Create  Edit  Diff  FrontPage  Index  Search  Changes  History  Source  RSS  wikifarm  Login

私から15万円騙し取った友人

コンピュータ店の友達T

バングラデシュへ行くときはコンピュータを持っていかなかった。お金がなかったからと、現地で組み立てればいいやっと思ったからだ。

ラッシャヒ・ニューマーケットのTの経営するコンピュータ店から新しいコンピュータを買ったことがきっかけで知り合った。それからしばしば新しい部品を取り付けたり、消耗品を買ったり、何か問題が起きるとTの店に行ったものだ。Tとおしゃべりをするのが面白かった。「自分はバングラデシュが好きだから外国には住みたくない。」とか、「末期がんのおじいさんの介護を中学生のころにした。」とか。それまでは、生徒と先生という関係から、ただの友達という関係の人ができたのも面白かった理由かもしれない。

仲良くなったが故のけんかもしたことがある。私が頼んだHUBを急用だった大学のほうに渡してしまったのだ。その後3週間ほどそのHUBは品切れ・高値となり、私は彼を罵倒しまくったものだ。彼のほうも、ほかのお客を目の前にしての私のひどい態度にかなり怒っていた。そのうち仲直りした。

携帯電話を買うために8000TK

仲良くなって1年以上もしたある日、彼は言った。「携帯電話を買うために8000TK必要なんだ。店のローンも終わったところで、月1000TKずつ返すから貸してもらえないか?」バングラデシュ人にお金を貸して帰ってこなかった話はたくさん聞いたので、ほかのバングラデシュ人には貸したことがなかった。しかしTはほかの人とは違ったので、大丈夫だろうと思い貸すことにした。

返済予定月

一ヵ月後返済予定なのにTと連絡が取れない。Tの店の店員Kに聞くと「Tの身の上に何か起きたらしくて、最近忙しそうなんだ。」という。しょうがないので、置手紙をしたが、それでも返事が来ない。

前払いのための5000TK

音信不通2ヶ月位したところで、突然Tから電話があった。切羽詰った様子だ。Tの話では、彼の共同経営者が銀行のすべてのお金を持って外国へ高飛びしてしまったそうだ。そのためあちこちにお金の工面をするために忙しくて連絡ができなかったそうな。店の状態が悪いことを知って、卸売業者も売ってくれない状態で困っているとも。「そんな中で最近、一つの卸売業者が一括前払いをしたら商品を送ってくれる」そうだ。「そのために5,000TK貸してくれないか?」と。年明けにすぐに返せるようなことを言っていたので信じた。

年明け後は18,000TK

また連絡がないし連絡が取れない。Tの経営がうまくいってなくって大変なのかな?と思っていた。すると、またTから電話がかかってきた。「お金を貸してくれる銀行が見つかった。バングラデシュでは10,000TK借りるために、30%を銀行に預けなければならないシステムなんだ。いろんな人から集めているんだが、5,000TKほど貸してもらえないか?3,4にちでお金が振り込まれるから、すぐに返す。」って。さらに連絡が入り、なかなかお金が集まらないからできるだけたくさん貸してくれということでイード前なのに全財産に近い18,000TK貸した。

入金してもローンが借りれない?

たTと連絡が付かなくなった。イードの買い物ができない!どうやって生活しよう?と困ってしまった。ようやく連絡が付いたと思ったら、「まだお金が下りない。」とか、「店員のKが間違った手続きをしてお金をおろせないでいる。」とか、最終的には、「保証人のおじさんが差し止めた。」というありさま。よく考えずにすべてを信じた。

借金は出生払い

「私のために自分の店を売って返済しようと奔走しているが、なかなか売れない。」とか「店を売るためにひどい扱いを受けている」とかTの大変ぶりを知り、「私への返済のためにそんなに無理をしなくていいよ。店が軌道に乗ったときに返してくれれば。」といったらTはすごくほっとしていた。私のせいでこんなに苦しめていたんだなと、楽になったTを見てうれしく思った。

ダッカに行くならと小切手20,000TK

気分がよくなったついでに、ダッカへ行くというTに、私の銀行からお金を下ろしてきてと20,000TKの小切手を渡した。ついでに私の店で緊急に必要なHUBとUPSも買ってくるように。

やっぱり音信不通

お金を貸すたびに音信不通になるT。「疑心悪鬼を呼ぶ」で何度も心の中でTを疑った。私のことをだましているんじゃないかって。でも、大悪人の私?事件以来、人を疑うことを戒めている私は、Tを信じ続けた。Tが持ってくるはずのHUBが届かないので、私は何度たくさんの人に怒られたことか。「人を信じるのはいいけど、客に迷惑をかけるなよ。」と。お客さんに迷惑をかけるのは自分が一番嫌なこと、それをしてしまっている自分とどうしようもできない自分がいて悔しかった。

Tは牢屋に入っていた?

ようやく連絡が来たかと思ったら、Tは賄賂をもらった警察官により牢屋に入れられていたそうだ。鞭でたたかれ、かなりひどい目にあったらしい。「官庁で働く友人のおじさんが保釈金を払ってくれたお陰で牢屋を出れたんだ。」とかなり人生を悲観した様子で話すので、「それは大変な目にあったね。」と同情した。保釈金に私の20,000TKが当てられてしまったのか?と思い、可愛そうなTにはそれ以上追求しなかった。

50,000TKの小切手と引き換えに8,000TK

またTが金の工面をするように言って来た。「裁判が行われるので、弁護士などもろもろのために8,000TKいる。母が自分のために積み立て貯蓄をしていて、今月が満期だから、自分がダッカにいる来月頭にはお金が下ろせるだろう。」といって、50,000TKの小切手を切った。小切手を切ればこっちのもんだと思い、今回は安心して8,000TK渡した。

銀行口座は空

約束の日に、指定の銀行へ行った。今までの裏切りを考えると、「またお金がもらえないかもしれない、でも小切手なんだから大丈夫」と思い小切手を出すと、「指定された口座にお金はありません。」と言われた。ほんと、呼吸困難になるかと思う状態になった。まただまされた。。。

流産と無意欲

しばらくしてTを捕まえることができた。またまたひどい状態だ。話を聞くと、内緒で結婚していて、子供ができていたんだけれど、流産してしまったそうな。その子供を助けるために両親に頼んだがなんの助けもしてくれなく、子供が死んでしまったので、頭にきてその家を飛び出してきたそうな。家を飛び出したからには「貯蓄預金」はもらえないと。貯蓄預金より、Tの状態がかなりひどいので、そっちのほうを慰めるのに精一杯になってしまった。

限界と結論

Tがまた私の前に現れた。私の会社が求人をしているから、私がTを推薦してくれと言うことだ。「コネ」で入社するバングラデシュのシステムが嫌なことと、本当に無理なので「無理」と断った。その後、帰国間際に電話がかかってきたが、「もう何もできない」と冷たく断った。

このときなんとなく理解できた。Tは私を利用したと。でも、次々と襲ってくる運命の荒波にもまれ、Tの性格が変わってしまったと思っていた。日本のような平和な生活なら、Tはいい人のままで入れただろうにと同情さえした。

Kが語るTの本当の姿?

帰国してからKからメールが来た。KはTにお金を貸したが帰ってこないんだ。そのためエジプト留学もできなくなったと。さらに、TのほうがKの悪口を言いふらしていると。

Kに「Tは実はこんな人だったんだよ。君に教えておけばTにお金を貸すことなかっただろうに。ごめんね。」とメールを送った。

Kの返事に驚いた。Tははじめからみんなをだましてお金をもらい、そのお金で彼女と楽しく過ごしていたそうな。Kも昔からかなりの額をTに貸し続けていたそうな。それでも「いい人」には「悪いこと」ができないだろうと思い、Tに誠実に接し続けたK。Tの辛いときに住まいも食事も用意し、洗濯も寝るところもともにしてあげたKに、今TとTの父親は返金もせず、不誠実な扱いをしているそうだ。

Tははじめから返すつもりがなくお金を借りていたの?とびっくりした。本当だとするとかなり天晴れな青年だ。信じ続けていた私はかなり馬鹿だ。分かってみると、Tのすべての話が怪しい。どうして信じてしまったのだろう?どうして知り合いのバングラデシュ人に相談しなかったのだろう?せめてKには相談していれば、こんなことにならなかったのに。Tのために秘密を守ったのが仇になった。

それでも、信じぬいた末にここまで見事に裏切られるのは気持ちがいい。生活に困るほどだまされていないから言えることかも知れない。Kは生活費まで工面していたから大変だ。留学の機会も無駄にしてしまった。Tのような人間をアッラーは裁いてくださるのだろうか。

10ヵ月後にTからメールが届いた

今日、Tからメールが届いてびっくりした。私を騙していたことを詫びる内容で、当時は本当に大変な状況だったから騙さざるを得なかったのだと書いてあった。今はいいところに就職もでき、そのうち借りたお金も返済できると思うと書いてあった。私のことを「ベストフレンド」と呼んでくれた。

このメールで、Tがますます分らなくなった。本当に改心したのだろうか?Kからの手紙のことも書きつつ、Tに真実を話すように返信した。私が信じたTが、善人だったこと、また善人に戻ったことを祈っている。