み上げてあった殻付きカキを私にぶつけてきました。
「ぎゃー菊さまのバカー!」
そういうと私は泣きながら菊地邸から逃げました。
外へ逃げてもまだカキを持って追っかけてくる菊さま。
菊さまのしつこさには本当参ります。
「誰かー助けてー!」
助けを求めても誰もいません。なんとか家に逃げ帰りました。
それでもまだ菊さまは私の家のドアにカキをぶつけていました。

501 :名無しさん :2006/12/01(金) 22:21:26

30分後、静かになったので、ドアを開けてみるとそこには
出血多量で失神している菊さまと無数のカキが散乱していました。
ドアには血で書いたと見られる文字が。
「ぶっ殺す!」と書かれていました。
菊さまはそこまで書いて力尽きたようです。
わたしは救急車を呼んで菊さまを病院へ運んでもらいました。
一緒に救急車に乗り込んだ私ですが、一体この状況お医者さんにどう説明すればよいのやら、
頭の痛い問題となりました。菊さまは未だ死人のように眠っております。
菊さまの運命やいかに!そして私の運命は・・・?

503 :名無しさん :2006/12/02(土) 21:00:17

「三十代の男性一名。血を流して失神している模様。○×病院に搬送する。」
救急隊員は無線で連絡を取り合っていた。
(どうしよう。菊さま死なないよね?隊員にもなんて言い訳しよう。)
「これから医師に見てもらうけど、傷口浅そうだし命に別状はないよ。」
「あぁ、そうですか。良かったー。」
安堵感で涙が出る。
「それにしても派手にやったねー。彼氏と喧嘩したの?ニヤニヤ」
「か、彼氏だなんて、違います!」
「じゃあストーカー?」
「いえ、あのー」
「誰がストーカーだ!バカヤロコノヤロメ!」
「あぁ菊さま!お目覚めに!お体大丈夫ですか?」
「ん???なんだこの血!?」
菊さまは何も覚えていない様子。
「君、病院着いたから診察受けてね」
病院の待合室で菊さまを待つ。
(菊さま意外と元気そうだったけど大丈夫かしら?)
暫くすると手に包帯を巻いた菊さまが診察室から出てきた。
「菊さま手大丈夫ですか?」
「ズキズキする・・・俺の身に何があったんだ?」

504 :名無しさん :2006/12/02(土) 21:01:37

菊さまに事情を説明すると
「あー!そうだった!お前よくも・・・」
「私が悪いんですか?菊さまもう三十路の大人なんだから、気に障る事があっても
「はいはい。」って流して相手を受けとめるくらいの余裕が必要ですよ!」
「あぁ?なんだお前?生意気な口ききやがって!」
菊さまは険しい表情で私の服の襟を掴んだ。
「菊さま!やめて!みんな見てます!」
次の瞬間菊さまは私の身体を強く抱き締め、厚い口づけをしてきた。
「ごめん。好きだから意地悪したくなる。
でもこれからは大人になれるように努力するから・・・これからも一緒にいてくれ」
大人になる菊さまは想像つかないし、意地悪なところが好きだから寂しいけれど、
そんな事言ってくれるなんてちょっと嬉しい。
「はい!ずっと一緒ですよ!」

 505 :名無しさん :2006/12/02(土) 21:04:15

分かち合った私たちは待合室の椅子に座り会計で呼ばれるのを待った。
私は菊さまの怪我した手をギュッと強く握った。
「イッテー!!!何すんだ!」
「ふふ。大人になるよう努力するんでしょ?
これは可愛い子供の悪戯なんですからね。菊さま。」
「お前ー。畜生・・・。」
おとなしくなった菊さまが可笑しくて、笑いを堪えるのに必死だった。
暫くすると会計で呼ばれた。
「本日保険証お持ちでないので、お会計二万四千円になります。」
「あぁ?何でそんな高いんだ!バカにしてんのか?」
「いえ、ですから保険証お持ちでないので・・・」
「そんなの関係ねぇ!偉い奴呼んでこい!」
「す、すみません!この人ちょっと変わってるんで。私が払いますから。」
会計のお姉さんは不機嫌な顔をしながら、私からお金を受け取った。
恥ずかしい思いをしながら病院を出ると菊さまは
「あの女ムカつく!ぶっ殺す!」とブツクサ言っていた。
「菊さま大人になるって言ったのに・・・」
「うるせぇ!そんなの関係ねぇ!」
結局いつもの菊さまに戻ってしまった。
でも私はいつもの菊さまが好きです。ずっと一緒にいて下さいね。
Last modified:2007/02/07 15:20:19
Keyword(s):
References:[FrontPage] [小説(全てフィクションです)]